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同調


 ものを判断したり態度を形成したり、あるいは行動を決定したりする場合、私たちは他者の言動から色んな形で影響を受けています。
 その結果、自分の行動を他者の言動に合わせる、または近づけてしまうことがあります。
 これを"同調"といいます。

 この同調がどれだけ私たちの意思決定に影響するのか、社会心理学者ソロモン・アッシュによって人間の同調行動を検証した実験があります。

アッシュの同調実験

 基準となる1本の線が書かれたカードと、長さの異なる3本の線が書かれたカードを被験者に見せて、前者のカードの線と同じ長さのものを、後者のカードのなかから選ばせるという実験を、以下の条件で行いました。

•7人の集団で12回行う
•7人中6人はサクラで、本当の被験者は7番目に回答する
•6人のサクラは12回のうち7回、全員が同じ誤答をする


 この実験の結果では、37パーセントの被験者が、一度は間違った回答をしてしまったのだそう。
 特に間違うのは、サクラ6人が全員一致で誤答したときもっとも多く、1人でも正解を言うサクラがいると正解率は大きく上がったようです。

 この結果から、問いに対する正解・不正解が明らかな場合でも、自分の周囲の人々が不正解を選択すると、それに同調して自身も不正解の答えを選んでしまうという人間の傾向が判明しました。


 ボートレース予想において、その選択に「正解」はありません。どんな舟券を、どれだけの額を買っても良いものです。

 そもそも公営ギャンブルはマイナスサムゲーム。
少数の得をした人がいる反対に、たくさんの損をしている人がいます。
 つまり、このギャンブルにおいては、誰かに同調する必要はなく、むしろ同調しないことのほうが稼げることにもなります。

 SNSは沢山の情報に触れることができるので便利ですが、人の意見はあくまで人の意見です。
 よく「ギャンブルは自己責任」と言いますが、勝った負けた以前に、その選択からギャンブルは自分の責任でしないと、最後には後悔だけが残ります。

 情報を取り入れることも大切ですが、他の人の意見や大衆によって形成されたオッズに惑わされず、自分の意思を尊重することが勝利への第一歩となるのかもしれません。

従順な被験者はみな、自分たちが同調性を示した頻度を低く見積もった。

ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)


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