世界の選択 (ネタバレ満載です)

私がプレステで忘れられないソフトは沢山ありますが、当時一際個性が光っていたのが、『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』です。

ゲーム内では、幻獣と呼ばれる謎の存在から、第5世界の日本を防衛するため、少年兵が召集されます
(私達の世界は第7世界と呼ばれ、平行世界の平和を守るため、ゲームの世界に介入します)。

熊本県の5121小隊という部隊の活躍を、1999年3月から5月中旬に渡って、ゲームをプレイする事で体験していきます。

このゲームは、おそらく初代プレステの性能の限界に挑戦しています。プレステが読み込み中に変な音をたて始め、思わず同じ部屋にいた家族に、これ大丈夫?と確認したくなる程の読み込み音。

また今話題のAIを、ノンプレイヤーキャラクターの行動を決めるために使用しています。

初回のプレイヤーキャラクターは、速水厚志。人型の戦車『士魂号』の三番機に、この物語の鍵を握る芝村舞と同乗し、他のパイロットやスカウトと呼ばれる人員や他部隊の援軍と一緒に、別世界から襲来した幻獣と戦います。

速水厚志は、本来のシナリオではヒロイン(誤植ではありません)という位置付けですが、育て方次第では、エースパイロットにも、優れた整備士にも、衛生官や司令にも成り得ます。

自由度が非常に高いゲームで、もともとあった役割を上官に陳情して、変えることも可能です。

彼はサンドイッチやクッキー作りなど、家事が得意なただのぽややんとした男の子かと思っていたら…!
各キャラクターには詳細な裏設定が存在します。

結論から言うと、速水厚志は、ぽややんを演じていますが、大切な存在を守るため、ある時点でぽややんを演じる事をやめます。

彼の雰囲気の変化に、当時は驚きましたが、今思うと、必死に守りたいものがあると、人は変わらざるを得ない時があると、今では思います。

ゲーム内では技能を取得したり、トレーニングをして体を鍛えたりできます。
行動次第で活躍の幅が増えます。また、機体のメンテナンスをすることで、パイロットの生存確率を上げられます。

整備士に工具箱をプレゼントする事で、仕事の効率を上げたり、一緒に仕事をする事で、キャラクター同志が仲よくなることもできます。

世界こそゲーム中の異世界ですが、キャラクターには個々の喜怒哀楽があり、キャラクター同志の相性があり、好き嫌いがあります。

一方ではお付き合いを始めたり、他方では喧嘩が勃発する事も。

あの人と仲良くして、とお願いする事も可能です。同じマップ内にいる人物に提案するシステムがあります。当時のゲームをプレイしていて、私にとっては斬新で驚きました。

そして、ゲームの中のキャラクター達は、生き延びるため、また日々を生きるため行動します。

キャラクターは特定のシナリオの進行や、幻獣との戦いで、命を落とすこともあります。その後クラスメイトの席が空席になる悲しみは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

登場人物が全員生残するために、多くのプレイヤーは、日常場面や戦場場面のマップ内を駆け回ることになります。

ただ、全員が生き残らなくても、とりあえず期間内をプレイヤーキャラクターが生き残れば、エンディングは迎えられます。

真のエンディングに達するまで、世界はループを続けます。愛があるエンディングを迎えるために。ハッピーエンドを、返してもらうために。

私は、このゲームは、一言では語り尽くせませんが、登場人物は、人間くさくて、とにかくいとおしいです。それぞれに大切なものがあります。私が歳を取れば取るほど、キャラクター達に感情移入できるようになりました。

ゲーム内を駆け回り、彼らの事を知るのが、楽しくてたまりません。プレイして欲しくて、この記事を書きました。良かったら、ぜひ。


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