逆張りオタクがVTuberに魅了された話

俺はVTuberが嫌いだ。心底憎んでいる。
しかし先日、とあるVTuberのVR配信に参加した。

それがあまりにエモくて3日経っても興奮が冷めないので、参加するに至った経緯と、どれだけVRコンテンツが素晴らしいかの宣伝を兼ねて記事にしたいと思う。

後半にいくほどキモいので注意してください。

※VR配信というのは、配信者と視聴者の両方がVR空間に行き、VR上で3D配信で見ることが出来る。というものだ。
※今回の記事は「VTuberとは何なのかを”ある程度知っている人”向け」に進めていく。
多少の解説は挟んでいくが、分からないがあっても各自で調べてほしい。


・そもそも何故VTuberが嫌いか(読まなくてもいい)

タイトルに「逆張りオタク」とは書いたが、自分は決して「新しい物」や「流行ってる物」が嫌いなわけではない。

むしろ好きなくらいだ。


「新しいコンテンツ」が登場すれば、必ず一度はチェックする。
2015年末、facerigとLive2Dの組み合わせが誕生した時には、真っ先に制作に乗り出し、自ら動画を投稿した事もあった。

「新しい流行」が生まれれば、初めての事にワクワクした。
ここでは動画コンテンツに絞って話をしよう。自分が初めてインターネットに触れた頃は、所謂「フラッシュ黄金時代」だった。今思えばかなりくだらない動画やゲームで大爆笑していたな。

それから動画投稿サイトyoutubeが生まれ、
配信者と視聴者がコメントで交流できるニコニコ生放送が生まれ、
youtuberと呼ばれる人たちが実写の動画を投稿し始め、
現在は誰でもスマートフォンからでも手軽に配信(生放送)が出来る時代になった。
ざっくりだが動画コンテンツだけでもこれだけの進化があったのだ。

この進化こそがインターネットの醍醐味だと思っている。


しかし、ここ最近のバーチャルユーチューバーだけは、どうしても受け入れられなかった。

理由は様々あるが、ここでは最も大きな理由を1つだけ簡潔に紹介する。
それは、現在”大手”と言われるVTuberたちには『進化を放棄し、バーチャルを創る気が全く感じられない』からである。

バーチャル要素など放棄し、俗に『魂』と呼ばれる『中の人』が主張する状況を面白がり、キャラクターを演じる事を「寒い」とまで扱い、キャラクターイラストはただ置いてあるだけ、太古か存在する「美化イラストを置いたニコ生主」と何も変わらない。
そんな人たちが「バーチャルキャラクター」を名乗っている事が許せないのだ。そしてそれを視聴し、持ち上げている人たちの事も同罪だ。
奴らは動画コンテンツの進化を辞めた。なのに「新しいコンテンツ・流行」として扱われている。これが納得いかないのだ。

初期のキズナアイやのらきゃっと、ねこますなどが創ろうとした「新しいコンテンツ」を蔑ろにし、自ら「バーチャル」という要素を破壊していった。

そんな”自称バーチャルユーチューバー”が許せなかったのだ。


・そんなオタクが落とされるまで 出会い編

前項の通り、自分は逆張りオタクと言いつつ「新しいコンテンツ・技術」に振れる事は好きだった。
だからVtuber自体には興味はない状態でも、それを動かしている技術にはとても興味があった。

※1枚の2Dイラストを3Dのように動かす技術、それを実写の顔に合わせて動かす技術、現実の動きを3Dキャラクターに落とし込む技術、その為の機材、開発環境、現実世界での動き、そんな技術の事だ。

そこで自分は、「VTuberを作る作業をしてるVTuber」を探し始めた。

何言ってるか分からないかもしれないが、これが実際に存在したんですよ。VTuberを作るVTuberが。
自ら配信を行いながら、自らの使う3DモデルやらLive2Dモデルを作る様子を永遠とyoutube上に垂れ流しているVTuberが居たのだ。

大半の人は「いや何が面白いんだ…」と思うだろう。だが自分には宝の山だった。
そこには新しい技術と進化があり、その人は一切妥協する事なく「バーチャル」を創ろうとしていた…。


・魅了編

それからは度々は彼女の配信を見るようになった。

彼女の配信は「作業」が6割。「雑談」が3割。「ゲーム実況」が1割。くらいの比率だ。ぶっちゃけ普通じゃない。
雑談の内容も技術的なものが時々挟まり、メンバー登録までしている自分が言うのも難だが人を選ぶ配信だと思っている。

※便宜上”彼女”とは書いたが、相手はバーチャルの存在なので本当は体重140キロで、デトロイトでママと住んでんのかもしれない。
(レディ・プレイヤー・ワンより)
仮にそうだとしても、自分は「バーチャルキャラクター」を見に行っているのでそれを演じている人がどういう人間かはどうでもいい。
たまに声優の顔がどうとか言い出すオタクも居るが、自分はあまり気にしない。


では一体そんな配信のどこが面白いのかと言うと、完成したLive2Dモデルやら3Dモデルが実際に動く所を見るのが面白い。

ああでもないこうでもないと苦戦する彼女と、訓練された視聴者がああでもないこうでもないと意見を交わし、最終的に動く姿がお披露目される。
”お披露目会”では完成を彼女の喜ぶ姿が写り、またそれを見守ってきた視聴者たちも思い思いにコメントをする…。

やはり変わった活動方針だとは思うが、何度も見るうちに自分は確実に魅了されていた。

・限界キモオタ編

彼女の配信を何度も見ているうちに、気付けば自分も同じようにLive2Dやら3Dモデリングを始めていた。
彼女の度々行う「技術的な話題」を理解し、自分も同じように作ってみたい!と感じたからだ。

後の感じた事だが、自分は恐らく、この時には既に彼女に落とされていたのだと思う。

※自分は彼女の配信を視聴する以前より、絵を描きLive2Dを触った事もあったので、正確には彼女の影響だけではない。
しかし、彼女の活動に刺激を受けて本格的に勉強するようになったのは間違いない。特に3Dに関しては全くの無知であった。

新しい技術を覚えれば彼女との”共通話題”が増え、こちらの名前を呼び、覚えてもらえる。徐々にその繰り返しの虜になっていく。
彼女が新しい事を学べば自分も学び、追いかける。俺は”アイドルオタク”の語る認知の意味を完全に理解してしまった。


こうなってしまうともう止められなかった。
「認知されたい」という意識があったわけではなく、とにかく勝手に共に創作活動をやっている気持ちになる事が楽しかったのだと思う。
アイマスPがライブで泣くのと同じだろう。彼女たちを作ったのは自分ではないのに、勝手にプロデュースした気になっているのだ。


・バーチャル編

そしてある時、遂に彼女は冒頭で述べた「VR配信」を行うようになった。
それまで彼女が1人っきりで立っていたバーチャル空間に、我々視聴者たちがぞろぞろと入り込めるようになったのだ。

が、しかし。ここで1つ問題が起きた。

俺はVR機器を持っていなかったのだ。

こちらに向かって笑顔を見せ、手を振り、話し、歩き回る彼女に対して、貴殿はただお豆腐のようなアバターでじっと見つめる事しか出来なかったのだ。

他のVR機器を持つ視聴者はといえば、彼女と手を握り合い、頭を撫で、楽しそうに遊んでいた。


俺はVRHMDを買った。安倍総理の給付金で


そして次の彼女のVR配信を待った。


※こんな言い方をしておいてアレだがVRHMDを買った理由は他にもある。
まず自分はカスタムメイド3D2というアダルトゲームが大好きだ。そしてこのゲームにはVRモードがあったのだ。
他にもBeats sabreやPortal Stories: VR、SUPER HOTなどのゲーム、Tilt BrushやBlocksのようなクリエイティブツールにも興味があり、7年前にOculusDK1が出た時も家が窮屈でなければ買いたかった。(今は引っ越ししてある程度の広さがある)
そんな”最後の一歩”を安倍総理と彼女のVR配信が押してくれたのだ。


・邂逅編

我が家にOculusがやってきてから3日後、遂にその日はやってきた。

正確に言うと、その日はVR配信をやっていわけではない。
彼女は”バーチャルキャスト”というツール使い、1人で雑談を行っていた。
バーチャルキャストには”凸待ちID”という物があり、凸者はこの”凸待ちID”分かれば収録中のVR空間に飛び込む事が出来る。という代物だ。

その日の彼女の配信概要欄には、凸待ちIDが記載されていたのだ。

俺はそれまで友人とやっていた麻雀卓をひっくり返し、大急ぎでVRHMDをかぶってキーボードクラッシャーの如き勢いでログインIDを入力した。


平日の夜23時、自室の片隅に作られた決戦のバトルフィールド(2m×2mの空間が空いている)でTポーズを取り、読み込みが終わるのを待つ。

暗転から抜け、桜の舞い散るその空間には、今までディスプレイ越しでしか見た事のなかった彼女が居たのだ。

自分の入室に気付いた彼女がとことこと近寄ってくる。俺はその姿に確かに感動を覚えた。VRとはこんなにハッキリと「推しとの距離感」を感じる事が出来るのだと、現代の技術に驚き、目には涙が滲んだ。

自分もアバター通りのキャラクターを演じ、交流する。
かつてのなりきりチャットやなりきり掲示板のような楽しさを感じ、これこそ「バーチャル」だと心から思う。

彼女が配信を初めて8分後、偶然にもちょうど最初の話題が終わり、区切りのいいタイミングだった。邪魔にならないか心配だった自分は少しだけ安堵する事ができた。

※入室直後、自分のアバターの物理演算がおかしくなりゲッタンする事件あった為、実際にはこんなドラマチックな出会いではなかった。
自分らしいといえば自分らしい登場となったが、出来ればもうちょっとカッコよく現れたかった。
ついでに技術的な解決法を彼女に教えてもらったので、次の参加する時には同じ事故が起きないようにしたい。


それから1時間弱、俺はひたすら推しとの交流を楽しんだ

念願だった手を繋ぎ、頭を撫で、2人でスクリーンショットを撮り、くだらない寸劇やら茶番、VR上のアイテムで遊んだりした。


本当に楽しい時間だった。


…ここで1つ、技術的な面で彼女の凄いと思った所を話しておこう。
少し現実寄りの話をするので、苦手な人は読み飛ばしてくれ。

自分もアバター化するまでは気が付かなかったが、彼女はアバターの操作が相当に上手い。
特に驚いたのは、動きながらや喋りながらの表情の操作の上手さだ。
バーチャルキャストでは、「表情の操作」「指の動き」をどちらもコントローラーで行う。たとえば「笑顔でピースサイン」を行おうとすると、モンハン持ちのような操作を要求される。
コントローラーの形状も特殊なので正確にはモンハン持ちと違うが、とにかく大変なのだ。

それを彼女は、まさに身体のように操作していた。
なんでもない会話の最中でも、スクリーンショットを撮る時でも、俺の頭をひっぱたく時でも、自然に表情操作を行っていた
これはまさしく、VR世界からの配信に慣れ、キャラクターを演じる事に順応した”強者”だからこそ出来る事だろう…。


・配信終了後編

楽しい時間はあっという間に過ぎ、すぐに配信時間の終わりがきてしまった。
帰るタイミングを見失い、彼女の隣で一緒に手を振り、何度もディスプレイ越しに聞いていた「ご視聴いただきありがとうございました」の挨拶を左耳から聞く
立体音響の効いたVR世界に居るからこその経験で、なんだか不思議な気持ちになった。

ここまできたら最後に一言挨拶をしてから退出しようと思い、彼女がYoutube上の配信終了ボタンを押し、他の視聴者から見えなくなったその後も俺は彼女の隣に立っていた。


「○○○さんも、今日はありがとうございました」


………。


………………それから彼女がどんな話をしてくれたのか。それはここでは秘密にしておこうと思う。
決して特別な事でなく、配信中にもしていた内容ではあったが、自分にはそれが心の底から嬉しかった。

配信中は彼女の配信を俺のドブボで汚したくなく、終始ミュートで過ごしていた。
故に、この場でも何も言葉を返す事が出来なかったあの時の自分に代わり、ここでお礼を言いたい。


ありがとうございます。あなたのそういう所に自分は惹かれました。
今日は本当に楽しかったです。また機会があればよろしくお願い致します!


・終わりに、VRはいいぞ。

今までの人生において、特定のコンテンツにこれほどの衝撃を受けたのは初めてだろう。
過去にも何度か特定のアニメやらゲームに衝撃を受けた事はあったが、今回VRで感じた感情はそれらとは一線を越えた「エモさ」があった。

それほどまでに、現代の”バーチャルリアリティ”は進化している。


しかし、1時間ほどの配信時間中、自分以外の視聴者がこの空間に入ってくる事はなかった。

恐らくだが、これには理由が以下の理由が考えられる。
・ニコ生に比べると、youtubeはバーチャルキャスト人口が少ない。
・VRCやクラスターと違い、VRHMDが必須。(デスクトップモードがない)

この2点があり、他の視聴者は機材と環境を用意できず、凸入室する事が出来なかったのだと思われる。
もし次回があれば、是非とも他の方とも交流してみたい。本当に楽しい時間だった。これを俺1人の物にしてはおけない。

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自分はこのOculus QuestOculus Linkという機能でPCと繋いでバーチャルキャストへと参加した。
非常に値段も安く、オススメの一品だ。…が、記事執筆時点だとAmazonでは売り切れになっていた。
慌てて中古品や値段の高い転売品を買うよりも、入荷されるの待つ事を強くオススメする。マメにチェックしてると結構入荷するぞ!



後に知った話なのだが、大手VTuberの中にもVRライブ配信やらVRLT配信なんかをやっている方が居るらしい。
実際に参加してみて、これはまさに「動画コンテンツの進化」だと感じた。

相変わらず自分は「立ち絵を置いただけの進化を辞めたVTuber」は嫌いだが、今回の出来事でそういった「進化する事を辞めないVTuber」を他にも探してみるのはいいかもしれないと、少しだけ考えを改める事となったのだ……。


>>本日のまとめ<<

みんなも安倍総理の給付金で、推しVとVRで会いに行こう!!!