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けものフレンズ2の一部スタッフが制作し、全く存在を認知されなかった深夜アニメ

現在TOKYO MX等で放送され、エクスアームを彷彿とさせる3Dモデルや素人声優の起用でクソアニメ愛好家の恰好のネタとなっている「錆色のアーマ-黎明-」(自分は1話でギブアップした。同じ素人声優アニメなら「異世界の門」の方がずっと面白かった)。そのアニメーション制作は、アニメ界に大きな禍根を残してしまったアニメ「けものフレンズ2」でプロデュースを務めた「Kigumi」が担当、幹事会社「Age Global Networks」(以下AGNと表記)も製作委員会に参加していることはスタッフクレジットを見ればわかることだ。

が、今回記すのはそのアニメの話ではない。実はその前年に殆ど同じ境遇にあったアニメが放送されていたことをご存知だろうか。


その名は「歌うサッカーパンダ ミファンダ」。

これはMr.Childrenの桜井和寿氏とラッパーのGAKU-MC氏で構成されるユニット”ウカスカジー"が所属するMIFA(Music Interact Football for All)のキャラクター「ミファンダ」がアニメ化されたもので、声優の小野賢章氏と市川太一氏が参加、BS-TBSの毎週金曜の深夜3時より30分間放送される「エンタメ情報市場!」内にて7分間放送、2021年4月から9月まで全12話が放送されていた。

このアニメにはホームページも無く、前述したAGNがプレスリリースを出している事以外は全くスタッフ情報が明かされず、Wikipediaにすら書かれていなかったが、映画データベース「allcinema」にはスタッフ情報が記載されている

これを知った時は髪の毛が逆立つ思いだった。アニメーション制作は「トマソン」と記載されている(これは探せば何とか見つかる情報であり、少なくともけもフレに関する騒動を纏めたWikiやプロデューサーのTwitterのプロフィールにて記載を確認できた。一応ツイートで告知もしていたようだが、リツイート・引用ツイート・いいねの合計は20個だった)。トマソンは「けものフレンズ2」でもアニメーション制作を担当している。放送が終わった今もトマソンのホームページには未だこのアニメは記載されていない。「けものフレンズ2」はおろか、2021年10月よりTOKYO MXで過去作の「日本の昔ばなし」が放送される事の告知すら載っているというのに、である。

また、各話エピソードの欄を見ると、第3節では当初無印「けものフレンズ」にてシリーズ構成・脚本としてクレジットされていた田辺茂範氏が、第10・11節では「けものフレンズ2」にてシリーズ構成・脚本を務めたますもとたくや氏が脚本を担当している。まさかの共演である(なお、それ以外の話を担当した島根さだよし氏は元芸人で東京ヤクルトスワローズファンとのこと。なんで野球ファンにサッカーアニメの脚本を書かせるんだ)。

田辺氏は現在も多くのドラマやショートアニメの脚本を手掛けているが、ますもと氏は放送時点で既にAGNのホームページから名前を消され(十年近く活動が確認できない方が未だ記載されているにもかかわらず)、エクスアームの監督である木村好克氏と演劇ユニットを組んでいることはこちらの記事でも触れた通りだ。その為、これが今のところ氏にとって最後のアニメということになる(ただ、Twitter<削除済み>で2024年に放送予定の作品の脚本を手掛けていると発言していた。それがドラマかアニメかは分からない)。

なお、監督が誰だったのか、そもそも存在したのかについては確認できなかった。

因みに、このアニメは当初2020年の7月より放送予定だった。同年5月にはそのことが告知され、6月にはPVも公開、新作アニメのPVを流す企画「つづきみ」にも参加している(この時は「ジビエート」の直後に紹介されている。当時は変な順番だな、と思っていたがまさか伏線だったとは)。しかしその後一切の続報は無く、8月に変わる直前に放送延期が発表された。また、桜井氏が2019年9月のライブでアニメがテレビ東京で放送されると告知していた、というミスチルファンの書き込みが複数確認されている。この時点でウカスカジーのお二人はアニメについて殆ど知らなかったとのこと。7分のアニメなのに半年も延期され放送局も変わるとは、この間に一体何があったのか。
これは私の妄想に近い推測だが、テレ東がけもフレ2の件でAGNに嫌気がさして縁を切った、もしくはこの番組はテレ東のプロデューサーだった細谷氏が担当だった、しかし2019年にプロデューサーの役職を追いやられ、翌年に細谷氏がテレ東を退職したため、プロデューサーが消えた番組は放送枠を失い、その後2021年にようやく他局のBSの深夜の情報番組内での放送に落ち着いたのではないだろうか。ただ後者は「アイカツフレンズ!」や「ワンパンマン」、「闇芝居」等が別のプロデューサーに変わって続いているので違うかも。尤もテレ東で放送予定だったというのも不確定情報だし、そもそも後述の通り誰も見てないのでどうでもいいか。

なお、上述の通り視聴方法はBSの午前3時の情報番組内と、誰が見るんだと言うにも程がある時間に放送された上に、新作は月に1回(その中で2回分放送)、見逃し配信等も一切無し、おまけにBS-TBSの公式サイトにすら記載されていない有様だったので、少々のミスチルファンが反応を見せてはいたが(片割れのGAKU-MC氏のファンの反応はほぼ見当たらなかった。これも知名度の差か…)、それすらも時間が経つにすれ減っていき、ネットに上げられた感想やレビュー等はほぼ皆無といってもいい状態だった(唯一、リンクは割愛するが、メジャーなアニメから殆ど存在が知られていないWebアニメまで網羅する人が一人見つかったのみで、曰く全く面白くなかったとか。また、ドラゴンボールやスラムダンク、声優つながりでジョジョのパロディがあったらしい。彼のレビューは10点満点中0点だった)。某アイドルアニメの言葉を借りるなら「コメントが無い、世界中が無視した」アニメという事になるだろう。

DVDも発売されていないので今から見返す方法は無い(自分もdアニメストアにリクエストを送っているが、配信される気配が微塵もない)が、放送延期の際に第0節のみMIFA OFFICIAL CHANNELにて配信されたので、面白いかつまらないかどうかは己の目で確かめてもらいたい。というかこのチャンネルでアニメを配信すればよかったのに。

自分の感想は…、そこまでつまらないとは思わないかな。


因みに前述の全アニメを網羅する人曰く、第12節以降もやる予定だったが再び延期になったそうだ(マジでこの方からしか得られる情報が無い。このアニメを見た人は何人いたのかも分からない)。もし続きが放送される時は、視聴環境がある方は視聴してみてはいかがだろうか。(4/7追記 当アニメは第12節を以って終了したとのことです。大変失礼いたしました。お詫びして訂正いたします。)

…というのがエクスアームのアニメについて調べていた時に何故か発掘してしまった情報だ。ただエクスアームとミファンダは何の関係もないということは伝えておきたい。

ところで何でこんな誰も知らない、自分も見てすらいないアニメに怯えているかというと、自分は過去に「けものフレンズ3」のプレイ動画をニコニコ動画にアップロードするためにプレミアム会員になった序でにニコニコ大百科で大量にアニメの記事を作成していたことがあり(しかしあまり純粋な気持ちでゲームをプレイできず、記事の方も内容の薄さを指摘された事もあり、程なくしてどちらもやめてしまった※。ただけもフレ3自体は楽しいゲームであった。「エクスアーム」や「異世界の門」に触れる事があるのは自分が初版を作成した記事の中で記憶に残っている作品である為)、その中の一つがこれだったのだ。あらゆるアニメ情報をいち早く手に入れる為、ニュースサイトやアニメ情報を発信している個人のTwitterを常にチェックしていたので、冒頭のプレスリリースを見たときは制作会社はもしかして…という考えが頭に過ったが、まさか本当にトマソンだったとは、そうと分かっていたら作らなかっただろう。尤もこの記事を挙げる前までは掲示板に自分以外の書き込みがないあたり文字通りトマソン(無用の長物)となっているのは幸いか。

※2024/3/1 大百科の方は戻ってきちゃった☆




それにしても、冒頭の錆色のアーマにも言えることだが、仮にそれぞれ低評価・認知度0のこの2作品が、けもフレ2のよしみでアニメ制作を任されたものだとしたら…。

騒動の発端がかつて社会現象を起こした作品の監督の降板だということを考えると、何とも皮肉な話である。

おわり

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