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宇野維正先生考察第六十三段 三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The Podcast 映画監督 『スパイダーマン ノーウェイホーム 』回の宇野先生編

今回の宇野先生考察はお馴染みのPOP LIFE: The Podcastからです。スパイダーマン ノーウェイホーム回です。ではピックアップしていきます。




『映画音楽ジャーナリストの宇野維正です』
『僕、頻度高いね』
タナソー「大丈夫、大丈夫。春になったら消えて貰うから」
『あっ、じゃあ、春は越せる感じですか』

『サムライミのスパイダーマンファーストシリーズのチームでドクター・ストレンジを撮る事になってる。不安』
『サムライミのスパイダーマンの頃にcutにいて中島英樹ってデザイナーとソニーのタイアップでスパイダーマンモチーフで広告を作って死にそうになった思い出があるからその悪夢のような思い出しか思い出せない』
『ザ パワハラですよね。俺も若かったからさあ。』

『今回のスパイダーマンは過去に仕事をして来たから感無量って感じなんで、フラットに評価できないのはある』
『サムライミ版は今、観ると古いね』


『一月公開なんて許せんって怒ってるフリをしてましたけど、12月には観てたんですよ。実は』



『子供にスパイダーマン好きなら今までの作品を観ないといけないからと子供と年末年始、一緒に復習したんですよ。ノーウェイホームを観て子供も「とうちゃんの言ってた意味が分かった」って言ってましたけど、過去の作品を観てる間は楽しそうじゃなかった。今のMCUに慣れてる子供には刺激が足りないと思う』
『カット割一つとっても退屈だと思う』
『だからドクターストレンジは心配って感じ』
『点数で言うとかなり良い』
『シビルウォーの出方はスマートだった』
『アメイジングシリーズの今観た時の最大の欠点はあれって3Dブームの時に作られた作品。スパイディーのスイングシーンが3Dで観た時に効果的に観れるかだけを考えた画角だから』
『いまは3Dは誰もやってない。テクノロジーって怖いね』
『でも、アンドリューガーフィールドとエマストーンは魅力的ですよ』
『もちろんマスコミには問題はあるけど、第三の権力としてのマスコミを認めたくなくてマスコミを陥れるようなムードを凄くサムライミはこの時代から仕込んでるとは感じた。マスコミを悪く描きすぎだもん』
『そもそもみんながこんなにフェイクニュースに騙されるようになったのはマスコミの権威を落としたからじゃないですか。「既存のマスコミはあいつら嘘ばっかり言ってる」って言ってる連中が新たな情報源として陰謀論にやられていったと言う大きな流れをそもそもスパイダーマンも作ってるよなって感じた。サムライミ版から観るとマッチポンチ感を感じた』
『僕はスパイダーマンはみんな100点で意見が分かれないからポップライフでやる必要ないと思ってた
『エンドゲームが100点だとするとMCU的な大団円感はないじゃないですか。でも、これまでのスパイダーマンの大団円。エンドゲームの大団円感に比べると1/3だけど作品として85点ぐらいは付けて良い』
タナソー「エンドゲームが100点だとしたら200点。エンドゲームは40点ぐらいの映画だけどね」
『それを言ったらエンドゲームが80点で今回のスパイダーマンは65点だけどね』
『でも、MCUの中では最上級なのは間違いない』
『悪いのはドクターストレンジですよね。僕は好きですけどね』
『僕はドクターストレンジに共感があるんですよ。それは自己投影だと思う』
『IMAXはお客さんのマナーが良いよね。やっぱりそこに付加価値を感じて来てる人たちが多いから。スマホ観てるような変な客がいない。それにIMAX料金を払ってるところがある』
『スパイダーマンは実はアベンジャーズの中でアイマンマン以外とはそれ程関わりはないんだよね』
『今回のスパイダーマンはメタまで回収してる。映画としての解釈のしようがない』
ノーウェイホームが公開された時にアメリカでは映画館に行った人の92%がスパイダーマンを観た。他の映画は8%しか観られてない。もしノーウェイホームが映画ではないなら映画を観た人は8%しかいない。同じ時期に公開された映画に客がいないことをどう受け取るのか』
『コロナ禍で映画は映画館を避けてると言われてたけど大人もノーウェイホームしか来ない。どうなんだ?って話でもある』
『MCU映画以外がヒットしない事に困ってるのは実はMCUだと思う。』
『海外のマスコミは戸惑ってる。この時期は各映画会社がアカデミー賞に向けてプロモーションに動く時期なのに全く動いてないから今年のアカデミー賞は盛り上がらないはず』
『相乗効果すら期待しなくなって来ている。映画会社が大人向けの映画を作られなくなって来ている。最後の決闘裁判とかウエストサイドストーリーとかの作品の強さと客の入らなさの対比がどうにもならない。パラサイトとかフォードvsフェラーリがヒットした時代は永遠に戻ってこないとか海外ではどのメディアも書かれている』


『俺はもっと前から言ってたけど』


『多分、これは事実なんだよね。色々あったけどパンデミックがスイッチを押してしまったのは間違いない。生活様式が変わってしまった。日本でも同じで岩波ホールが去年リニューアルしたのに今年閉館になるみたいな。徐々に始まった事ではなくこの一年の激震だと思います。本当の時代の変わり目なのかな?と思う』
『スーサイドスクワッドとかも入ってなかった。バッドマンがどうなるか分からないけど。あれも大人向けに作ってるとは思うけど』


『マーベルは鬼滅やってるフジテレビとか呪術やってるTBSみたいな何の責任感を持ってないビジネスマンとは違いますよ。マーベルは本当に戸惑ってると思う』



『アカデミー賞は商業的になんの効果もない一年遅れのカンヌ映画祭みたいになると思う』
『ドライブマイカーはシネコンではガラガラだったけどミニシアターになって客が入ってる』
『ケビンファイギもジョニーパスカルもやべえうちしか勝ってねえって思ってると思う。ワッハッハ儲かったとかは思ってないと思う』
『日本のソニー・ピクチャーズジャパンが公開が遅れたせいで色んな人に迷惑をかけてる』
『ノーウェイホームは今の時代では日本でも大ヒットだと思う』


『毎週興行のことを書いてるので数字はちゃんと覚えてるでしょ』



『海外より三週間遅れてるけど大ヒットしてる。なんなら遅らせた事でヒットしたとかソニー・ピクチャーズジャパンでは言われるかも知れない。』


【寸評】

実は昨年にはスパイダーマンを関係者として観ていた宇野先生。流石です。

俺は前から言っていた発言は良くされます。流石の自信家です。鬼滅のフジテレビと呪術のTBSを突然の批判。これも宇野先生ですね。

宇野先生のリアルサウンドでやってる興行分析でも流石の自信家の宇野先生です。エヴァの件では毎回予想が変わって炎上してましたが。







『映画的にはノーウェイホームで一番良いのにドーナツ屋のシーン。あと最後のキスのシーン。この二つ以外は映画的には褒める所はない。だけどドーナツ屋のシーンは最高。』
『ドクターストレンジなんてフレンドリーファイアも良いところだからね』
『元犯罪者のおじさんのケアをティーンに押し付けるのって、後の世代に押し付ける気候変動とかの一つのアナロジーにはなってるのかな?と思う』
俺はティーンの子供がいるじゃん。俺も息子も一人っ子なんだけど、この子が中学生になった時にこんな子になるんだろうな?って思ってたのが全然当たらない。一つは俺は中学の時に親と出かけるのが嫌で嫌でしょうがなかったけど、息子は全然嫌じゃない。息子だけなのかと思ったら人に聞くと今の子結構そうだよって。特に女の子とか仲良し親子とか結構言われるけどティーンの親に反抗とか一緒にいると恥ずかしいって感覚が数十年で変わったんだなと。俺はもっと子離れしないとなと思ってたけど全然する必要がないことに気づいて拍子抜けしてる。全然、自分の世代のことは参考にならないなと思った』
『スパイダーマンの20年の中でも友だちとの関係が変わって来てる事も描かれてる』
『ジェイミーフォックスの役は黒人の描き方が変わったことを表してるのかも知れない』
『スパイダーマンにおける意図は生殖能力。あれは射精のメタファー。手から白いのが出るのが』
『メンタルと直結してるのは生殖のメタファー。トビーマグワイヤの時代はそうだったけどアンドリューガーフィールド、トムホランドの時代はそれを引き継がなかった。時代に合わせてその設定を外していった』
『親を一回も否定しないで育った子供がどうなるか気になるよね。でも、来年ぐらいには否定されて子供の話なんて全くしないかも知れないけど』
『キャンセルカルチャーの問題提起は一応してるよねってぐらいでダベイビーとマリリンマンソン呼んでくるようなカニエみたいな踏み込みはしてない』
『キャンセルカルチャーによって犯罪者でもない映画界の人たちもどんどんキャンセルしてきてこのまま映画界はどうなってしまうんだろう?とここ数年思ってたけど答えは映画界自体がなくなってしまうんだなと。直接のキッカケはパンデミックではあるけど、ここ5、6年ハリウッドは自業自得だなと思う。ポールトーマスアンダーソンは何をやったか?クエンティンタランティーノは何をやったか?全部見てるから。そこで何をやって来たのかは今後凄く各作家の信頼とか信用とか。特に業界内の。繋がってくるとおもう。様にするにくにしなかった人たちのね。はっきり言ってクリスエヴァンスとか最悪だと思ってるからね。本当にあいつは最悪だったよ。ベルトリッチのキャンセルの時に乗っかっていって。一番、最悪の男側のme too便乗の仕草だったんで。キャプテンアメリカ好きですが』
『単純に言えばムードにやられて浅はかって感じなんだけど』


『映画を心配してたんだけど結局なくなっちゃうじゃんって感じはある』


『でも、反対の動きは出ててアメリカンミュージックアウォードとか観ててもウエストサイドストーリーを盛り上げようとしててそういう動きは業界にあるの。アンセルエルゴートを呼んだりして』
ウエストサイドストーリーがコケた理由の一つはアンセルエルゴートをみんな番組に呼びたがらないからなんですよ。こんなことやってるから映画業界は沈んでくんだよと。それは強く強く思いますね。自業自得だって』

『法に裁かれてない人まで自主規制してる。最後の決闘裁判とかでも、マットデイモンはワインスタインを軽く擁護しただけでもみんなから嫌われた。ベンアフレックもそうだし。結局、最後の決闘裁判がヒットしなかったのも理由がある。それでまともにプロモーションもされないし、なんとなく触れちゃいけない人みたいになってる。そういう業界のムードの成れの果てが一つの原因にはなってる。それだけじゃないけどね』
『スパイダーマンノーウェイホームもキャンセルカルチャーを行きすぎた物の問題提起はしてる。でも、踏み込んではいない。けど、そこに踏み込むのはマーベルの役割ではないよね。ジェームズガンは何やるか分からないけど』
『スパイダーマンシリーズが良い形で分かれられなかった役者たちと良い形でセカンドキャリアのバックアップをしたと言う点は凄く成功してるよね』
『ここにいる4人ともホークアイは最高って感じになってるよね』
『ディズニーのレッサーパンダの映画が配信になったことは僕の心の中の地方都市の劇場主はまたか… もうかけん…ってそりゃそうなりますよ。あんな事続けてたら。仏の顔も…の世界ですから。で、日本の人たちがどうしようもないのも全部知ってる。本国の方針に従わないといけないから。ちなみにドクターストレンジはゴールデンウィークのせいで海外より早く公開される。世界で一番早く観れる』
『スパイダーマンは中国を除けば世界で一番遅かったけど』
『ドクターストレンジ心配とは言えやばかったらディズニーの調整が入ると思う。サムライミ映画撮るの久しぶりだしディズニーに逆らえないと思う』
『俺、ミキの漫才が苦手なんですけど。ヴェノムを観て同じ感じになった。やかましいわ!って感じになっちゃったんですけど』
『ソニーって会社自体も絶好調で車まで作るとか言ってる』
『ディズニーだけのものじゃなくなってる引きで見るとさらに延命した感じがある』
『スパイダーマン スパイダーヴァースはスパイダーマンって言う文脈、マーベルって言う文脈除いて本当に最高だから』
『恐るべしディズニーだけじゃなくて、恐るべしソニーって言う感じになって来たのがこの作品のポイント』
『アンビバレントな思いは勝ってる人たちも感じてると思います』
『スパイダーマンの公開が遅れたのははっきり言わないけど、色んなこと、ジャニーズ絡みの動きもあったから、憶測で言える事ではないけど一つは呪術のIMAXとぶつかってIMAXだけじゃないけど、IMAXも含めた公開週の劇場割りを考えたらこれが妥当だったと興行的にはなってるんじゃないの?』
『ノーウェイホームな後戻りできないところまで来てしまった作品は素晴らしかったけど手放しでは喜べないところはある』
『ノーウェイホームは完璧だったね。音楽は。トーキングヘッズに始まり、デラソウルに終わる』
『ドクターストレンジは本当になんだったんだって感じだよね』


【寸評】

特に気になる発言はないですがクリスエヴァンスへのディスはなかなか興味深いですね。

映画の未来を心配している宇野先生ですが映画業界への苦言と映画業界自体がなくなるという意見。宇野先生は映画への厳しい発言で有名なのです。


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