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白と赤と青 にわかマドリディスタの走り書き

レアル・マドリードはローテーションが上手かった
16-17シーズン、レアル・マドリード及びジダンはローテーションを巧みに活用しラ・リーガ、CL、両方を自らの手中に収め、そのシーズン、ジダンはクリスティアーノを休ませられる監督になった。
それ以降ジダンはローテーションが上手な監督だと言われるようになった。
圧倒的な主力陣に追いつくように、追い越すように若手組はボールを誰よりも触りたがり、誰よりも貪欲にプレーした。その熱すぎるエンジンを主力陣は時に冷まし、時に燃え滾らせた。行き詰まればクリスティアーノを出し、容易に勝ってしまった。その極上な関係性がいわゆる「Bプラン」を成り立たせたのだった。まさに完全無欠であったのだ。

時を変え現在、「Bプラン」の選手たちはそれぞれのステージでそれぞれのゴールのために力を尽くしている。
マドリーはカディス(ラリーガ昇格組)戦に加えシャフタール戦(CL)で屈辱的な敗戦を喫した。ルカは加齢が如実に見え、セルヒオラモスを失ったヴァランは迷宮の中で自分自身を見つけれずにいた。カルバハルを失った守備陣でカゼミロは混乱し、ミリタオは自分の力を発揮できなかった。若手組のエンジンは、血は、滾っているように見えなくて、その二試合はかつての面影を感じさせなかった。
そんな中でもマドリディスタのロウソクの火は燃え尽きてはいなかった。

El Clasico当日、現地時間17時。天気は晴れ。
この先見ることが出来ないような無観客試合でのクラシコ。サポーターたちの声はなくても、カンプ・ノウの赤と青の壁はエル・クラシコの空気を崩さない。

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バルセロナ側はペドリとアンス、2人の17歳が先発で、ジョルディアルバが左ラテラルで出場し、デストは右ラテラル。アメリカ人初のクラシコ出場を果たした。
マドリーはセルヒオラモスが復帰、人手不足が深刻化している右ラテラルではナチョが選ばれた。イスコが出ると言われていたがイスコではなくアセンシオ、その他は順当な選出のように思える。

先制のシーン。ベンゼマがキープしてピケを釣り出し、抜け出したフェデが冷静かつ豪快にファーサイドに突き刺し先制。アセンシオのフリーランがラングレを自由にさせなかったのも効いていたし、バルセロナの守備の綻びを上手く突いたシーンだった。

同点シーン。ファティ。メッシの浮き玉からジョルディアルバが抜け出し、中央でアンスが上手く合わせ同点。ファティはクラシコ史上最年少ゴールを記録した。

抜け出したジョルディアルバのマークに着いていたのはアセンシオ。完全にボールウォッチャーになっていた。その後ラモスに怒られたのか、少し不貞腐れてるような、ナーバスにプレーしているようにも見えた。

クルトワのメッシに対するセーブは圧巻だった。199センチの巨人はバルセロナを支配する神でさえも完璧に止めてしまった。

総評

前半は少しだけオープンな戦いだったように思える。ボールサイドはよく動いていたが、その分マドリードバルセロナ両者に同じくらいの綻びが見える戦い方をしていた。カゼミロは本調子ではなかっただろう。ひとつ大誤算だったことは、ナチョの交代だ。前にも述べた通りマドリーの右ラテラルの人手不足は深刻化していて、ナチョの離脱がマドリディスタのメンタルに与える影響ははかなり大きかった。代わりに入ったのはバスケス。ジョルディアルバのカバーが重要になる右ラテラルで攻撃的なバスケスを入れるのは不安でしか無かった。

後半。ジダン及びセルヒオ・ラモスが何を言ったのかは分からない。マドリーは本当に本当に真面目にプレーしていたと思う。昨季の堅守を取り戻したようだった。ジョルディのマークはアセンシオが務め、その代わりバスケスは比較的自由にプレーした。ナチョとアセンシオの平均ポジショニングはほとんど変わらなかった。アセンシオとバスケス、両者の特徴でもある気の利いた動きが最大限に活かされ、バスケスは今まで見た事のないような活躍をした。アセンシオは随所随所で上手いプレーもみしてくれたが、シュートまで持ちきれなかったのが少し惜しいところ。今日の試合はかなり疲れただろう。

MVPのラモスは今季ベストパフォーマンスと言っても過言ではない。彼はクラシコで帰還し、不甲斐ない戦いをしていた選手たちにマドリーとは何なのか、クラシコとは何なのかを常に示し続けてくれた。それだけでなく守備も安定していたし、驚異となったファティメッシを押さえ込んだ。
PKのシーンは議論を呼ぶだろうが紛れも無いファーである。それを完璧に決めた彼自身を評価すべきであって、セルヒオラモスは今日の試合、バルセロナに完勝した。
ヴァランはいつもの輝きをセルヒオラモスがいることで取り戻したし、メンディも安定していた。特に素晴らしかったのはバスケス。彼の特徴である気の利いた動きをしっかりと発揮しながらカンテラ仕込みの基礎技術の高さを見せたりメッシを止めたりなどしてマドリディスタを喜ばせた。
中盤では、カゼミロはマドリディスタが望むレベルには達していなかったように思える。近頃の調子の悪さがそのまま出てしまった。フェデは安定していた。いわゆる「当たりの日」だったんだろうけど、これからさらに安定感を増すことが期待できるだろう。特筆すべきはクロース。本当に素晴らしかった。選手名鑑にも書いた「淀み」を無くすプレーが完璧にできていたし、マドリーバルサ両者の選手たちの中でも圧倒的な差を見せていたように見える。デブライネやチアゴにも引けを取らない世界最高の中盤だと思わせてくれた。
前線では、ベンゼマのポストプレーはピケラングレたちを押さえ込み、攻撃に安定感を与え、守備においても逃げ道を作ってくれた。先制点でのボールキープからのアシストも素晴らしかった。ヴィニシウスはドリブル面で今日もいいプレーを見せてくれたが、最近の活躍、ファティが今日決めたこともあり、決定機をしっかり掴みたかったというのが本音この先も焦らずプレーして欲しい。アセンシオは今日、ジョルディアルバを自由にさせないというタスクを背負わせられた。そのタスクは失点シーンを除いてよくやってくれたと思う。よく走ったし、攻撃参加も頑張った。ただ彼としては満足のいくプレー内容ではなかったと思うし、疲労も溜まっただろう。ゆっくり休んで欲しい。

試合終盤、クーマンの指揮が崩れたところで一気に攻め立て、シュートを増やし、ルカのゴールで締めた。相手の綻びを正確に突くジダン一次政権のマドリーと、真面目にプレーし、堅実に守る、二次政権のマドリーを上手に融合させた、そんなフットボールができていた。今日の試合に関する改善点は、カゼミロのコンディションと、右ラテラル問題は気になるが、チームとしての改善点はそこまでないように思える。やはりカピタンの存在が大きかったのだろう。

マドリーはリーガで2位に勝ち点差2をつけて首位、バルセロナは12位、両者の勝ち点差は6ある。バルセロナはCLユーヴェ戦を控えていて、マドリーはボルシアMG戦を控えている。クラシコで勝利を抑えたことを考えれば、マドリーに風が来ているように思えるがまだまだ安心はできない。今日は久しぶりに強いマドリーを見せてもらったが、これから先も見せてもらえるのだろうか。期待したいところ。

Hala Madrid