Aqoursと「遊ぶ」ということについて考えてみた

 普段からの考察癖がある方ではないけど、Aqoursと「遊ぶ」という言葉の関係についてぼんやり考えていたことをまとめました。という文章。
 特にネットを漁りまくったわけではないので、ほかに同じようなことが既に語られているかもしれません。
 あくまでも私個人の考えのアウトプットとお考え下さい。

 最初にまず始めの方のAqoursとの距離感に少しだけ言及しておくと、私はAqours発表からすぐ熱心に追い始めたわけではなかったです。ただスクフェスはよくプレイしていたので、その範囲でAqoursの楽曲は聞いていたし、アニメ一期は普通に見ました。その頃もまだキャラとキャストの対応があやふやだったり、ニコ生も見るか見ないか程度(といっても1stはLV参加してるしその後ずぶずぶとはまり今に至ってます)。

 そんな「熱心に追っているわけではないけど曲はよく聞いてる」立場だったからなのか、「この人たちすごいよく『遊ぶ』なぁ…」という印象を持っていました。
 最初は未熟DREAMERの「嵐が来たら晴れるまで遊ぼう」を聞いた時。その言い回しがちょっと引っ掛かりました。
 なんとなく「遊ぶ」というと悪く言えばちゃらけた雰囲気の行為を指しているようで、「嵐をやり過ごすためにやること」としてイメージにギャップを感じました。
 次はスリリング・ワンウェイの「世界中で遊びたいって 心からの希望」という言葉。ギターリフと「私たち輝きたい!」という千歌ちゃんのシャウトから始まる激しい曲の中で「とまらないあふれそうな想い」でやりたいことが「遊ぶ」と表現されて私の違和感はさらに深くなりました。

「この人たちが言う『遊ぶ』は何か特別な意味があるのではないか」

 そう思って見直してみると、彼女たちはとてもよく「遊ぶ」と歌っていました。
君のこころは輝いてるかい?「いっしょに全力で遊ぼうよ」
恋になりたいAQUARIUM「あ・そ・び・ま・しょう」
ジングルベルがとまらない「あそぼうね (あそぼうよ)」

 きみここしかり、恋アクしかりナンバリングシングルという非常に重要な楽曲に「遊ぶ」という言葉は使われていました。きっと何か意味はあるのだと感じていましたが、その時はそれ以上掘り進めることなくつい最近までやり過ごしていました。

 その後もそこここで彼女たちは「遊ぶ」「遊ぼう」という言葉を使っていました。
 今回自分なりに「遊ぶ」意味についてまとめたくて、Aqours楽曲の全ての歌詞から「遊ぶ」に類する言葉を書き出してみました。そしてその結果あることに気づきました。
 以下、上記5曲以外の曲を羅列します。
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9人曲
Landing action Yeah!!「今日はどこで 君と遊ぼうかな」
          「だから遊ぼう ここで遊ぼう 今日は遊ぼう!」
君の瞳を巡る冒険「謎を謎を解いて この世界で遊ぼうよ」
ホップ・ステップ・ワーイ!「君と遊びたい 笑ってたい」
冒険Type A,B,C!!「よしもっと もっと遊ぼうよ!」
KOKORO Magic "A to Z"「夢見て A to Z 楽しく遊ぼう A to Z」
心の羽よ君に飛んでけ!「いつだって一緒 一緒に遊ぼうよ」
「いっぱい遊ぼうって 君との約束だった
これからだって 一緒に 遊ぶんだ」
KU-RU-KU-RU Cruller!「ずっとずっと遊んでたい」
SUKI for you, DREAM for you!「もっともっと遊ぼう!」

CYaRon
ドラゴンライダーズ「なんどもなんども遊ぼうっ」

二年生
Marine Border Parasol「パラソル 楽しく遊んで じゃあねって 次の季節へと」

デュオトリオ
夏への扉 Never end ver.「遊ぼうSplash!」
キモチもユメも一緒だね「とける前に たくさん遊びたいよね」
Party! Party! PaPaPaParty!「引っ張って遊ぶなっ Christmas Party」

ソロ
果南もっとね「だからいま 本気で遊びたい」
      「いつまでも君と遊んでいたい」
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 特に9人曲にかなり明らかな特徴があるのですが気づいてもらえたでしょうか?
 アニメ一期の後は「遊ぶ」の言葉があるのは2021年に入るまでは、Aqours CLUBテーマソング(ランアク、HSY)、スクフェス・スクスタ曲(ジングル、A to Z)、脱出ゲーム(君瞳、ABC)のみなのです。
Aqoursメインの筋というとちょっと語弊があるかもしれませんが、アニメオープニングやエンディング、挿入歌、ライブテーマ曲などから一時期は「遊ぼう」は姿を消していました。
 その時期に「遊ぶ」、「遊ぼう」と言われていた曲はAqours CLUBなど全てなんらかの形で「こちら側」が関わる立ち位置の曲でした。ラブライブシリーズにおいて「こちら側」への呼称が何であるのがよりふさわしいのか、色々考えてみたのですが「ファン」「観客」「ライバー」…何をとってもあまりしっくりこないので「こちら側」と言うことにします。

「こちら側」を意識した時に「遊ぶ」という言葉を使う、つまりAqoursにとって「遊ぼう」とする相手は私たちなのだと思い至りました。キャストやキャラやこちら側にいる私たち全てを巻き込んだ活動(ライブ、ファンミ、読者企画、生放送など)を指して「遊ぶ」と称していると思ったのです。
 これと対比することができるのは「踊る」という言葉だと思います。「踊りたい」という言葉も非常によく歌詞に出てきます。おそらく畑亜貴さんの中では「遊ぶ」と「踊る」は明確に区別されていて、前述したように「遊ぶ」は「必ずこちら側がいる活動」であるのに対して、「踊る」は「こちら側がいなくても成り立つ活動」なのではないかと歌詞を総ざらいしながら感じました。

 初期に「遊ぶ」を重要なところで連発したことは構図としては分かりやすいものでした。
 始めはAqoursは「遊ぼう」と呼びかける必要があった。物語のAqoursは0を1にするためにもがいていた頃だから。もちろん、人によっては「現実のAqoursのスタートは全然0からなんかではない。μ’sの築いた土台の上から始まっているじゃないか」という人もいるでしょう。事実としてはそうかもしれないし、そうでないかもしれません。ただ私は少なくとも彼女たち(キャラ、キャスト共に)は本当に0だと感じていたと思うのです。
だからこちら側に手を伸ばし、みんなで「遊ぶ」ことによって物語は成り立つと必死に訴えていました。

 そうしてかけ足でナンバリングライブを重ね、アニメの二期を経た頃にはAqoursのメインストーリーではわざわざ「遊ぼう」と呼びかけなくてもよくなっていました。彼女たちはしっかり地面に足をつけ、物語の中では卒業やその後に向けて話が展開し、現実ではライブ、ファンミ、海外公演と目白押しで遊んでいました。

 ところが2021年3月発売のsmile smile ship Start!のカップリング曲心の羽よ君へ飛んでけ!で突如「いっぱい遊ぼうって君との約束だった」という歌詞が登場します。「遊ぼう」という言葉だけでなく、具体的に「君」が出てきてより対象が鮮明になっていると感じます。そしてその後はくるくるやSUKI for〜でこれまでの沈黙が嘘のように「遊ぼう」が連発されています。
 心羽(というかsssS)が発売されるまでの間、何があったのか。そう、疫病禍でAZALEA のライブは飛び、5周年ドームツアーは飛び、人と人が触れ合えない世界になってしまったのです。
 だからAqoursが再び「遊ぼう」と訴えだしたのだと、端的に言うとそう考えるのです。
 恥ずかしながら私は心の羽よ君へ飛んでけ!という曲の重要さにこのまとめを書き始めてから気付きました。この曲は夜のとばりが降りた後で一時羽を休めまた会える日を夢見るという歌詞で、すぐに「この疫病禍で活動が制限される日が続くがまた会える日が絶対にくる」というメッセージソングだと分かります。
その中で「いっぱい遊ぼうって君との約束だった」の一文により、今度の東京ドーム公演のテーマソングのタイトル「何度だって約束」も思いだされます。それまで長らく使わなかった「遊ぼう」を使っただけでなく、「君」という明確な対象を示し、さらに次の曲へと繋がる「約束」。この一文に今のAqoursの全てが詰まっていると言っても過言ではないです。
 この曲のセンターをつとめる果南が心羽発売直前に唯一ソロとして「遊んでいたい」と歌っているのが意図的なものかは分かりませんが、もしそうだとしたらやはり畑亜貴さんの中で「遊ぶ」は非常に重い言葉なのだと思います。
(歌詞を眺めていても「ここは『遊ぶ』出てきてもおかしくないな?」というところで他の言い回しになっているところも散見され、個人的にはそう考えています)

 ここからはさらに希望的観測が強まるのですが、Aqoursという物語の中で今彼女たち(特にキャスト)は全力で遊びたがっている。
 アニメの物語という拠り所が無くなった不安ということだけではありません。彼女たちはもう自分たちの足でしっかり立てるだけのパワーは持っているのですから。
 だからこそ今このタイミングで発信される「遊ぼう」はやはり重いのです。
  今「遊べる」機会は重要で、「こちら側」はそれを全力で盛り上げようと、一緒に遊びたいと切に思うのです。
 結論としては「こちら側としては全身全霊かけて遊ぶからチケットご用意お願いします」ってことにつきますが(笑)

 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 何かコメントや示唆等ありましたらよろしくお願いします。
crawfish

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