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宇野維正先生考察第四十四段 三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The Podcast 久しぶりにPOP LIFEに登場し上半期のおすすめ映画を語る宇野先生編

今回の宇野維正先生考察は久しぶりのPOP LIFE: The Podcastに出演した宇野先生の発言をチェックしていきます。

が、その前に、先日の小沢健二の記事に多数のアクセスが突然あり、ありがとうございました。宇野先生の最初の記事につぐアクセス数があり驚きました。

例の件で小沢健二とPORINさんの関係は仕事でしょ派の皆さんが仕事の証拠として読んでくださったようで。

微力ながらオザケンファンの心を少しでも穏やかに出来たなら光栄です。

では本題に戻りピックアップしていきます。


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『はい、映画音楽ジャーナリストの宇野維正です。』
『収録ベースで言うと四ヶ月以上ぶりだよね』
『aiko回から以来だから』

タナソー「電話で打ち合わせをすると維正ちゃんが「ずっと呼んで貰えないのかと思ってた。改めて直接話すといろんなアイデアが生まれて良いですね」って言ってた」

『そうだっけ?全然覚えてないや』

『トークショーでは全然会ってたしね』

『木津くんは僕がやってた番組にも来てくれたね。色々やってんたですよ』
タナソー「あれつまんなかったね」
『番組が!?』
『その流れでどんな番組か説明出来ないけど絶対、東北新社出禁にしてやる』
『番組に対するディスは局に対するディスですよ』
タナソー「ルカグァダニーノの僕らのままでで最高じゃないですか。でも、あの番組はその最高感が一ミリも匂ってこない。なにこのくだらない奴ら。なにこの木津って奴はみたいな」
三原さん「えっ!?酷い。酷いですね」



木津さん「僕は楽しく話させて貰いましたよ」
タナソー「あんたは楽しいかも知れないけどさ。あんな凄い作品に対する興奮が全然伝わってこないんですよ。俺たちシネフィルだし、詳しいし、よく分かってるし、観てるしって感じで。先づさ大騒ぎをしてみろよって感じで聴きました」
木津さん「あの番組の聞きどころは宇野さんがホストをしてるってところなんですよ」
『進行がはしゃいでたら番組にならないじゃん。はしゃぐところははしゃいで、仕切る所は仕切る。そう言う感じでやってますよ』

三原さん「私は聴いてもないですけど。まだ観てないのでネタバレになるかも知れないから」
タナソー「聴いても大丈夫。あのテレビシリーズの魅力を一ミリも語ってないから」
三原さん「ひどいー」

『三原さんの番組のディズニーのやつはどうなの?調子良いの?』
三原さん「はい」
『ディズニーの番組やってるくせにNetflixのTシャツ着てるしさ。みんなめちゃくちゃだよー』

『タナソーさんとトークショーであの番組に僕たち呼ばれることはないねって話をしてましたよ』
三原さん「ないですね」

『僕らのままでを観てる人が少ないのは仕方ないよ。プラットフォームが少ないから』

『あのPodcastの話をすると東北新社スキャンダルの話になるので』

『Podcastの急上昇ランキング一週間ぐらい一位でしたし健闘はしましたよ』

タナソー「Podcastが健闘してるのに誰も観てないって事はPodcastがつまらなかった事の照明じゃないですか」

『違う、違う。プラットフォームの問題だしずっとあるからEXはしばらく。だから絶対観てください』
タナソー「キャプションの所にリンク貼って置くので僕の言う事が正しいか確認してください。こんなに素晴らしい作品なのに、こんなにつまらないPodcastみたいな」
『マジそれ言い続ける?』
木津さん「タナソーさん、優しさが捻れてる」


『タナソーさん羽伸ばしすぎでしょ』

『九州ツアーは羽伸ばしまくりですよ。けど、マジで本当に結構楽しくてさ。正直、去年ら本出したタイミングの販促イベントの意味合いもあってさ。どうなるか分からないから。タナソーさんともいつまで仕事するか分からないから、最後の別れの旅かな?ぐらいの気持ちで行ったんだけどさ。今年は何か毎年やっても良いかな?思った。俺、打ち上げとか嫌いなんですよ。打ち上げしなくて良いのも気が楽で。九州も自治体の要請とかでなんだかんだ空いてないのよ。イベントやったらすぐ帰れるのも心地良くて。楽しかったね』

三原さん「それは二人で旅行するのが楽しかったんですか?」
『タナソーさんと九州五日間回るのが苦じゃなくなった』
タナソー「俺は苦ですよ。帰ってきてうちの奥さんに「分かった。宇野さんの愚痴は後で聞くから」って言われた」

「寝てた写真はジェスチャーですよ。かつてこんな事があったみたいな。』

『割と段取りはちゃんとしたい方だね』

『WOWOWぷらすととかこう言う感じの入り多かったからね。あんまり良くないなと思いながら』

『僕のままでは照明テキトーよ』

『デジタルカメラってここ数年凄い進化してるんだよ。Netflixの企画で宮崎大輔監督と話した時もその話になったんだけどモノクロのニュアンスも今まではフィルムじゃなくと出せなかったのが出せるようになったんだって。そう考えるとフィンチャーがマンクをこのタイミングで撮ったのも。ローマはフィルムだったっけ?モノクロの作品が増えてるものデジタルのカメラが進化してることによると言う一つのあれもあるらしくて。カメラの進化は凄くて』
『カメラのせいでルックが変わらなくなってる』

『今公開されてるセカオワの深瀬くんと菅田将暉くんのキャラクターなんかは出だしからちゃんとハリウッドと同じルックなのよ』
『まあまあ入り込みやすいんだけど、特別なカメラマン以外平均化していくよね』
『テレビでも酷い日本映画やってるじゃん。翔んで埼玉とか。よくわかんないけど』

タナソー「俺、地上波観ないからさあ」
『地上波観ないとかだっせえなあ。まあ良いけど』


タナソー「We are who we areを観ての興奮はなかったですか?」
『ありますよ』
木津さん「この興奮をPodcastで話したんですよ」
タナソー「そうなの?全然伝わって来なかった」
三原さん「ひどいー」
『呼ばれなかったから拗ねてるんじゃないの?絶対呼ばないからね』

『aikoはあのPodcastの事怒ってなかった?』

『本当にあの時は申し訳ないね』

『昨日、くるりのライブに行ったんだけど、いつの間にか席空けなくて良くなったんだね。席空けてなかったよ』

『最近、作家性の強い監督はテレビシリーズでも全部、演出してたりするよね』
『クリエイターが全話演出って新しい動きですよ。ここ数年の。そうなると分けて語るのも分からなくなってくるし、相変わらずプラットフォームは増え続けて、懸念だったHBO MAXは一応U-NEXTがやることになって。配信されてない作品もあるけど。観れる作品は確実に増えている訳ですよ。あんまり話題ならないけどAppleTV +とかもボコボコ新作も出してるし』

『もはや時期を期限でやるのも、日本公開日ベースもよく分からなくなってるし、テレビシリーズも、もはや全体をある程度、網羅性だよね。我々は専門家であることを名乗るためにはある程度、網羅性を一つ責任として、俺はこれだけつまらないのをこれだけ観た上でこれを薦めているという。そういう生活を送ってますよ。基本的には。国にもしないつまらない映画。つまらないドラマ。山のように観てますよ。とはいえもはやもう網羅し切れない。網羅してるフリをするのもしんどくなるぐらい作品の本数が増えてる。あとさ、実は個人的に一番思ってるのさ。これだけ頑張ってもテイラーシェリダン、凄く重要な監督、脚本家がいるんですが、彼の新作が二、三作来てないんだよ日本に。向こうでパラマウントTVとかでやってるからさ。日本でやってる観れるものの網羅性もそうなんだけど、もはやそな括り自体がさ、あまりにもアホらしくてさ。いま自分の中でリアルタイムで重要だと思う作家の新作をさ、少なくとも字幕がついた形で合法的に観れない』
『昔もありましたよ。例えば、アメリカのコメディのすごい好きな人とか。元々アメリカのコメディはこの国では冷遇されてきた訳だし。あるいは本当のホラーのマニアとか。そういうのはあったけど、映画史的に重要な作家の作品が日本のコンテンツホルダーの問題だけではなく作品が多すぎるが故に溢れ始めてるこの状況とどう対峙すればいいのか』
『どういう態度取るべきかわからない』

『その二つが合わさって作品観ても言わなくなった。特にテレビシリーズは』
『あれは観てないの?みたいに言われるのが嫌になった』
『僕らってさソーシャルとかで発言してないものを膨大に観たり聴いたりしてる訳じゃん。それをさ、ああ言うところで発信するとそれが全てだと思う人がいるわけじゃん。それが増えてるのが僕は凄い気分悪くて』
『今回、九州のイベントで質問を募ったら「二人は小西康陽さんについてどう思いますか?」って質問をしてくれる人がいたんだけど、止まんない訳、小西康陽さんについて話した事が、バランスもあるから10分ぐらいで止めたけど。世の中的に俺とタナソーさんも小西康陽のファンなんて印象ないじゃん。それぐらい俺たちは膨大なものを持ってるけど、聞いてくれれば、機会があれば言うけど、ソーシャルとからやってるとそれが全てだと思われるのが嫌であんまり言わなくなっちゃって言うのはある』

日本で黒人のフィルムメーカーの作品をちゃんとやってくれるのはAmazonとNetflixだけなんだよ。話にならないのよ。ユダアンドブラックメサイアとかワーナーがソフトを夏に出すらしいけど。そんなのばっかりよ。その一点においてNetflixとAmazon以外はクソだと思ってるよ。本当に。黒人の作品だからって遅らす。あと、AppleTV +はちゃんとやってるか。とにかく、選別してるんじゃないよって。あれだけ話題になってもどんどんそんなのされない訳じゃん。もちろん、そんなのはずっとあったけど、流石にそれを言い始めると機関銃を持って乗り込みたくなるので、このレイシストどもが!って』

『ブラックのフィルムメーカーの作品を選別して日本でリリースしないなんてはずっとやってきた事です』
三原さん「今もそうなんですか?」
『今もそうです。そんな事未だにやってるから。ディズニープラスはハミルトンに未だに字幕付けてないから。意味が分かりません』

タナソー「それはマーケットがないって判断なんだろうね」
『そうマーケットがない。過去にマーケットがない。そりゃそうだよね。あなたたちが種を撒いてない所に芽なんて生えないよねって。だからさ、タネをまいたことないのにここ何も生えてないってやってるのがワーナーとかディズニーのやってる事ですよ』

『けど、ワーナーともディズニーとも仕事してるから言わないようにしてる。言ってるか笑』

『いやー、地下鉄道が観れるのは素晴らしい事だよ』

『去年のハリエットって映画があってあれも同じテーマでハリエットがなんで作られたかと言うと2016年に新しい20ドル札が黒人女性活動家のハリエットタブマンになることが決まっていたんだけどトランプが止めてたのね。バイデンになってそれをまたやるって言ってるんだけど、それもあってもハリエットダブマンが注目されて、彼女が中心になってやっていた地下鉄道って言う奴隷をカナダに逃すと言うそれが一つ象徴的な歴史的なこれまでタルサ暴動のようにあまり語られてなかったものとしてここ数年焦点があてられている』

『ムーンライトも当時、例えば菊地成孔さんとイベントやったりしてたけど配給会社の人に聞くとあれだけオスカーに話題になった作品でも東京と大阪はなんとかなったけどそれ以外のところは全くだって言う。やっぱりお客を育てなきゃダメなんだよね。結果的にNetflixとAmazonはその環境を作ってくれてるけど他が酷すぎる。それを育てないとダメだと言っても仕方ないからさあ』
タナソー「そのために宇野維正さんはなにをやろうと」
『これからも何も全ての活動はそのためですよ』
(三原さんが音を立てる)「ごめんなさい…」

タナソー「ゆうきちゃんからの『嘘だ!全ては自分の利益の為でしょ』って言うサインですよ」

『露悪的なこともそれはそれで表現だから良い事なんだよね』

『バリージェンキンスはムーンライトの時に良くカラーグレーディング話をしてたよね』

『デジタルの時代ではフィルムの倫理は必要なくてカラーグレーディングって邪道と思われてたけど編集室で細かく調整して良い。エリックロメールの緑の光線の時代とは違うんですよ』

『エリックロメールの緑の光線はビデオで観たらなんのこっちゃだもん』

『ニコラスブリテン売れすぎて最近、仕事が荒れてるイメージなんだよなあ』

『サクセッションのテーマ曲は良かったけどクルエラは仕事荒れてたなぞ。』

『ディズニープラスと同日、もしくは一人早く配信の映画になってメジャーのシネコンチェーンはディズニーの作品を締め出している』

『クルエラはアイトーニャの監督なんでタッチは近い』
『エマストーンは良かったよ』

『大豆田とわ子とか観てるとまず海外の作品じゃなくて大豆田とわ子を観ろよって気持ちになるよね』

タナソー「海外作品のストリーミングじゃなくて日本の地上波を観ろって言うのはどう言う立場から言ってるわけ?」
『もうあれですよ。愛国心。日本のコンテンツは捨てたもんじゃないぞって言うのは言っておいた方が良い』

『ガラパゴス万歳みたいなと違う話でアトランタとかマスターオブゼロを観て興奮したのはエピソードごとにノリやテンポが変わるじゃん。それまでは同じ感じでストーリーをテリングしてる。あれはアメリカではコメディ映画枠だからジャンルが違うけど坂元裕二さんは当然のように観てますので』

『大豆田とわ子、あれはアトランタやマスターオブゼロの興奮と同じ』

『日本素晴らしいじゃなくてちゃんとそれを観てる人の差が出てくる。新海誠がブレイキングバッドを観て君の名を作ったように』

『バリージェンキスとルカグァダニーノと坂元裕二って全部、テレビシリーズの話だったね』


【寸評】

タナソーがやたら宇野先生のPODCASTをディスる謎の展開で切れる宇野先生が聴きどころなのでぜひ、音源を聞いてください。



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『はい、映画音楽ジャーナリストの宇野維正です』
僕はテレビシリーズは入れてないんですよ。ここで語るのを3本に合わせると21ブリッジ。チャドウィックボーズマン主演でルッソ兄弟がプロデューサーしてる。次はプロミシングヤングウーマン。アカデミー賞の脚本賞獲得してる。監督はデビュー作のエメラルドフェネル。天才女性監督ですね。来ましたね。感じ。最後は、インザハイツ。ミュージカルです。映画を何万本も観てますので大体、内容が予想できるけど、この作品はハミルトンの作家の作品で、観る前と観た後の落差を近年屈指ですね。ミュージカルが好きじゃない僕でも良すぎて呆然自失。この3本ですね。上半期良かったのは』

『日本映画もいい作品あるけど日本映画の連載とかもしてるんで、そう言うところでも紹介できるんでこの番組ではこの3本について語ろうかなと思います』
『日本映画、このタイミングでやってるやつだと猿楽町で会いましょうは凄くいいよ』
『この作品も初監督作品だけどデジタルカメラの発達で修練を積まなくても良い作品が撮れるようになった』
『白石和彌監督の孤狼の血 LEVEL2がとにかく面白かった』
『面白い映画は正義だなと思った』
『ワンの数年後の話なんですが今回も超面白い』
『こういう娯楽映画を老舗の東映と白石和彌監督。力のある監督ですよ。』


『ベルリンアレクサンダープラッツ面白かった。面白かった。あっ、おれ、コメント出してるな』
『(自分のコメント読んで)プロの仕事だね。やっぱり』
あと石野卓球敬称略なんかもコメント出してますね』
『アンカットダイヤモンドよりは観れると思うよ』

『ファスビンダーって言葉がちょっと知ってる人には身構える』

『マスターオブノーンは最高ですよ。俺、記事を書いてるから』
『マスターオブゼロに関しては僕を筆頭に結構、頑張ったので観てるひとは結構、多い思うんですよ』
『2021年、密かにシャンタルアケルマンブームですよ』
『かつてはアケルマンとかファスビンダーとかの話をするとゴリゴリのシネフィルの話ですよ』
『俺たちもシャンタルアケルマンとかの名前を出すとついつい気負っちゃうけど気負わずにやっていこうぜって感じですよね。』
『ホン・サンスは一番近いのは坂元裕二だからさ。この間の「逃げた女」最高だよ』
『ホン・サンスはキャンセルしれかかってるって話もあったよね』

今回のマスターオブゼロは海外でもNetflixとかが宣言をしてないような感じがする。アジズ・アンサリはキャンセル問題で作家の規模が小さくなってしまった感じがする。それは行き場のない思いを感じる』


『アジズアンサリが東京でやったトークライブのドキュメンタリーを撮っていた。それに町山さんと坂元裕二と小沢健二と僕が行っていたから映画になったら写っているかも知れない』
『重要な人はだいたい揃っている』
『俺とかちゃんと笑ったよ。周りを見ながら』


『最初の20分アジズアンサリ日本語でやるのよ。』
『2/3は内容分かったよ。1/3は分からなかったけど』
『これから僕が書いた記事が色々出ますので』
『マスターオブゼロは誰にでもオススメ』
僕、Netflix仕事未だにちゃんと続けてるんで公式から出ると思います。よろしくお願いします』

【寸評】

宇野先生の相変わらず自信満々の俺は重要な人発言が出ました。ネットフリックスの仕事もまだやってるらしい宇野先生でした。




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『(タナソーがWe are Who We are radioをdisりまくったことに対して)さっき説教しました』

タナソー「うのつねまささん?」
『つねまさじゃないよ』


タナソー「立田さんがゲストに出てた3回目は宇野さんの我々の知らない魅力が出てる」
『後輩キャラとしてのね』

『ぜひ聴いてください』

『前回ね、ホン・サンスの逃げた女とかこんなのもあったといくらでも出てるんですけど、Poplife the Podcastの番組のリスナーに向けてプレゼンするならこの三作。』
『21ブリッジ』
『緊急事態宣言のせいで映画の興行としてのパフォーマンスを出しきれていない作品』
『見過ごしてる人、見過ごしてないですか?』
『ブラックパンサーのチャドウィックボーズマンの最後の主演作品』
『本当にこの役者は重要だったんだなと』
『亡くなったことに関しては辛くなるので触れませんが』
『ブラックパンサーが初めて登場したのはシビルウォーだよね。』
『僕はMCUの中でシビルウォーが3本に入るぐらい好き』

『チャドウィックボーズマンは意識的に黒人のヒーローを演じてきた』
『結果的に最後の主演作で警官の役を選んだのは重要だと思う』
『腐敗した警官の内部告発物の現代版。それをあえて作った』
『ブラックパンサーを観た人は多いと思うのでこれは見逃していませんか?と』
『そもそも21ブリッジと言うタイトルはマンハッタンと周りのブルックリンとかクイーンズとかのニューヨークと繋がっている橋が21個あるんですよ。踊る大捜査線のレインボーブリッジを封鎖せよみたいに橋を封鎖してマンハッタンに閉じ込めろ!みたいなそういうタイトルなんですよ』
『最後に21ブリッジにもう一つの意味があったのに凄く感動しちゃって。』
『僕、最近、不動産に興味あるんですよ。』
『もはや都市には富裕層しか住めない』
『警官の給料じゃマンハッタンとかロサンゼルスでは暮らせないという問題がある』
『インフィアンレントバイスを観た時にあー、俺もベニスビーチとか住みてえ!って思って不動産探したことあるのよ。馬鹿だから。本当にただのボロいアパートの一部屋が45万とかよ。LAの海沿いの所とか。誰が住んでんの?って、金持ちのボンボンかITの偉い人以外誰も住めないみたいな。最近だとオークランドを舞台にしたブラインドスポッティングとかでもどんどんサンフランシスコからオークランドに金持ちがどんどん移動して行って住み辛くなる。それが西海岸でも東海岸でもどんどん進んでいる。だから、単純に70年の警官ポリティカルサスペンスの焼き直しじゃなくてちゃんと今の警官も住めなくなっていると言う着地に俺は感動した。本当にそうだよね。』

『ベルリンは世界唯一のお金を持ってないアーティストにも優しいと言われてたけど今そうでもないんでしょ?』

『実はこれから話すインザハイツもニューヨークのマンハッタンの話なんだけど』
『関心ごと、それは。リアルタイム映画の面白さそこにあるんだよね。自分の身近に感じる問題が同じように世界でも起こってることを感じながら観る映画』

『渋谷とか、日本橋とかのさ。今後の開発とか見るんだけど、駅前とか商業施設じゃなくなってるんだよね。日本橋とか駅直結のタワマンだし、渋谷も直ぐ近くにタワレコ出来るし。これまでだったら商業施設かオフィスだったのにどちらでもない。人が住むんだよ。誰が住むのか?金持ち。と言う時代ですよ。主要な駅はそうなっていく』

『警官にも黒人はいるんだもん。一番肩身が狭い思いをしてるのは黒人の警官な訳で。ちゃんとそこを切り捨てないのは凄いと思った』

『BLM以降、警察物ってこれまでの形では作れない。警官で笑えないよねみたいな。ブルータルジャスティスはそれを偽薬的にやってるけど、もうビバリーヒルズコップとか48時間みたいな奴は成り立たない?だけど、その中で火中の栗を拾う感じのチャドウィック。』
『黒人のスター俳優が警官をやる。映画の可能性を狭めないと言うだけで凄いと思いました』
『インザハイツはハミルトンを作った方の出世作』
『実はニューヨークの人たちは不法移民に支えられてる』
『彼らがマンハッタンの橋を渡らないと彼らの住む場所がなくなっているのが2010年代以降で、そんなワシントンハイツというラテン系の移民の人たちの集落というか地域を舞台したミュージカルなんですが、それは最高でしたよ』
『アメリカでゴジラvsコングは業界内で評判が良くなくてHBO MAXでも配信されるからヒットしないだろうと捨て駒的に劇場公開したらちょうどそのタイミングでワクチンが周り初めて映画館に行こうと言うムードの中で当たったんだよね。予想以上に。これを何を意味してるかと言うと人はHBO MAXで公開と同時に観れても劇場で観たいタイプの作品は劇場に行くのがゴジラvsコングで証明されたんですよ。その流れの中でミュージカルってさ家で観てもしょうがないんだよね。この作品はダメ押しでHBO MAXでもやってる劇場で観たいってムードを絶対作ると思うんだよね。俺はこの一年ずっと考えてたことで映画ってどうなるんだろう?と思ったけど映画死なないって言う象徴になると思う。それがミュージカルなのも必然だと思う』
『タモリとかが良く言うミュージカルは人はいきなり歌わないし、見てて恥ずかしいじゃんっていう。それは言いたい事は分からないでもないけど、そもそもキャプテンアメリカもアイアンマンも非現実的だしそれが現実の街で活躍してるのを観るのも楽しいじゃないですか。そのスーパーヒーロー映画とかでさんざん観客の意識も変わってきていきなり歌うのもいきなり飛ぶのも同じなんだよね』
『なんでこんなストレートなミュージカルをなんで俺こんなストリートに感動してるんだろうと言う自分に驚くミュージカルです』
アリアナグランデがインスタのストーリーで信じられないぐらい素晴らしいかったと言っていて俺と同じこと言ってるなと思った』
アリアナと100%シンクロしました』
今年、スピルバーグのウエストサイドストーリーが公開されてその後自伝っぽい映画を撮る。完全に人生締めにかかったなと』
『来年のアカデミーはインザハイツとスピルバーグのウエストサイドストーリーが争うかも知れない。映画の復活がミュージカルとともにやってくる感じ。それが共にニューヨークが舞台。なんかただのエンタメおじさんみたいになってるけど』
『今年か来年のNetflixのアイリッシュマン的な作品がバーンスタインになる』
さっきまでファスビンダーとか言ってたのが嘘のように、なんかLiLiCoさんみたいになっちゃってる。僕はコレコですよ。全然、語呂もあってないや』
『あと、プロミシングヤングウーマン。これ観たあと三原さんに観てーってDMしたもんね』
『プロミシングヤングウーマンはMetooの中でもネクストレベルの作品』
『エメラルドフェネルはクラウンでは女優として出演してショウランナーとしてはこの作品を手掛けている』
『スキャンダルのマーゴットロビーがお金を集めて作っている』
『作品の中でジャンルがコロコロ変わっていく感じがアカデミーの脚本賞取るよねって感じ』
『ブリトニースピアーズのtoxicがクライマックスで使われる。エメラルドフェネルは本当にブリトニーのファン』
『ブリトニーを我々が消費したと言う文脈も含まれている』
『とにかく面白い。これまでだったら俺が語らなくなく良い映画かも知れないけど、アメリカの優れたクリエイターの作る映画最高だよね。それだけ。問題意識にユーモアや楽しさがある』
『みてー!コレコになってしまった』
『ノマドランドとかを悪く言う人がいるのが驚きでさ。あれは良い映画じゃん。美しいじゃん。楽しみじゃん。あれはポエットじゃん。詩に対して正しいとかどうかとかさ。何でもかんでも政治的な正しさに照らしていくんじゃなくて、履き違えているのはダメだけどそれを踏ませた上で転換していく時代になってきた』
『木津くんが辛い作品ばかり選びやがってとかは思ってないけど』

タナソー「ルカグァダニーノを二人で語るより熱量ありましたね」

『見方に寄っては否定的な意見もある』

『これですげえ有名な映画ジャーナリストがキャンセルされたんだよね。キャリーマリガンが主人公をやるには歳を取り過ぎていてプロデューサーのマーゴットロビーがやった方がいいんじゃないの?って発言をした。これって絶対言っちゃいけないよね。けどね、たしかにその通りなんだけど。素朴な意見として言っちゃう気持ちが分かるから。俺も同じこと言っちゃうからこういうこと言っちゃダメなんだって』

木津さん「しかもその人60代のゲイで。ゲイだから性的な気持ちで言ったわけじゃないって言う酷い言い訳をしてましたけど」

『日本でもこの役、石原さとみじゃなくて誰のが良かったと言うみんな言うけどアメリカだとこういうこと言うと本当に終わるんだなと。けど言いたくなる気持ちも分かるんだよなあ』

『(最近、女優って名詞をやめようって流れがあるけど)俺は絶対、女優って死ぬまで言い続ける』

木津さん「多分、辛口オネエキャラみたいな感じだったんじゃないですか?」
『おすぎみたいな感じかと。テキトーなこと言ってるけど』

『おすぎさんもLiLiCoさんも尊敬してますから。嫌いな人はこういう時名前出さないで。絶対』


『3本とも絶対観た方が良い』


【寸評】

アリアナとシンクロしてることを自慢する宇野先生ですが不適切な発言をしてキャンセルされた映画ジャーナリストと同じことを思ってキャンセルされないか心配する宇野先生でした。宇野先生の発言は良く炎上しますが近年の日本でも厳しくなったご時世ではキャンセルされる日が来ても不思議ではないですね。






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『実はカンヌでウェスアンダーソンのフレンチディスパッチ上映されて10月にはアメリカで上映。日本でも年内で公開されるかも知れない』
『メインキャストがティモシーシャラメの作品が同時期に公開されるので調整されるかも知れないが』
『タナソーさんが僕を君の名前で僕を呼んでのポロシャツをティモシーシャラメに影響を受けて着てたことを九州のトークショーで随分、馬鹿にして来たよね』
『ジャケット着てた時期は妻からいい歳なんでジャケットぐらい着なさいと言われて着ていた』
『ティモシーシャラメと性別以外ほぼ違うけどね』
『ウェスアンダーソンって観てこの人の映画ってすぐ分かるじゃん。』


俺は90年代から映画の仕事してるじゃないですか。ウェスアンダーソンとソフィアコッポラの試写になると…。普段試写ってどこも媒体持ってないペンクラブ会員の死にかけのジジイとかババアばかりなんだよ』
『プラス現役でそれなりにやってる… そうだね。あんま良くなかったよね』
木津さん「エイジズムだと仰ってたその口から出てきた」
『前提として媒体持ってないのに来るんじゃねえよ!って』


『ウェスアンダーソンとソフィアコッポラの試写だと普段来ないファッション系の編集者が押し寄せる訳。こっちはまあまあ人気あるからと思って早めに行くと満員ですとか言われて、はっ!みたいな。それぐらい業界周りに人気があった監督だよね』
『ファッション業界はワナビーで出来てるから』
『ソフィアは良くも悪くも作家として変化をしていて、作家としての変化によっめ削ぎ落とされたけど、ウェスアンダーソンはその神話も残りつつ正当な作家として評価みたいな物も凄くついて来ているし、俺好きじゃないけど青山真治とかシネフィル系の人たちも凄くみんな一目置いてるんだよね。万能なカードとして今も君臨している。二人の立ち位置を随分変わったなあと』

木津さん「僕もカットとか読んでる少年でしたよ。宇野さんの文章とかも読ませて貰って」
『お恥ずかしい』


『タナソーさんウェスアンダーソン好きなんだね。俺は好きな作品はあるけど無邪気に楽しんでたのは本当にライフアクアティックぐらいまで。当時、中原昌也くんとかと盛り上がってたりしたけどノイズもあるじゃん。なんか自分のものという感覚がないんだよね』
『ノイズはファッションピープルのこともあるし、熱狂してる人が読み取ってるコードを俺は読み取ってないんじゃないと感じる数少ない作家かも知れない。パンフレットの仕事はやっていて距離に対しては誠実に書いてますよ』
『タイラークリエイター、カニエウエスト、フランクオーシャン、SZAとかラッパー系に人気がある。向こうの雑誌で何故ウェスアンダーソンがラッパーに人気があるのか特集されるぐらい。ここ数年はそれでちゃんと観直さなきゃと思ってる』

『ウェスアンダーソンには俺はイマイチコードを読み取れてないんじゃないかと?と言うコンプレックスを抱えて来た』

『犬ヶ島とかすげえじゃん。アニメでここまで撮れるなら実写撮る意味はなんなんだろう。好き嫌い抜きに有無を言わせぬって所に行っちゃってると思うんだよね」
『俺もテイストでは好きではないけど、厳密に言えばムーンライズ・キングダムとか2012年におけるフレンチポップの使い方はそもそもこれはオシャレなのか?ちょっと落ち着けって当時は思っていた』
『なんでこれオシャレなものになってるの?という気持ち悪さがあった』
『ファッション業界における可哀想な人たちのオシャレのコードって90年代前半で止まってるんだよ。俺よく知ってるからさ』
『そういう連中の慰めものになってる感じがムーンライズキングダムの時はしてた』
『ウェスアンダーソンが観てる世界は違うと思うけどね』
『どっちも作れちゃうんならどっちも作りたいか。そうかそうか。』
『俺が面白かったのは荏開津さんと話をしてて、俺が小沢健二の帰還って本を書いた時にさ。小沢健二がニューヨークに行ってるときに小沢健二は電話でのインタビューを2回だけ受けていてその一回が荏開津広さんだったんだけど、どういう取材だったんですか?と聞いたことがあって、使わなかったんだけど、ウェスアンダーソンにハマってるんだよねって。2001年の話ですよ。ウェスアンダーソンの話で盛り上がったけど使いようがなくてさって。ダメだね、俺、全部、ウェスアンダーソンに対して間接的だね。俺はファンだから小沢健二の目で見直すみたいなことがあった
『興味を惹かれる文脈とまあ、違うんじゃないの?っていう文脈があってウェスアンダーソンは難しいね』



『分かった。俺は結構苦手なんだよね。是枝さんの樹木希林とリリーフランキーにも言えることだけど、同じ役者を都合よく使う人よりも総とっかえする方が好きなの』
三原さん「そんなこと言ったら坂元裕二さんとか同じ役者使うじゃないですか?」
「…  坂元裕二さん監督じゃないもん』


『ウェスアンダーソン嫌いだって公言してるの菊地成孔さんぐらいじゃん。あんまり言えない人なんだよ』
『有名なのはスティーリーダンの2人のドナルドフェイゲンとウォルターベッカーが連名でさ。オープンレター書いた有名な話があるじゃないかですか。ようするにウェスアンダーソンのこれまでの映画の音楽の使い方のどこがダメでどこがダサかったか全編マウンティングの文章を書いた上でいつでも連絡待ってるみたいなことを書いてた。だから拗れてるのよ。世代的にも全然下な訳でさ。けど、スティーリーダンの二人はウェスアンダーソンが大好きで大好きで一緒に仕事したいんだけどと言う捻れた愛情。歴史の一部なんだなと。トマスピンチョンの小説みたいな世界じゃん。』
『素直に好きと言えない感じがあるけど、俺は素直じゃなくてもそんなに好きじゃないんだなと。オザケンが好きだから好きになりたいけど違うかも?と言うのはある』

『ジョジョラビット辺りはギリギリだよね。ちょっと近いことやろうとしている』

『ウェスアンダーソンが凄いのは興行成績と評価が伴っていること』

『最近さ、自分の過去に書いた文章で学ぶことが多いんだよね』
タナソー「なんと受け止めていいか分からないことをおっしゃいますね」

『俺が書いてたよ。アンダーソンによるとただ報道の自由を訴えるものではないもののジャーナリストたちへのラブレターとして作っていると』
『俺が色んな映画の記事読んで書いてるんだ』
三原さん「俺が言ってるよって笑」
『だって覚えてないよ。一年以上前に書いた奴なんだもん』

改めて思うのは三原さんにこんな事言うとマンスプレイニング的でよろしくないのかも知れないけど、そんなに映画を観てない人も凄く映画を観てる人も等しくウェスアンダーソンのという名前に惹かれているってこの現象はやっぱり、俺は大好きだからあえて名前を出すけどポールトーマスアンダーソンにはない事だし改めてウェスアンダーソンってすごいんだなと思った』

『こうやって話すとその理由がわかってきた』

『一番困るものが「一番好きな映画はなんでちゅか?」みたいなそんなのあるかよ!みたいな』

『一番好きな映画、映画作家。そうだね。答えたくないね』

けど、新潮社のキムさんにソダーバーグとフィンチャーという新書を書きませんか?って言われたけど「それ売れると思います?」ってでも、その二人は一番気にしてるよね。』

『本業としてなかなか迂闊に話せない』
『色んな意味での指針は二人が何を考えてるか。この二人は別格』

『俺はいつズレるんだろう?と言う恐怖がある。歳上のソダーバーグもフィンチャーも何一つずれないから。』
『タナソーさんは最初からズレてるから加齢よってズレることがないことから自由でいられるから良いですねって思ってる。最初からそもそもズレてるから』
『50歳過ぎた人がズレていく姿が凄い気になるのよ。』
『俺はとかピチッと立ってるからさ。このピントがズレるのが怖くて』
『メディアで発言する人、書く人、あるいはタレントもそうかも知れないけどある瞬間からズレていくの見てると恐ろしく感じる。自分も気付いてないしファンも気づいてないみたいなのを良く見ます』

『スピルバーグはウェスアンダーソンの五千倍好きだね』

『好きな作品と今見返して貰いたい作品と違うから難しいよね。』
『スピルバーグはストリーミングで観れない作品もあるからさ。俺は全部持ってるけど。』
『俺、取材もしてるからさあ。自慢じゃないけど』
『スピルバーグはある時までは作品は本当に面白いからね』


【寸評】

いきなりペンクラブの死にかけのじじい、ばばあというキャンセルされるかもしれない発言をぶち込む宇野先生でした。

宇野先生の小沢健二と坂元裕二氏への相変わらずの愛が隠し切れない宇野先生です。やっぱりオザケンの例の件は宇野先生が無関係とは思えないですね。


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