鏡の中の波平
ある日の事、家で吉本新喜劇のDVDを見ていてそこに出演していた女芸人タマヨちゃんのヅラ芸を見て風邪だか知恵熱だかわかんない症状でヘロヘロになりながらソファーに寝そべりゲラゲラ笑っていた私。
そして数日後にかなりトラウマ的な事件が勃発して、相当最低な気分に陥った時に、その波平ヅラから心の仕組みに関する連想ひらめき&気づきスイッチが入った。
自分がある時、どこでいつ被ったのかは自覚がないのだが、波平のズラを知らぬまま付けていたとしよう。
周りの人たちが、いつも何か自分の知らないところでヒソヒソ話している感じがいつもする。
私は波平ズラをかぶっている事に気付いていないので、そんな態度にどこか違和感を覚えていつももやもやする。
ある友人はちょっと不自然な笑顔を作りながら、ヘアスタイルやサザエさんの話題になると何故かごにょごにょ、いつもキレの悪い話し方をする。
何だろう??
あなたはますます不信感を募らせる。
ある日あなたは街の中で目の前に突如現れたズラをかぶって白目をむいたタマヨちゃん風な女のリアル版に遭遇する。
なんだこの人はー?!吉本新喜劇の舞台ならともかく、リアルでやってるんなんて絶対頭がおかしい人に違いない!きもい!怖いっ!近寄るなーっ!!
あなたは避けようとするが女は何故か近付いてきて、ますます詳細に細部までも見え、そいつのリアル変人的な空気感までも伝わってくる。
って、よく見たら目の前にあるのは建物の壁にあった巨大な鏡。
・・・わ、私だ・・・。
日常の中で感じる喜怒哀楽。
ごく微細なものも入れたら人は1日に何万という数の感情が沸き起こっては消えていくそうです。
感情が沸き起こる事、それ自体はある意味とても人間らしい事ですが、毎日激しい感情を大なり小なり一つ残らずリアルに感じ続けていたら普通ならまともな日常生活が送れません。
心にはサーモスタットとも言えるような、一定のレベルを超える感情のショックを遮断し、とても強い感情で心には耐え切れないという場合、その感情を一時的にシャットアウト&封印するという検閲機能が備わっています。
消えた、忘れたと思ってもその封印した大きな感情(=エネルギー)はただ胸の奥に押しやって無かった事にして眠っているだけかもしれません。
ただしそいつをあなたは無意識に封印していますが、それ自体は流動性のあるエネルギーなので、あなたの中から外へ出る方向に力が向いており常に出る機会を待っているのです。
例えば自覚のない、心の中に自分で感じたくないくらいの激しい怒りを奥底に隠し持っていたとします。
もしかしたら、それが起きたのは自分が無力な小さい時のことで、子供の柔らかな心には消化しきれないくらいショックなもので。
その時に瞬時に暴発した怒りや悲しみもしくは恐怖の感情は封印された後、自分の視界に入ってこない用ヅラに隠され二度と思い出せないようにかぶったことすらも忘れてしまったのかもしれない。
自分でそんな自覚は全くないから、当然それを外すという考えも及ばない。
いつの間にかその状態が自分と同化してしまっているので、自分では中々分からないのです。
二極である世界は二つに分けられます。
例えば自分と他人。
三次元のこの現実の世界において、他人は自分を映し出すの鏡のような役割もしてくれているので度々周りからお知らせが来るのです。
何か距離を置かれているような違和感。
波平ヅラ的なことを何となく遠回しにお知らせしてくれる周りの人たち。
そしてそれでも気づかないで歩いているとそのうちついにこれでも気付かないか?と言わんばかりの鏡に遭遇。
例えば自分の封印している怒りをまんま体現したような目の前の奴に、あなたは思う。
「何て最低な奴なんだ!!」
しかしその時目をそらさずそいつをよく見てみると、それが鏡に映った自分だと気づく。
そこで初めて何故周りの人たちが微妙な視線を投げかけてきていたのかの謎が解け、ようやくじゃあそれ(ズラ)をどうするのかという選択の自由を手にする事ができる、すなわちやっとハンドルを自分で握る事ができるのです。
多分遅かれ早かれ気づかされる出来事は必然として起きてくるのですが、ショック療法的にでかい事に遭遇するのを避けたいならば、日々日常の中で少しずつ自分を客観的に眺めてみるということをお勧めします。
感情を客観的に観察していく瞑想も向いています。
けど、特に瞑想という形にこだわらなくてもいいのです。
例えば料理を作る、散歩する、絵を描くetc…
外のことにあまり振り回されずリラックスしつつその行為に没頭出来て自分に戻れるツールであれば何でも。
そういう俯瞰したような状態では自分を客観的に見つめることができ、自分の中にどんなことが渦巻いているのか?が自ずと感じられてきます。
感情を自分とはまた別のものだとニュートラルに捉えて客観的に観察することができた時、初めてその感情に対して何かこちらからリアクションを起こすという選択肢ができ、自分を困らせていた憎っくきも愛おしいエネルギー、そいつは爽やかに消えていくのですね。
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