八月の花火

煌めく瞬間に瞬きしたら
何も見えないと
しっかり 目を開けて 見ていて
八月の私を

結い上げたくて 伸ばした髪は
まだ少し届かない
気持ちだけ 走る

花開く瞬間を待ち続けていた
あなたに見せたくて
しっかり 受け止めて 今だけ
八月の私を

慣れない浴衣 差し出された手
いつまでも このままで
いられたらいいな

今 この瞬間に あなたの瞳に
映っていたくて
しっかり 憶えてて 今年の
八月の私を

夏が終われば 夢は醒めると
「もう少し」願ってる
叶わないけれど

煌めく瞬間に瞬きしたら
何も見えないと
しっかり 目を開けて 見ていて
八月の私を

二度は無い瞬間を 一緒に過ごせた
何も悔いはない
しっかり 焼きつけて 遺して
八月の私を

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?