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捨てられるものをより良いものに生まれ変わらせたい │牛乳石鹸×東京高専 汚泥アップサイクルプロジェクト

環境にやさしい牛乳石鹸の工場

牛乳石鹸の工場は大阪市内にあります。見学に来ていただいたお得意先様には「こんな住宅街にあるんだ~」と驚かれることがあります。工場と言えば、土地の広い郊外にあるというイメージが強いようです。

赤箱や青箱は「釜だき製法」という製造方法で作られています。原料となる牛脂や天然油脂などを熟練の技術で、丹精込めながら約1週間大きな釜で炊き続けます。この大きな釜は11基あり、年間に1億個以上石けんを作ることができます。その石けんを縦に並べると、なんと地球4分の1周分に相当する距離になります!

昭和38年(1963年)に東洋一の化粧石鹸マンモス工場として稼働

この釜だき製法の製造途中では「純度の高い石けん(ニートソープ)」と「不純物を含んだ廃液(甘水)」の2層に分離します。この甘水は廃液のため処分しなければなりませんが、そのまま流すことはできません。そのため、甘水は「甘水エコロジープラント」で微生物を用いて排水が可能なレベルにまで浄化され、さらにその工程で発生するメタンガスは、ボイラー燃料として有効活用されます。石けんを作る過程で捨てるものをなるべく発生させない、とても環境にやさしい工場なのです。

甘水エコロジープラント

それでも「捨てられるもの」はある

新規事業室ではSDGsを達成するために、牛乳石鹸として何か取り組むべきことはないかと考えていました。その中で、「工場で捨てられているもの
は何かないか?」「捨てられるものを、捨てずにもっと良いものに生まれ変わらせることができないか?」会社の中で、いろんな人にヒアリングしました。その時に発見したもの。それは、石けんを作る過程で捨てられている存在、「汚泥」

製造現場で働く人たちは皆知っているそうですが、オフィスで働く私たちには知らないことでした。お得意先様などに工場見学にきていただく時にも、わざわざ廃棄物をお見せすることはありません。「石けんが作られる過程」は良く知っているけれど、こんな廃棄物があることは知りませんでした。きっとこのことを知らない牛乳石鹸の社員はたくさんいると思います。

粘土状になっている汚泥

先ほど甘水をエコロジープラントで処理をするとお伝えしました。汚泥はこの工程で発生します。甘水には石けん成分が混じっていて、これがプラント内の微生物の活動を邪魔してしまいます。この石けん成分を取り除くために専用の機械で甘水をろ過するのですが、その時に「汚泥」が発生するのです。汚泥は業者の方に引き取ってもらい焼却処分されています。

甘水のろ過装置
ろ過装置のフィルターに汚泥がたまり、手作業で汚泥を除去する
年間20トンの汚泥が生成される

汚泥をより良いものにできないか?

「この汚泥を焼却処分することなく、より良いものにリサイクルすることができないか」調べていると、こんな情報が。

「産学連携」
新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携することをいう。

wikipediaより

産学連携という言葉をご存じでしょうか?大学と民間企業が協力して、新しい技術や事業を創出することなのですが、調べていたら複数の大学が民間企業を募集しているウェブサイトを発見したのです。学校の力を借りることができれば、この汚泥をより良いものに生まれ変わらせることができるかもしれない。希望を託し、応募してみることにしてみました。汚泥のことを伝えると、興味をもった学校から後日連絡があるとのことでした。

そして待つこと数日、ドキドキしながら待っていると連絡が! どんな学校がこの汚泥に興味を持ってくれたのか!?届いたメールを開いて目に飛び込む学校の名前、それは東京工業高等専門学校(東京高専)。なんと大阪から遠く離れた八王子にある東京高専さんが興味を持ってくれたのです!東京高専さんと一体どんな取り組みができるのか!?続きます。