「占術姫」というテーマの話(1)

こんにちは。ただいま占術姫の回し方やデッキの強み弱みなどを記事化すべく構成を練っております。ただ僕自身あまり言語化が得意な方ではないため難航しております。という訳でちょっと寄り道の話題をば。
ここではちょっと趣向を変えて占術姫が過去どんなテーマだったかを振り返る話をしたいと思います。
といっても今回はその前段階、占術姫がOCG化した当時の儀式モンスター、そしてリバースモンスターを取り巻く環境について考察する話をしたいと思います。


遊戯王OCG第9期前半

ぶっちゃけた話

僕は2016年中ごろにOCG復帰しました。今回するお話は資料と2014年当時プレイヤーだった方の話を基に作った記事なので、当時の対戦環境について把握しきれていない部分もあります。ご了承ください。
デュエルを始めるに当たりかの悪名高い「M・HERO ダーク・ロウ」が初収録された「STRUCTURE DECK - HERO’s STRIKE -」を3個買いし、当時余りまくって安売りされてた「コレクターズパック 運命の決闘者編」を数箱買って組むテーマの数を揃えるところからスタートしました。
そうして出会ったのが「占術姫」です。アニメは5Dsの頭まで観てたので何となくシンクロまでは理解してましたが、僕が最後にやってた遊戯王は禁止カードが空欄だった古代人だったので、占術というオカルティックな文面とリバース効果というなじみある特性に惹かれて組むことを決意。
某王国や某私塾の動画を参考にデッキを作り上げました。
そしてストラク3個合体の「HERO」デッキと一人回しして感じました。
「このテーマ絶妙に弱いな?」

2014年

占術姫がOCGに登場する約一年前。
テレビアニメ「遊☆戯☆王ARC-V」の放送開始とともに始まった遊戯王OCGの新シーズンは公式ルールがマスタールール2からマスタールール3へ、先攻ドローの廃止、カードテキストの体裁変更、ダメージステップの細分化、フィールド魔法のルール変更、P(ペンデュラム)モンスターおよびPゾーンの実装、と大きな転換を引っ提げて訪れました。
そんな第9期、人によっては「魔の9期」「暗黒の時代」などと言われる程極端なインフレをおこしたシーズンでもあります。しかしインフレだけ起こし続けたシーズンだったのでしょうか?
9期は新たに誕生したPモンスターと新召喚方法P召喚の普及を目指す一方、シンクロ・エクシーズと世代を重ね高速化した時代に取り残されたトゥーン・ユニオン・スピリット等々のモンスターカテゴリや融合・儀式召喚といった旧世代のモンスター、召喚方法の復権と革新も積極的に行われていました。
中でも2014年に登場した「リバース」と「融合」を組み合わせた「シャドール」と、それまで単体では手札で腐り、EXデッキとは無縁だった「儀式」が自分のEXデッキを活用し相手のEXデッキに対してメタを張る「影霊衣」はそれらの代表格と言って良いでしょう。

シャドール

カードパワーがインフレし、それに伴いデュエルが高速化した結果「攻撃宣言で発動する罠は遅い」と評されるようになり一度は禁止カードにまで指定された「聖なるバリア -ミラーフォース-」ですらこの頃には3枚積めるようになっていました。
同様に貴重な召喚権を使ってカードをセットし、相手の攻撃宣言や次の自分ターンの反転召喚まで待つことが前提のリバースモンスターも必然的に「遅い」という評価に、連続で特殊召喚を行う6期以降の環境とかみ合わないためにリバースモンスターはデュエルからその姿を消していました。
来る2014年最初のレギュラーパック、「ザ・デュエリスト・アドベント」にて初のリバースモンスターのテーマが誕生しました。そう、それが「シャドール」です。
場でリバースすれば強力な効果を発揮し、もし相手のカード効果で破壊されても墓地で発動する効果を持っているので損失が少なく、手札でだぶついても融合素材にすれば腐ることはなく、アドバンテージを容易に獲得することができる。
このテーマが大会環境で活躍すれば旧世代モンスターのリバイバル成功モデルとして幸先良いスタートを切れたと言って良いでしょう。
実際に環境で活躍し、2014年10月の制限改訂では「エルシャドール・ミドラーシュ」「エルシャドール・ネフィリム」「堕ち影の蠢き」が制限カードに指定されました。その後も活躍を続け、緩和と規制強化が入り、僕が復帰した2016年当時も「堕ち影の蠢き」は準制限「エルシャドール・ネフィリム」は禁止カードに指定されていました。
そう、初のタイムラグなしのデッキ融合を搭載したことにより強力な融合モンスターがいともたやすく場に出せ、オマケ程度についてるリバース時効果すら強い超強力な「融合テーマ」としてシャドールは一躍名をはせることになりました。以降、「真紅眼」「召喚獣」や「ABC」デッキなど9期は融合モンスターを切り札とするテーマ、デッキタイプが続々と生まれました。

影霊衣(ネクロス)

儀式召喚は融合召喚と比べ更に重篤な欠陥を抱えていました。必要なカードの最低枚数こそ融合召喚と同じ3枚ですが、儀式モンスターも儀式魔法も片一方だけでは手札で腐ってしまい何もできない。リリースするためのモンスターも温存しておかなければならない。つまり手札事故となる確率がうんと高く、これをどうフォローするかが儀式デッキの課題です。これ自体は12期現在も変わらないというのが「儀式」というカテゴリの闇の深さを感じさせます。
この問題に対するベストアンサーともいえるテーマが生み出されました。そう、「影霊衣」です。「影霊衣」儀式モンスターはそれぞれ手札から捨てることで発動する効果を持ち、特にサーチを行う「クラウソラスの影霊衣」や「ブリューナクの影霊衣」、サルベージを行う「ユニコールの影霊衣」の存在から、手札で儀式モンスターだけがだぶついて何もできないという状況が起きにくいのが強みです。
それに加えて儀式召喚に必要なリリース要員のモンスターに関してもEXデッキからそれを調達できる儀式魔法「影霊衣の万華鏡」やレベル調整をこなしつつ更にアドバンテージを獲得できる「影霊衣の術士 シュリット」などにより安定して儀式召喚が行え、「影霊衣」は初登場した「ブースターSP - トライブ・フォース -」の時点で既にテーマとして驚異的な完成度を誇りました。
また、「影霊衣」儀式モンスターの一部はEXデッキから特殊召喚されたモンスターに対する強力なメタ効果を持っていました。
容易に儀式召喚を行え当時も主流であったEXモンスターを封殺する影霊衣は瞬く間に環境入りを果たしていき、2015年1月の制限改訂で「ユニコールの影霊衣」「マンジュ・ゴッド」「センジュ・ゴッド」「儀式の準備」が制限カードに指定という驚異のスピードで規制され、僕が復帰した2016年時点でも「影霊衣の術士 シュリット」「ユニコールの影霊衣」「ブリューナクの影霊衣」が制限カードに指定されており「こいつら全盛期どれだけ暴れてたんだ」と興味の尽きないテーマでした。

で、肝心の占術姫はというと

「占術姫」は登場時点から今現在までテーマ内のカードだけで戦えるデッキではありません。初期の「占術姫」モンスターはモンスター効果によるサーチ先、特殊召喚先に「占術姫」の指定がなく、テーマ単位で完結するのではない、リバースモンスターに対する汎用テーマとしてデザインされたふしがあります。しかし後述する理由から極めて難産だった可能性が高いです。
アニメでは後に準レギュラーとなる方中ミエルが使用。ゲストキャラが使用したカードらしく尖った性能を持ち、OCG化に当たっても多くが先行で登場したアニメからほぼそのままの効果で収録されました。
ダメージ量が200から500へと大幅増加した「占術姫ウィジャモリガン」と墓地から除外して発動する効果が追加された魔法カードは明確にアニメより強化されたと言えますがそれでも雀の涙程度。やはり他のリバースモンスターと組み合わせることで真価を発揮するテーマ、と言いたいのですが……
先の通り2015年も環境で活躍していた「シャドール」への採用による環境への影響を恐れられたのか「占術姫コインノーマ」は効果を発動したターン占術姫以外のモンスター効果効果の発動が行えず、「マンジュ・ゴッド」が出て10年以上経過したのにもかかわらず「占術姫アローシルフ」「占術姫クリスタルウンディーネ」の効果は甘めに評価してもそれぞれ「ソニックバード」「センジュ・ゴッド」の互換レベルの性能とこれまた「影霊衣」の規制が飛び火したかのような状態。
「占術姫」デッキはこの2か月後、「ディメンション・オブ・カオス」に収録された「禁忌の壺」によりやっと戦えるようになりました。余談ですがこのパック、「Emヒグルミ」「マジェスペクター・ユニコーン」と今だ禁止されているペンデュラムモンスターも収録されていました。この3か月後には今月制限カードとして復帰した元禁止カード「EMモンキーボード」が「ブレイカーズ・オブ・シャドウ」に収録されたりと2015年はペンデュラム躍進の年だったようです。
そんなこんなで僕はデッキを組んだ当初、「なんでこいつら全体的に重いんだ。あと一部はなぜ2期のカードより弱いんだ」「1年前に出てたストラク相手になぜ歯が立たんのだ」と思っていたのですが事情が分かってくると見方も変わります。
そう、爆速でインフレする環境において占術姫は「シャドール」と「影霊衣」という9期の2大先輩テーマの負債を背負って誕生したテーマだったのです。実はこれ以降もリバース界隈の受難は続きますがそれはまた次回以降、10期の話をするときに。
簡潔にまとめると登場初期の占術姫は「出るタイミングが悪かった不幸なテーマ」と言えるでしょう。
それでは、また次回。

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