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今年の鳥を振り返る

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今年は流行語やトレンドの多くがコロナ関連になるほどだった。
新しい生活スタイルや、醤油と同じ場所にアルコールスプレーが置かれていることが当たり前になった。
トイレからハンドドライヤーが消え、昔のようにペーパータオルが置かれて、案の定持ち帰られて大変なようである。
マスク騒動から察するに人の事なんて考えちゃいなくて、自分さえ良ければいい精神なのがはっきりと分かった気がする。
もちろん世の中には色々な思考回路の人がいるので世のため人のためという人も少なからず存在しているであろう。

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3月から6月までは緊急事態宣言や外出自粛要請があり真面目な札幌市民の多くはきちんと従い、その反動で自粛やマスクポリスが湧いてきた時期でもある。
この外出自粛要請は私のような外にいる人や野鳥にとってプラスになることが多かったのである。

フクノトウ・円山公園:20.03.29.007

根開けが始まると同時に雪がない場所にひょっこりとフキノトウが現れると、春への扉が一気に開ける。
長い冬から解放されると思うと気分爽快である。
同時に野鳥たちは背中を押されるように繁殖期へと突入する。

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毎年カラスを見るのと同時に他の野鳥の行動観察もしている。
中でもこの美しいオシドリの繁殖を見ることが出来てとても良かったのである。
「オシドリ夫婦」という言葉がある。いつまでも仲が睦ましい夫婦のことを示すが実際に多くのカモ類は♀が抱卵開始をしたら番は解消されて、♂は再び♀探しに専念する場合が多い。
一番厄介なのは相手に恵まれない「あぶれ雄」である。手あたり次第に周辺にいる♀にプロポーズをして、時には雛連れの♀にまでアタックをして猛攻撃を食らっている。
♂という生き物の成れの果てなのかという思いで見ている。。。

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話が反れてしまったが、今年はオシドリ夫婦の由来を目の当りにしたのである。
抱卵は♀のみで行い夕方に巣穴から出てきて採食に向かうのだが、その前に♂が巣穴の側でジーっとしていて♀が出て来るのを待っているのである。
その時の♂が非常に健気で愛おしく思えた。
実際のオシドリ夫婦の由来は別だがこの光景を見たら素直に納得してしまった

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カラス達はこのコロナでどう影響を受けたのかと言うと、公立学校が休校になり例年なら無条件で巣を取っていた学校でさえ巣を取らないことが多かった。
もちろんきちんと例年通りに巣を取っていた学校もあり、その後校内でコロナが発症して内心「バチが当たったんだ」なんて思ったのも事実である。

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カラスが巣立つ頃になると非常事態宣言も解除されて公立学校も再開して見た目は正常に戻ったかのようである。
自粛で散歩に出る人が増えていつもならいない平日の公園を訪問する機会が増え、カラスに目が行った人も増加し相談件数に比例していたように思えた。
目が行く方向がカラスにとって希望するのならいいがそうじゃない場合もあった。
人間は好まない物が視界にあると何故か余計に意識してしまい更に好まない状況を生み出すことが多い。
カラスになるとその行動が顕著に見られる。
カラスに理解を示している場合は、繁殖に入っていると分かったら刺激をしないようにそっと見守るのだが、嫌いな人はジロジロと見たり、石や枝などを投げつけたりと敵意をむき出しにしてしまう人も少なくない。
カラスに限らず人間もそうだが、敵意をむき出しにされて手出しをされたら自動的に防衛反応を示すであろう。
カラスだって言うまでもなく防衛反応を示して行動に出るが、そうなると「危険・狂暴」というレッテルを貼られてしまう。

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そんな苦難を乗り越えて巣立ちへと進み無事に繁殖を終えることができたカラスは実は運がよいのである。
しかし何故か「カラスは死なないし、子育ては全て成功」と思われているようである。
カラスはの雛は巣立ち後運悪く地面に下りてしまうと行政による「捨て雛」があり、捕獲されてカラスがほとんどいない山などへ捨てられて、他の野生動物の餌になっている。
現状はこの方法しかカラスの親の攻撃から人を守る手段がないとのことだか、決してそのようなことはない。
私がよくやるのは「下りてしまった雛を樹上へ戻す」ことである。
保護に当たると行政は考えているのだが環境省はこういう見解ではなく「現状へ戻す」ということである。

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スズメなどの雛が地面にいたら親鳥が側にいるので保護せずに茂みに移動させてという文言があるがカラスの雛も同様である。
なので保護には該当しないと考えてる。
実際にこのように雛を樹上へ戻すことで親が落ち着くことも多い。
親なのだから雛がある程度安心な状態になるまで威嚇をしてしまうのは仕方がないことだろう。
それまで制御したいというのであれば遺伝子を組み替えるしかないだろう。
捨て雛に関しては担当部署と色々と協議しているし役所も殺傷するつもりはない。
捨て雛をなくすのに一番必要なのは「理解すること」である。

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夏真っ盛りになるとカラスの幼稚園が始まり実に楽しい。
巣立ちの時期の大変だったのを思い出しながら、困難を乗り越えて成長した雛を微笑ましく見ているカラスの親と私がいるのだ。

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いたすらが大好きなカラス達はじっとしていることが苦手(笑)

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アオサギはカラスと違いコロニーで繁殖をして無事に繁殖が成功している。
カラスと違いコロニーは保護されていて、造巣が始まると微笑ましいニュースとして報道されることも少なくない。

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アオサギも自然の厳しさに直面する。
まだ飛べない状態の雛がすから転落して死んでしまうことが多いし、当たり前なのだがカラスが捕食することもある。
カラスがアオサギの卵や雛を捕食するテクニックは素晴らしいというと反感を買いそうだ。。。。
しかし実際に見ていると番の1羽がアオサギの気を引くようにちょっかいを出して、その間にもう1羽が早業で仕留めるのである。

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オシドリの親子も雛を守り続けている。カラスがカモ類の雛を捕食できるのはチャンスは実に少ないのが現状である。
水面にいたら狙っても潜られてしまい無理である。
チャンスがあるのは地面にいる場合で、多いのは人間がカモの親子がかわいいからとゾロゾロと付いて歩いている場合である。
要するにこの人間の行動がカラスに雛がいることを教えているのである。
なのであっさりと目の前で雛が捕食されてしまう。
自分たちがカラスを誘導していたなんて考えもせずに「カラスは残酷」と言って人によっては役所へ苦情をいう始末である。
人気者のカモちゃんは人がいないと暮らせないかもしれない(笑)

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巣立って間もないカラスの雛は右も左も分からず、怖い物さえ認知していない。
なのであっさりと車にひかれて命を落とすことが多い。

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毎年6月の巣立ちで忙しく精神的なダメージや余裕がなくなるのだが、お気に入りの野草がひっそりと開花してくれて見に行って癒されるのである。
そんな癒しがないとね。。。。

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カラスの巣立ちの時期は取材も増えてくるのは実にありがたい。
毎年同じことを伝えるのは無駄ではない。
カラスの威嚇問題は毎年いう事で徐々に浸透するのである。
「両腕をまっすぐにあげて動かさない」という方法は浸透してきて、私も目撃するし、友人知人からも「〇〇で腕上げを見たよ」という情報をもらうことが増えてきた。
人間のちょっとした行動でカラスとのあつれきを軽減できるのならやるべきだと思う。
それはカラスのためではなく、人間を守るためである。

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オオセグロカモメの雛は碁石模様でぬいぐるみのようである。
カラスと同様に親は守り続ける。

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カラスの雛のおねだり怪獣。(笑)

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カワセミの幼鳥も都市公園で見られる機会が増えてきた。
カワセミは別段珍しい鳥ではないのだがカメラマンが好む鳥である。

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私はカラスの親子を見ているのが一番いい。
コロナの影響で遊具などが使われなくなりその分野鳥がのんびりと過ごせていたのは間違いない。
これを機会に廃止してもいいと思う遊具も多数あるかな。
今年の鳥を振り返るといいつつカラスがメインになったけど私はカラスを研究しているのだからしょうがないね。
来年はカラスや野鳥にとってどんな年になるかな?

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