波を待つ
マイナスサムの公営ギャンブルであるボートレースは、「やり過ぎると負けてしまう」なんてのはもはや常識ではあるのですが、それでも必要以上にやり過ぎて負けてしまうような人が後を絶ちません。
「待つ」という行為、上手に「賭けない」ことを選択することは重要な技術のひとつでもあるのですが、多くの初心者は「やればやるほど上手くなる」と誤解しているせいか、とにかく我慢ができないことが問題となります。
そこで、今回は「待つ」ことの大切さについて考えてみたいと思います。
「待つ」
ここでは「待つ」ことについて、それが重要な技術とされるサーフィンというスポーツを例に考えてみます。
このサーフィンは一般的に「波に乗る」スポーツだと考えられている一方で、実は「待つ」スポーツでもあると言われています。
例えば海を見ると、沖にいるサーファーが板の上に座って、ずーっと遠くを眺めているような光景をよく見かけます。
これは「波待ち」と言って、良い波が来るのを遠くを眺めて待っているわけですが、この「波待ち」を上手く活用することで、上手なサーファーはなぜかいつも良い場所で、良い波ばかり捉えることができています。
これに対し、初心者サーファーは波が来たと思えば、やみくもにパドリング(手で板を漕ぐ)を開始するのですが、波に乗るための準備ができていないため、ピークを捉えらず波に置き去りにされたり、目の前の波に気を取られていちいち動き回るので、その後訪れるベストな波を取りこぼしがちになります。
また、小さい波にもでも乗れるんじゃないかと気を取られ、無駄な動きを繰り返すことで体力を消耗してしまいやすいので、ひどい時には結局1本もまともに乗れずに陸に上がるなんてこともザラにあるようです。
波があまり無い時に遠くから見ていると、初心者ほど忙しく動き回っていることに対して、上級者はほとんど何もせずにじっとしていることが分かります。
初心者にとっては、とにかく海へ出て「数をこなす」ことが上達への近道だと信じ込みやすいのですが、ベテランサーファーの振る舞いを見ていると、何もしていない(ように見える)時間が多いことに気付かされます。
いいうねりが来るまで待ち、風が良くなるのを待ち、波が来るのを待つ。とにかくずっと待っていることもあります。
ただ、ぼーっと待っているのではなく、遠くに入ったうねりを見ているので、良い波に乗るためにはその前に訪れる波をわざとスルーすることも多くあります。
一方で、初心者ほど、早くやりたくて仕方がないので、無理して目先の波に乗ろうとするのですが、そんなことをしていても、まともな波に乗れません。
それどころか、乗れもしない小波でも無駄なパドリングで体力を浪費してしまうので、良いうねりが入った頃にはもうヘトヘト。
結局、『上手く待っていた』上級者達はポジションを獲得するのと同時に体も休めているので、結局、その波を独り占めしてしまう訳です。
ある意味、初心者は「いかに動くか」と考えていることに対して、上級者は「いかに休むか」という点で正反対のスタンスだったりします。
つまり、サーフィンにおいては、「待つ」ことは波に乗るための大切な技術だと考えられます。
同じように、この「待つ」ことについては、一見何の関係も無いギャンブルにおいても大事な技術の一つであると言えるのではないでしょうか。
とにかく初心者ほど安易に賭けたがるので、目先の波に飛びつくように考えなしに参加して、無駄なお金を浪費してしまう。
いい波が入った時のように、好機に感じた場面でも、それまでに無駄に動き回って既に資金が尽きかけているため、結局機を逃してしまう。
初心者サーファーが波に乗れない原因と同じように、初心者や自己統制のできないギャンブラーは、早くやりたくて仕方がないという気持ちのせいで、ベストな波を簡単に逃してしまうのです。
遠くを見て待つ
サーフィンにおいて、良い波を見分けるコツは遠くをみることだと言われています。
この点、初心者は目の前に来た波ばかり見ていますが、上級者は、波が上がる前に遠くをみています。
同じように、ギャンブルや投資などのマネーゲームで失敗している人の多くは、目先の欲に駆られてすぐに儲けようとする人ばかりであり、長く成功してる人は、目先の欲に振り回されずに長期的な視点を持っている人がほとんどであると言われています。
また、サーフィンの上手い人は乗り方が上手いと思われがちですが、それ以上に、波選びの上手い人がサーフィンが上手い人だといわれています。
同じように、ギャンブルにおいて「上手い人」というのは、その技量・手法なんかではなく、参加・撤退の見極めが上手い人、番組選びの上手い人のことを指すのではないでしょうか。
小波に心を揺さぶられず、視点を遠く保ちながらいずれ訪れるビッグウェーブを待ちましょう。
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