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星が流れる

数えきれない光の粒。

この目で見るまでは
点々が同じように見えるのかと
思い込んでいた。

色も、大きさも、色も
わずかに違う。

一粒一粒の
存在感が大きすぎて、

こちらが見上げているはずなのに
空に吸い込まれそうになる。

はっきり目立つ大きい星もあれば
無数の小さい星が層をなし
奥行きを重ねている。

みんな違う星々が集まって
暗がりの舞台に
光の模様が浮かぶ。

美しいものを見ると
大切な人にも
見てほしい。

物を渡すプレゼントではないけれど
わぁっと、感じる心の高鳴りを
勝手ながら分かち合いたくなる。

それは
同じ時を生きている
という実感を得たい
裏返しでもある。

「この星は、いまの瞬間の光じゃないんだよねぇ」

「あっ、そうか…。そうだよね」

「何億光年とか」

「億か。じゃあ、今見えてる星は、なくなってたりするのかな…」

ふと息を吐く。

星が、流れる。
見逃すほどあっけなく。

東京から4時間車を走らせて
乗鞍までやってきた今日、

何億光年かわからない遠い時間軸から、両目のまぶたを見開いて光を受け止めている。

東京の街では明るすぎて見えないだけで、いつも頭のてっぺんの遠く先には、こんな世界が絶えず広がっていたのだ。

奇跡が重なり合う点というのは
まるで小説のような
特別なもののにありそうな気がしていた。

それよりもっと、生身でリアルに生きている一秒一秒が
奇跡の連続なのだ、と
しっくり納得した夜だった。

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