真っ白な君へ
君と出会ったのは、6年前の夏の日、あれは、花火の日。
真っ白で目がクリクリだった君は、初対面の私に対して大きく声を荒げた。
見たことのない「侵入者」に対する防衛反応だろう。
それから何回かして、君は私に対して叫ばなくなった。
「ここにいてもいい奴」になれたのかな。
それから多くの時間を共にすることで君のいるお家はいつの間にか私にとってとても心地の良い場所になっていた。
少しずつ距離感が近くなっているのを感じていた。
何よりも、君と一緒に居る彼女が幸せそうすぎて、この上なく尊かった。
彼女が家に帰る理由は、君だった。
そして君も、彼女のことをずっと、待っていた。
言葉を交わさなくても伝わる
「愛情」
「信頼」
「家族」
彼女にとっての君との13年間は、私には知ることができない濃密な13年だったに違いない。
間違いなくいえることは、
幸せだったということ。
君のことを嬉しそうに話しながら、家に着くなりすぐに君に飛びつく彼女の姿も、
彼女にしか見せない顔があって、彼女の帰宅に全力で答える君の顔も、
よく似た目も、いびきも、
全てが私の心に焼き付いている。
2021年7月18日、
君は空に旅立った。
最後に会えなかったこと、
1年近く会えていなかったこと、
何よりも、
彼女の帰りを待つ君と君に会いたいと日々想いを募らせていた彼女を会わせることができなかったこと。
それが何よりも悔しい。
もっとたくさんの時間を共有したかった。
きっと今頃、元気に走り回ってるんだろう。
真っ白な姿をなびかせて。
今までたくさん彼女を支えてくれてありがとう。
たくさんの人を幸せにしてくれてありがとう。
そのたくさんの人のうちの1人にしてくれてありがとう。
あなたの分まで彼女に愛を捧げます。
これからも優しく見守ってください。
あなたにとって最後に増えた家族より
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