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おおきな靴の話

僕の足は大きい。
実寸で29.5cmもある。ほどがある。
中学3年の15歳で27cmの靴がもうめちゃんこ痛い。
同級生の中で最大センチメートル。
27cm以上の靴って当時は、なかなか売っていないのよ。
っていうか近所では全く流通していなかった。

だんびろではなくて細長の欧米タイプ

靴がない


当時は(1979年)どこ行ったら28の靴を買えるかわからない。
犬山市の清水屋や江南市のユニーとかスーパーのなかにある靴の店員さんに相談するくらいしかない。
もしくはジャイアント馬場のいるであろう東京に行けば買えるだろうなぁって。
16文キック アッポー

店員さんに相談したところで日本のメーカーには28なんてそもそも設定がない時代だったと思う。店頭の在庫は27までがほとんどだったとおもう。
アシックスやチャックテイラーやコルテッツがたくさん展示されてた、偽物も多くてアディダスやプーマのそっくりさんが多かったなぁ。
流通されてる以外のサイズに育っちゃうと本当に暮らしにくい。
程よくが大事。
大谷翔平の靴のサイズ28.5cm、阿部寛は28cm。

今でも箱の数字を凝視します



靴だけじゃなくて、洋服だって同じ。
身長が180cm超えてくると急に存在しなくなる。
『おおきなサイズ』を探すと『大きい=太ってる』ってなっちゃって、横に大きくなっていくばかりで縦に伸びない。
制服のズボンの丈は「こうちゃん!もうこれ以上出せないわよ」って母さんに言われてた。言われても伸びちゃったけどね。

28cmとの出会い


店員さんでもわからないならば、本で調べるしかない時代。ググれないので本屋さんに行った。
TSUTAYAなんてないから隣町の大きな本屋さん。十一屋書店さんだったかな。
ヒントになりそうな本を探してたらアニメージュのロマンアルバムみたいなサイズのスニーカーのムック本があったので、おこずかいで買いました。
いや買ってもらったかな?
コンバースのワンスターとかナイキのコルテッツ、アディダスのスーパースターとかかっこいいスニーカーがたくさん載ってた。
本の中は記事ばかりではなくて広告も入ってる。いろんな地方の広告。各地の靴屋さんが宣伝している広告。
愛知県では八事の中京大学前のスニーカー屋さんが広告を出してた。そこには『大きなサイズも置いてます』って。
困ってる人に届くといいねって感じくらいで小さく書かれてたのを発見。
中京大はスポーツが得意な人たちが多い印象だったから「大きな身体の人が多く暮らしてそう。だったら28とか29がきっとあるぞ」って思って、その広告のお店にいきました。
もう閉業しちゃっててお店の名前忘れてしまったけれど、そこにありました。28cm。
28cmの青のスニーカー。
4本線のアビバス。

アビバス

こんな感じだった。
adidasの偽物ってわかってても嬉しかった。履けたってことが嬉しかった。
かかとを踏まないで履ける靴。
外履きと上履きがいるので同じものを2セット買いました。
上履きもアビバス。踵にabibasそう書いてあった。
もう履いて帰りたい気持ちだったけど、大事にしたくて家まで箱に入れたまま持って帰った。
週明けから履いて学校に行った。上履きも外履きも新調。
痛くないのが嬉しかった。イエーイ。

でもね、からかわれたのよ。
みんなと同じ白のバレーシューズ(上履き)じゃないから目立つし、下駄箱から踵がはみ出しちゃってた。
適当に笑ってかえしてたけど嫌だった。
バカの大足とも言われたし、「私の上履きを履いたままでも、この靴は履けちゃうねっ」とか言って女の子が上履き履いたまま僕の靴に足を突っ込んで履いてた。下校前の掃除の時間だったかなぁ。やっぱり嫌だったよ。でも笑って流してた。

高校生になって身長も足もすくすく育って28がキツくなってきたので、八事の靴屋さんに行って履けるサイズの在庫があれば、それを購入してた。
履けるものを探して、履けたら購入するって感じ。

だから足にとって良いサイズの靴選びってできなかった。
痛くないものがあれば「コレください」って感じで選んでいた。
まだ大きくなっていくだろうから、ゆったりした感覚の靴は足がすくすく大きくなっていくような気がして敬遠してた。
まぁ、この頃(1980年代中期)は31cmなんてサイズの在庫は無かったと思うので実際ゆったりって感じは無理だったと思う。
それに29.5cmや30.5cmなんて刻んで在庫されるなんてこともなかったので探るって行為がしづらいし、大きな靴は箱で多くは店頭には積んでないの。だから店員さんに「大きなのありますか?」って声をかけなきゃ試し履きができない。お願いするのってなんとなく恥ずかしいじゃん。だから履いてみて痛くなかったら、すぐその靴にしてた。

成長がとまらない


スキーブームが到来したのが大学3年の時。
ブームに乗っかって僕もスキーに連れてってって、友人につれてってもらいました。
レンタルされてたスキーのブーツは28まで。
終わる頃には爪も真っ黒で完全に終わってた。
友人とボーリングする時も靴を借りないといけない。
どこのボーリング場に行ってもレンタルするボーリングシューズは新品同様。
「こうじしか借りてないんじゃない?」って言われてた。
星が丘ボウルは29まで置いてあったなぁ。

右の足の方が左より少し大きいなって気づいたのが、この頃。
選んで履いていた靴は、右のつま先が常に靴がきつめでうっすら緊張してた。

これが原因かわからないけど、裸足で片側の足だけで立つと左足の時には左の指は全部、開いてどっしり立っていられるけど、反対の右足だけで立つと今でも右足の指は全部キュッっとちぢこまっちゃって、どっしりと立っていられない。

モトクロス


でもね、靴ってそうじゃないってわかったのが2018年10月。
きっかけはモトクロスのスクールに参加した時。
52歳の秋。バカボンのパパは41歳の春。

スクール講師の鈴木友也さん


バイクに乗ってるところを見て、しばらくして言われたの。
「ずっとつま先に力が入っているように見えます。ブーツの中でつま先、足の指が動けますか?」って。
「え?指って動くの?靴の中で指動くの?、靴ってピッタぴたで履く方が細かな動作がしやすいんじゃないの?」
指を動かせる空間も感覚も全く作ってなかった。
15の頃から悪ガキでじゃなくて、つま先はいつも靴にピッタぴただった。右なんか特にそう。余裕なし。

モトクロスやる時もブーツの中で足がピッタリ寄り添ってる方が良いでしょて思ってて、わざわざ厚手の靴下履いて乗っていた。
「足の指は動かせても良いんですよ(笑)。動かせた方がきっといいと思いますよ」って「とりあえずブーツの中敷きを抜いてみませんか」って言われてすぐに抜いて乗ってみたら、感じたことのないふんわりした感覚。
身体の前側にあった緊張感がスーッと少し抜ける感じ。
すごく嬉しかった。あーこんなにゆるくて良いんだって。
つま先の緊張がなくなるってすごい新鮮。かかと動きやすいじゃん。
丸まった肩の力も少し抜けてリラックスしていく感じ。
オートバイへの動作が丁寧にできるようになった。落ち着いた感じになった。
後日調べると、この指が動ける空間が「捨て寸」っていうらしい。
足にとっても大事なことだった。37年も知らんかったわ。

巨大靴


この感覚は良い。とても気分がいい。
そこから全部の靴を買い替えた。
2019年には名古屋の栄にニューバランス直営店ができた。
店頭で足のサイズを測定できるマシンがありますって告知されてた。
そして5月に測定してもらって、わかったサイズがこれ。

2019年だからipad古いね

右がちょっと大きくて12.5インチ推奨。
店員さんに12.5をお願いすると店頭に在庫がないですって。残念。
でもすごく嬉しかった。
僕のデカい足は12.5から13インチくらいが適合なんだってわかった。
ネットでなんでも買える時代になってるので31cmを購入することは簡単になった。13インチ。
スニーカーはABCマートのWEBショップがとても使いやすく在庫も豊富。
ブーツは中古のダナーを買っています。

右の靴紐につけてるのはお守り


細身で足に合うのでネットオークションで中古を買ってリペア屋さんにソール張り替えをお願いして履いている。
オークションでは大きな足の恩恵があります。
13インチの出品があれば全く競うことがなく落札できるのです。
足がデカくて良かったかもなって思えることができて良かった。

ゆったりして靴を履くようになって生活が少し楽になった。大袈裟に聞こえるかもしれないけどほんとにそうなった。

31cmの佐藤二郎も大変だったのかな。

次回は「むちゃんこ小さい僕の耳」を書こうかな。

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