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"明/暗"の"サンズ/ロサリオ"、KBO時代の両者の違いを検証し、韓国No. 1スラッガー・ロハスの適応性を探る

○ はじめに
 阪神に入団したKBO発の二人の外国人野手。 
 明暗が大きく分かれたのは、皆さんご存知の通りです。
 さて!皆さんこの数字は何だか分かるでしょうか??

 ロサリオ  23.5
 サンズ   23.9
 
 これは、実は彼らのNPBでの三振率です。
 あれ、意外と大差ない、、
 結構、印象と異なるのではないでしょうか?

 下記にその他の成績も記載しました(サンズは11月11日時点)が、意外なことに2人のアベレージや三振率にはそこまで大きな差はありません。
 来日前年度のKBOの成績を見比べても三振率はむしろロサリオの方が少ないことが分かります。
 にも関わらず、これだけ印象と貢献度、OPSなど総合的に差を生んだ要因は一体なんでしょう。 
 観戦していた方は、外スラにクルクルしたか、バットがしっかり止まったかなど、「ボール球への忍耐強さ=選球眼」が真っ先に思い浮かぶはずです。


 また、これまで外国人助っ人といえば、「三振が多い=地雷」という風潮が蔓延していましたが、楽天ブラッシュやDeNAオースティンらの加入によって、「ボール球が見れるスラッガーには可能性がある」という仮説が定説化されつつあります。(もちろん、その他に、速球が潰せる、広角に長打が打てるなどの他要素もあるでしょう。)
 
 そこで今回の記事では、ロサリオとサンズ、さらには日米韓を騒がせているKBOのNo.1スラッガー、メル・ロハス・ジュニアを加え、KBO時代のボール球への忍耐強さを算出→比較検証します。
 この検証では、新外国人候補のロハスの適応性を探ることはもちろん、ロサリオとサンズの違いを確認し、今後のKBO産の外国人野手を見る上での一つの物差しになることを狙います。


○ 忍耐強さの検証
 まずはボール球スイング率です。
 ここがTwitterでのクイズの直接的解答になります。
 球種別なしで判断すると、実は僅差でロサリオの方がサンズより優秀でした。
 正解は3つ目の選択肢!
 ロサリオ<サンズ<ロハスでした!

加えて、『真の見極め力(忍耐力)=ゾーン内スイング率ーボール球スイング率』についても検証しました。
ボール球スイング率は重要な要素ですが、待球型の選手はゾーンの内外を問わず低く出てしまうため、これだけで選球眼を図るには少々頼りないです。ゾーンの内外について、打者がどれだけ適切に判別し取捨選択ができているかを図るため、"ゾーン内のスイング率"と"ボール球のスイング率"との差(ギャップ)を確認します。この値が大きいほど見極めができていると言えるでしょう。

 では、分かったことを箇条書きで以下に記します。

・全体のボール球スイング率だけをみると、最も優秀なのは意外にも僅差でロサリオ。ロハスは両打席でボール球に手を出す傾向があります。
・ただし、「真の見極め力(忍耐強さ)=ゾーン内スイング率ーボール球スイング率」では、やはりサンズが抜けて優れています。ロハスはロサリオと概ね同程度。
・全体的に優秀なサンズですが、特にスライダーへの忍耐強さがズバ抜けています。スライダーに関して、ロハスはロサリオ以上に忍耐弱い結果が出ています。
・カーブは三人とも共通して忍耐弱く、ロサリオとサンズはオフスピードボール(チェンジアップ、スプリット)に忍耐強さを見せています。
・一方でロハスはオフスピードボールにも忍耐弱く、つまり変化球全般に対して見極めという点で拙い結果が出ています。

 さらに突っ込んだ内容として、膝下〜低めに限定したスライダーの各種データも検証しました。分かりやすくいえば、ここでいう1-2-3-4-5-6-7-8-9に限定したボール球スイング率および真の見極め力(忍耐力)を算出しました。

結果は以下のとおりです。
分かったことを箇条書きで以下に記します。

サンズの低めスライダーへの忍耐強さ(45.6)は、全コース(45.5)時とほぼ変わらない優秀な数字でした。例えば、右投手の外低めのスライダーや、左投手の食い込む膝下スライダーといった定石通りの配球が通用し難い厄介な打者と言えます。
・ロサリオの低めスライダーの忍耐強さ(36.6)は、全コース(38.6)時を僅かに下回ります。
・ロハスの低めスライダーへの忍耐強さ(25.1)は、全コース(32.1)を大きく下回ります。


○ まとめ

・ロサリオとサンズの大きな違いは、スライダーの見極め力であり、その他の球種の選球に関して両者に大きな違いは見られませんでした。
・特にサンズは、低めのスライダーに対しても忍耐強さを維持しており、NPBで見せた両者の違いが投影されるかのような結果が分かりました。
・したがってKBO産の野手(少なくとも右打者)については、スライダーの見極め力が一つの物差しになる"可能性"があるでしょう。
・その点、ロハスはスライダーをはじめ、変化球全般に対して見極めが悪く、あくまで見極め力に限ってはロサリオを大きく下回っています。
・ただし本質的な問題として、ロハスはスイッチヒッターであるとこから、外スラを排除することができるという利点はあります。西武のスパンジーも決して見極めは良くありませんが、来日1年目にして一定の成績を残すことができました。このように様々な要素が想定されるため、単に今回の変化球の見極めという要素だけで、ロハスが成功の可否を占うことはできないことはご承知おきください。

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