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書評:2025年、人は「買い物」をしなくなる

目次
【第1章】ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる
【第2章】ショッピングはどう発展してきたのか
【第3章】リーディングカンパニーたちが目指すもの
【第4章】さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
【第5章】「人々が『買い物』をしなくなる未来」の先にあるもの

望月智之(もちづき ともゆき)
株式会社いつも.取締役副社長  2019.11初版

次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃
日米中でのEコマースとマーケティングの専門家が衝撃予測!

【第1章】ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる

「買う」という行為は思いのほか面倒くさい
買い物中のプロセスの一部を楽しんでいるだけ

ネットショッピングは「店に行く」というプロセスを省略してくれた。
店舗離れを加速させた「ウェブルーミング」や「ショールーミング」

新たな役割を見つけて生き残る店舗は「体験型の店舗」
NIKE House of innovation 000 ナイキの体験型ショールーム

サブスクリプションのビジネスモデルの普及
サブスクのメリットは商品のサービスや価格が高いものほど感じやすい
・ガリバーの自動車貸し出し、ラクサス

「買っているのに所有しない」概念を変えたメルカリ
アパレル業界への影響→セール品や値崩れしやすい商品が動きづらくなっている

買うプロセスが省略されても残された楽しみは「開封の儀」
買い物のプロセスで最終的に楽しみにしているのは「封を開ける瞬間」。動画サイトでも「開封の儀」が人気なのも、その瞬間を共有する楽しさがあるためだ。

ハイブランドも「Unboxing」=「届く瞬間、箱を開ける瞬間のユーザー体験」を最も重要視している。そのためイケてる箱をどう作るかということが新しいテーマにもなっている。

【第2章】ショッピングはどう発展してきたのか

「ショッピング史」は棚を奪い合う歴史だった
戦後からバブル経済の崩壊までは消費者の購買力は右肩上がりで伸び続け、あらゆる業態の店舗の業績を伸ばしていた。

21世期に入り、インターネットの普及により「商品棚」が家の中に。
EC市場は平成不況の中でも拡大し続けている。
日本のEC化率は7.3%(2017),世界の小売市場のECは10%,アメリカは11%

スマートフォンのEC市場も拡大
若者はググらず、専用アプリ、SNSで検索

大企業もマス戦略から「スモールマス戦略」へ
1000億円規模の市場を作るよりも100億円規模の市場を10個作り、「小ロットを売り切る戦略」でないと生き残れない。

店舗を持たないメーカーの戦略「DtoC」
メーカーが商品を小売へ卸さずに直接消費者へ販売するということ。自分たち独自でこだわりのものを小ロットで作り、その価値を消費者に認めて貰えばECサイトでも勝負ができる。SNSを活用してネットユーザーを巻き込んで人気を得ている。

【第3章】リーディングカンパニーたちが目指すもの

「便利さ」に飽き始めた消費者が求めるもの

最近の消費者は便利であることに慣れてしまっている。今では便利さの代わりに求めているのは「時間」である。検索エンジンの膨大な情報量から探すのではなく、自分にマッチした情報だけを得る時代に。

・ロボット掃除機、食器洗い洗濯機、寝癖がつかないシャンプーなど
・無人コンビニ、カーサイドピックアップ、ラッキンコーヒー

商品の「パーソナライズ」
個の時代と言われる世の中で、消費者の側では「自分だけのモノが欲しい」というニーズが高まっている。
・Nike by you
ものを買う場所ではなく、モノを一緒に作る場所になっていく。
買い物の面倒なプロセスは省略され、新しいユーザー体験を求められている。
Amazon「discover」,ロレアル「color&co」

【第4章】さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ

「あらゆるデバイスが商品棚になる」

本書の定義するデジタルシェルフとは「世の中の電子化が進む中で、日常身の回りにあるありとあらゆるものがシェルフ(商品棚)になること」

データドブリンにより始まる「無意識の買い物」
1.データドブリンによりAIを活用して必要なものが自然に届くようになる
2.他人の意見によって商品を購入するようになる

情報を重視した経営政策
・ファンや店頭、スタッフの声を集めて商品開発、需要予測
・店頭とECサイトを融合させた物流システムの開発
・ZARAでは今で流行っている服は何か、データを活用して約3週間で服を作る
・インスタの流行の最先端の情報を画像解析技術で分析して服を開発
・国内の主要なモールや口コミサイトの商品レビューを分析。市場ニーズにあった商品開発

インフルエンサーが商品を販売していく「ライブコマース」
ネット上で影響のある人をインフルエンサーと呼ぶが、今後は彼らが自ら商品を仕入れて販売していく。そのプラットフォームがライブコマース。ライブ配信とEコマースを組み合わせ、テレビショッピングとの差は、相互のコミュニケーションを図れるという点。

質よりも共感できるストーリー
その商品を生み出した過程のストーリーで売れる
・Away 旅行中にキャリーケースを開けずにスマホの充電ができるキャリーケース
・Allbirds 環境基準を満たした天然素材で作られたスニーカー

WhatよりもWhyとHow
なぜそれを作ったか、そしてどのように作ったか

ストーリーは長い方が良い
1週間、1ヶ月と時間がかかるものほど共感されやすい
たくさんのプロセスを見せた方が共感されやすい
職人が作業するところよりも素材を収穫するところから

「比較したくても比較しづらいもの」「大量生産できないもの」
「母の日ギフト」「出産祝い」などのギフト。名札などのパーソナライズなものなど丁寧に説明が必要なもの

【第5章】「人々が『買い物』をしなくなる未来」の先にあるもの

買い物は自分で探して選ぶ形から、AIが勝手に探して来てくれる、または人から勧められた物だけ欲しくなる

5Gの普及で生活の中には24時間「バーチャルコンシェルジュ」が帯同する

サブスクでモノを持たなくなる時代に

ショッピングの選択権はマス広告を打つ大企業ではなく、消費者が握っている。

大事なのは、次の10年後を見据えて変化を掴むことである

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