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はじめての最終回/漫画の仕事とお金のこと

最終回の原稿を納品した。

最終回、じっくり時間をかけて、今までの成長の成果をこめて…という感じで描きたかったのだが、やはりいつも通りバタバタと仕上げることになった。(本当は余裕を持って締め切りの前日に上げようと思ってたのだ。無理だったよね。)

原稿データの書き出し、塗り残しがないかのチェック、ネームに抜けがないかのチェックをして、zipをストレージにアップして編集部にメールを送る。その一連の流れが終わった後、ふっと寂しい気持ちがやってきた。

そうなのか。連載を終えるって、こんな風にふわっと寂しい気持ちになるものなのか。知らなかった。連載をやってみて初めて分かったことだった。

ところで、漫画の連載といえば何を思い浮かべますか。締め切り、徹夜、延々と続く打ち合わせ、こき使われるアシスタント…なんていうものは私の初連載では全くなかった。連載は最後まで想像を裏切る形で、とてもホワイトなことにほぼ週休2日・徹夜ゼロで完走したのだった。

漫画の仕事をちょくちょく受けるにつれ、この仕事、もしかして何よりも「座組み」が大事なのでは?と思うようになったのだけど(座組みとはどのポストにどういう人を置くかの配置のこと)、今回のホワイトぶりは担当編集さんと編集長がかなりキャリアのある方だったことが大きいと思う。感謝…!

格安でも漫画の仕事を受けるべき?

漫画の仕事をやりたい!という方に何かアドバイスすることがあるとすれば、私の少ない経験で申し上げるのも恐縮だが、実は駆け出しの時に限ると「条件の良い仕事ほど楽です」ということが言える。言ってしまった!

漫画を描き始めて、自分のwebサイトにメールフォームを設置すると、まずどういうメールが来るかというと、「お金を払えばあなたの漫画を使ってあげますよ」というメールが来る。これを「お金を払えば使ってあげますよ期」と言う。(そのまんまだな)

そのままスルーしていると、次に「無料で使ってあげますよ期」がやってくるので、強い気持ちでスルーする。続いて「単価は格安ですけど経験になりますよ期」がやって来て、お金がもらえるということでグラッと来るかもしれないが、ここもスルー。その後に「報酬いくらで仕事しませんか期」がやっと訪れる。

カットの単価でいうと、web用のカットで1枚1000円を切る場合は格安の部類に入ると思う。なぜ条件のいい仕事ほど楽なのかと言えば、一つは新人にとっては業界において常識的な額の案件でも「条件が良い」部類に入ることと、もう一つは予算がきちんとある案件ほどスタッフにベテランが揃っているからである。

「新人の内は安くても仕事を受けなければならない」とか、「苦労は買ってでもしたほうがいい」という人が現れるかもしれないが、なぜその人がそう言うのだろうと考えると、そうしてくれたほうがその人にとって得だからではないかな。しっかり創作活動を続けていけばステージは上がっていくから、もし変なことを言われても焦らないで。私もまたお仕事を頂けるように頑張りたい。秋以降のスケジュール空いております…!

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最近の夏は静かだ。子供の頃の夏はもっとじりじりと騒がしかったなと思う。風の音、虫の鳴く音、子供の声、お寺の鐘。どうしてこんなに静かになったのだろうか。簡単なことで、今は窓を閉めているからだった。クーラーが無かった家での夏の密度を思いながら、では昔の方が良かったのかというと、今の空調が効いている部屋の方がずっと心地良いのだった。

ショッピングモールに買い物に出かけて、「予告 土用のうなぎ」を「不吉 土用のうなぎ」と見間違う。不吉うなぎ、それは一体どんなうなぎだ。去年も一昨年もうっかりしていてうなぎを食べそびれてしまった。不吉ではない方のうなぎを、今年こそはしっかり食べたい。


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