すてきなセーター

追い抜かそうと思って、でも思わず見蕩れてしまったおじいさんのセーター。もう少し見ていたくて、わたしはおじいさんのうしろを歩くことにした。

落ち着いたピンク色をメインに、でも色んな色が混じっている。だんだん色が変わっていく毛糸かもしれない。どうやって編んでいるのかさっぱりわからないけど、手編みかな、と思う。ちょっとくたびれているところなんかも、かっこいい。長いあいだ大切に着ているんだろうな。

手編みのセーターって編むこと自体も相当すごいけど、それをこんなふうに着続けてもらうのもすごいことだなあ、と思う。

わたしは「すてきなセーターを編むおばあさん」のことを想像しながら、歩道橋を渡り切ったところで、おじいさんとは逆の方向に曲がった。

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