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宇野維正先生考察第四十二弾 FM COCOLO Whole Earth RADIO 「ポップカルチャー2021 ハーフタイム」前編 ■DJ:野村雅夫 ■ゲスト:田中宗一郎/宇野維正 の宇野先生編

今回の宇野先生考察はFM COCOLO Whole Earth RADIO 「ポップカルチャー2021 ハーフタイム」の前半編の宇野先生の発言をピックアップしていきます。

今年前半のミュージック・シーンを、早くも振り返り! 『2010s』の著者コンビ、田中宗一郎と宇野維正が半年ぶりにFM COCOLOに登場して、それぞれが海外そして日本でいま最も注目するアーティストと楽曲を出し合い評じていきます。どんな社会的メッセージが込められた作品なのか? withコロナのライフスタイルの影響で、サウンドはどう変わったのか? ポップカルチャーとしての音楽の聴き方を学べる、必聴の1時間×2回シリーズ!(ホームページより引用)

という事だそうです。ピックアップしていきます。宇野先生は流石にラジオなので多少言葉を選んでいますが東京の番組よりは宇野先生節も出ています。



『はい、宜しくお願いします』
『あのだから、ツアーとかフェスがなくなったと言うのは日本も一緒なんだけど今年、グラミーも数週間遅れてちゃんと会場では出来ずにアカデミーも会場でやるために4月にしたのに結局収録またいな形になったじゃないですか。で、どちらも史上最小視聴者数だった訳ですよ。それはこれまでみたいなショウアップしたセレモニーが出来なかったからだけではなくこういうパンデミックが一年以上続いた事でアワード自体の価値とかそれに対する関心みたいな物も。それは今年だけじゃないと思うんですよね。何かのきっかけになってしまったと思うんですよね。グラミーもビヨンセとかミーガンとか取るべき人が取った感も多少あるんですけど話題にもなんない。それは日本の報道もそうですよね。日本もそれまではビリーアイリッシュ何冠みたいなグラミーぐらいはニュースになってたけど今年はそれ取り上げてない。でまも、その感じはしょうがないって言うか。色んな意味で日本だけじゃなくて北米での関心もへってる。それに若い世代がそこに興味がなくなってる中でのオリヴィアロドリゴがガーッと盛り上がってるのは表裏一体な感じはしますけどね』

タナソー「オリディアロドリゴでデジャビュ」

Olivia Rodrigo - deja vu 





『そもそもアワードへの関心が薄くなって来ていたところでのパンデミックと。The Weekndがノミネートから外れるみたいな事もスキャンダルになりましたけどそういう色んなものが重なって権威みたいなものが相当薄れて来たなと言うのがありますよね』

タナソーがビリーアイリッシュがグラミーを取っても嬉しそうじゃなかった&ミーガンが取るべきと言ったことを受けて
『かつてもビヨンセがノミネートした時にアデルが取ってアデルがビヨンセが取るべきだったみたいなことがありましたけど、あの時は前提としても賞の権威がまだあった感じはあったけど今回はより痛々しかったですね』

野村氏「権威が右肩下りになって来た理由は?」
『ジェンダーだったり人種だったりとかは、ずっとどっちも、特にアカデミーに関しては言われて来てそれは結構な勢いでアカデミー会員の比率とかも是正されてはいるけど、是正されるのが遅かったのと、是正されたことによって特にアカデミー賞は大きな作品がそもそも公開されてなかった事もあるんだけど、まあ政治的に正しすぎるものは数字取れないよね。という。それは相反する物とは言ってはいけないんだけど、ただ急に処置をし過ぎて保守的な視聴者もついていけないし、進歩的な視聴者にとってはもう見切られてるし凄いどっちつかずの場所に行っているという感じで、それも含めての手遅れ感があるのと。けど、より深刻なのはグラミーかもね。The Weekndが凄く自分たちの世代の新しい賞を作れば良いんだよみたいな怒らずにこの件についてコメントしてましたけどそれって結構若い世代には共有されてるんじゃないですかね。今更、古い権威を変えていくよりは新しいものを作る。もしくはアワードって何?みたいな所にポップカルチャー全体が来てる所にあるような感じはしますけどね』

『今回は2週連続という事で一週目は割とメジャーどころを二人で話していこうかな?ということでジャスティンビーバーのアルバムのジャスティスおよびそこからの曲という事で考えたいんですけど』
『ジャスティンビーバーは去年もchangesって言う凄い良いアルバム出したんですけど、むしろ今回のが世の中的に盛り上がった感じがあって何となくアルバムのムードがパーソナルな作品であるのは引き続きそうなんですけど、今のポップミュージックの基調と言うのかな?このパンデミック期間というのもあったとは思うけどサウンド的にも密室感があって、で、何だけどもchangesと比べて。日本はオリンピックというとてつもない負債を抱えてるのでそれどころじゃない。そんな気分にはなれないけど北米を中心にちょっと出口が見えて来た感のムードみたいなものをジャスティンのアルバムとそれを取り巻く世の中の温度が影響してるんじゃないかな?と思い2021年の上半期を代表する作品と言う形で選ばせて貰いました』
『去年の作品で言うとアリアナグランデのポジションズとも繋がると思うんですけどもこういう時代になってカジュアルセックスが現実的に出来ない時代になって親密な恋人との関係。ジャスティンの場合は夫婦間の愛みたいな。ある種、歌のテーマとしては保守化してるんだけども新しい保守的な価値観みたいなものがジャスティスと言うタイトルにもある程度反映してるんじゃないかな?と思ってるんですけど、けど今回、ジャスティンビーバー割と日本へのプロモーションも積極的で。去年、来日もフェスも無くなって日本のことなんて誰も気にしてないやって。ポップミュージックのマーケットとして存在感がなくなっていたのに「ジャスティンこんなプロモーション頑張るんだ!」と言うなんかホッとした気持ちというか。「ジャスティンお前だけだよ。気にしてくれるの!」なんて思いもありつつ』
『日本のテレビ番組で番組ごとにちゃんとセットも曲変えて。フューチャリングがいらない一人で歌える曲を選んでましたけど。あと、ジャスティスで思い浮かび日本の芸人さんとのコラボレーションを日本のレコード会社も頑張ってやったりですとか。あんまり使わない言葉ですけど、まだ日本で洋楽を売る気がある人が頑張ってるんだ。みたいな。』
『いや、それすらなくなりかねないぐらいの今回のパンデミック。最大のプロモーションだったフェスがなくなり現実的に今年のフジロックは海外のアーティストを呼ばないと言う形になったじゃないですか。北米は大規模なライブ、フェスが復活しそうな感じがあるけど2022年以降の未来に希望を持たしてくれるような一連のジャスティンビーバーのジャスティスの動きだったと言うそう言う感じです』
『7月の後半にはローリングライドって言うラップのフェスですけど、エイサップロッキーとトラヴィススコットとポストマローンがトリでマイアミでガンガンやりますからね。これが何を意味するのか。ワクチンが回ったから大丈夫なのか、フロリダとかほぼほぼみんな罹ったから関係ねえ!なのかどっちなのか分かんないけど、ある種、その一応ワクチンというのが一つのエクスキューズになって動き出すことにしたんだな。って言うそう言う感じですよね』
『ちょうどその時、日本はオリンピックやってるかどうか分からないけど、なんかあれだけ感染者数が桁違いに少なかった日本がここまで出遅れると言うね。いやー切ないですよ。それは本当に政府の問題じゃないですか。これぐらい分かりやすく、政府のある種の権力だったり優秀さだったりが現れることはないと思うので。痛い思いを我々がしちゃってますね
『そもそもフェスもオリンピックの影響で日程を変えていた』
『元々、ダブル煽りなんですけどそれに加えてワクチン接種がおくれていると言う中で果たして海外のアーティストが日本に来てくれるのか?海外進出の流れを作ってた日本のアーティストも海外に行けないだろうとか。住んでる国が我々に取って重荷になるんだろうなと。そう思うと憂鬱になるんですけどジャスティンビーバー。前のツアーは思い切りキャンセルしやがりましたけどそれでもジャスティンは見てくれてる。そんな感じです』

タナソー「今のジャスティンビーバーはある種宣教師なので福祉の気持ちで日本は酷い国だと思って助けてくれてる」
『フランシスザビエルとして?』


『はい、ジャスティンビーバーfeatダニエルシーザー、ギボンのピーチズ』

Justin Bieber - Peaches ft. Daniel Caesar, Giveon





タナソー「僕はラナデルレイを」

『本当、アメリカのポップミュージックって基本ドライブミュージックじゃないですか。みんな車でニューヨークとか別だけどそれ以外は車で音楽を聴いてる。それを前提で音が作られてる。ラップとかは特にそうなんですけど。たしかに、ラナデルレイ車で聴かないね。聴くとディテイルが消えて「何聴いてるんだろう?」ってなるもんね』
『ジャスティンビーバーは最高のドライブミュージックだけどね』

タナソー「オリビアロドリゴはロックなんですよ。プロデューサーはインディーロック出身の子だし」
『オリビアロドリゴはだから僕苦手なのかな」


『今年前半出たアルバムで言うとaikoもそうだったんだけど最初の2、3曲が凄すぎてアルバムの最後まで中々辿り着けない』

『例えばスタンリーキューブリックがバリーリンドンで蝋燭の灯りだけでフィルムにおさめるって言う技術を発明したのに近いラナデルレイの歌声だよね。あの掠れて消えそうな声がなんで録音されてるの?みたいな感じがありますよね』

タナソー「ヘッドフォンで爆音で聴くと怖い」
『そうだね。ヘッドフォンで爆音で聴くと怖いね』

タナソー「ラナデルレイでホワイトドレス」

Lana Del Rey - White Dress 





『どんどんポップミュージックって短くなって2分台とかになって来たけど、去年ぐらいからラップとかも含めて長くなって来た。面白いなと思いますね。聴く時間ができて来たと言うか。』

『収録のタイミングで言うと出たばっかりなんですけど、ビリーアイリッシュのユアパワー。7月に出るアルバムのリード曲と言う形で出たばっかりで上半期という事ならこの曲を最後にタナソーさんと話したいなと』
『まだ数時間前に出たばっかりで聴き込んでないんですけど』
『彼女、北米ツアーは始まってましたけど結局、ワールドツアーは出来なかったわけですよね。日本にもそれで来なかった訳ですけど。例えばThe Weekndとかは来年の頭からこの頭のアフターアワーズのワールドツアーをやるわけですけど、このパンデミックによってライブを1年、2年、休止してリスタートするってアーティストもいる訳ですけど、その一方でビリーアイリッシュはデビューアルバムのワールドツアーをやる前に次のアルバムに行った。そこが、しかもタイトルが   これまでになく最高。幸せって意味ですけど。その意味みたいなものを考えさせられるなって言うのと。これも、またどんどんビートがなくなっているよね。ビリーアイリッシュ。』

『ビリーアイリッシュはドゥーンと言うサブベースの申し子のように出てきた』
『さっきのピーチーズもダンスホール経由のビートですもんね』
『ギターは全面的にサウンドのエレメントとしては復活してますよね』
『キックがなくなったのはトレンド以外に何か関係してるのかね?』
『ただビリーはアルバムはどんな感じの曲が入ってるか分かんないけど、これは完全に2021年後半以降のライブエンターテイメント復活を見据えてのアルバムと考えた方が良いですよね』
『ヤバいね。日本は早くワクチン回さないとライブエンターテイメント復活から外されちゃうね』

タナソー「日本だって海外のアーティストで来たら一番盛り上がるのビリーアイリッシュ。ジャスティンビーバーが来ても、そんなに盛り上がらない。」
『いやー!ジャスティンビーバー来たら盛り上がるよー!』


『去年、パンデミックになる前ギリギリ一番大きなライブやったのクイーンなんだけど、それ数ヶ月前に僕らさいたまスーパーアリーナでU2観たの今になって思えば夢のような空間だったんですよね。ああいう何万人の中で、トップバンドで、ライブも最高でみたいな。』
『フェスはフェスとして、単独は誰が来るか?怖いねー。プロモーターも大変ですね』

『はい、ビリーアイリッシュ、ユアパワーです』

Billie Eilish - Your Power




『だってダベイビーもPolo Gもみんなヒット曲はギターですからね』
『でも、バンドサウンドではないですよね。ギターサウンドですから』
『来週もよろしくお願いします』

【総評】

特に面白いような発言はないのですが、政府への批判やオリンピックへの皮肉などは流石の宇野先生でした。終始、ジャスティンビーバーを擁護し続ける宇野先生もなかなか面白い物がありましたね。選曲も一週目なのでというところもあり宇野先生も明言されてますが比較的あえてベタな所を選んだ感じになってますがテーマには沿っているとは思います。

次週も更新したいですがradikoの試聴期間が短いので更新出来るか分かりませんが宜しくお願い致します。


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