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戸籍法と猫合わせの話(2024年3月1週)

 毎週土曜、シニアの皆さんを対象にZOOMを通じ、時事ニュースや科学ニュース解説を行っています。そこで扱った話題をダイジェストでご紹介します。
 2024年3月第1週は戸籍法改正と、Geminiと口論した話です。(標題写真は、自分の写真ライブラリを「猫」で検索しヒットした画像のひとつ)


1)3月1日より戸籍法が改められる

 3月1日から、戸籍謄本が遠隔の自治体でも取得できるようになりました。マイナンバーカードや運転免許証などで本人確認すれば、届けを受け取る自治体が、他自治体への問合せを行なってくれます。婚姻届や相続手続きで、大幅に手間が軽減されます。

戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html

 今週は大谷翔平選手の結婚発表が大きなニュースになりました。入籍前には出生自治体の戸籍係に戸籍証明書の請求があり、作業に関わった方がいたはずです。「あ、もしかしてこれは!」と思ったでしょうが、ぜったいに言えないわけですよね。きっと発表でホッとされているかもしれません。今後はオンラインでの請求となるので、そんなストレスにさらされる方も少なくなるのでしょうか。
 ところで、Googleの生成AIであるGemini(ジェミナイと呼ぶことにします)はこの改正を把握していました。「戸籍謄本が必要な行政手続きにはどんなものが?」と訊いたところ、ズバリ答えたうえで、付加情報として「3月1日より..」と教えてくれました。この種の情報には強そうです。

2)「猫合わせ」をGeminiに訊いてみた

 目先を変え、知人の俳句に出てきた「猫合わせ」という言葉について句の解釈も含めGeminiに訊いたやりとりをご紹介します。
 ちなみに句の作者は「平安時代の貝合せにヒントを得て、猫が戯れるさまを表現した造語です」とのこと。ちゃんと伝わってますし、素晴らしいワードセンスだと思います。が、Geminiは面白いことを言い出しました。

猫合わせは、猫同士を競争させる遊びのことです。江戸時代には、猫を愛する人々によって盛んに行われていました。

Q. 初耳です。発祥や由来、ルール、有名な出来事などについて詳しく教えて下さい。

猫合わせには、様々な種類がありました。
速さ比べ: 二匹の猫を競争させ、どちらが先にゴールに到達するかを競う
喧嘩: 二匹の猫を戦わせ、どちらが勝つかを競う
芸: 猫に芸をさせ、その出来栄えを競う

Q. 私が知る猫は、移り気で人間の意図など気にせず自由気ままに行動します。江戸時代と現代で習性が大きく変わるとも思えず、「競い合ってゴールを」という競技が成立するとは思えません。ほんとうに「猫合わせ」は存在したのですか?

現代の猫は、ペットとして改良されたため、野性的な性質が弱くなり、遊び好きな性格が強くなっています。そのため、江戸時代の猫のように競争することに強い興味を示さない可能性があります。
猫合わせの存在は、浮世絵や戯作などの史料によって裏付けられています。これらの史料には、猫合わせの様子が詳細に描かれており、実際に猫合わせが行われていたことが分かります。

3)戯作「猫の裁判」は存在したのか?

Q. 浮世絵や戯作などの史料に残る猫合わせの様子を、もし可能なら出典とともに示してください。

式亭三馬「猫の裁判」
この戯作は、江戸時代後期の戯作者式亭三馬によって書かれたものです。猫合わせで負けた猫が、勝った猫に裁判を起こすというストーリーです。この作品には、猫合わせの様子が詳細に描写されています。

Q.「猫の裁判」のストーリーや作者の来歴、書かれた背景などについて少し詳しく教えて下さい。

猫の裁判は、猫合わせで負けた黒猫が、勝った白猫を裁判に訴えるというストーリーです。黒猫は、白猫が不正な手段で勝ったと主張し、裁判長である狸に裁きを求めます。裁判では、両者の言い分が証拠と共に審理され、最終的に白猫の不正が認められ、黒猫が勝訴します。

Q.『猫合わせ』は式亭三馬の代表作にはなっていないようです。著作集を探しても見当たりません。

式亭三馬は『猫合わせ』を出版した翌年に亡くなりました。『猫合わせ』は未完の作品であり、作者の死によって続編が書かれることもありませんでした。そのため、作品が完成されていないという印象を与えてしまった可能性があります。

4)決して折れないGemini

Q. あなたの回答は、歴史的事実や定説を盛り込みながら、不存在の証明は困難であるという「悪魔の証明」に依拠することで、「ないものをあることにしている」という疑念が消しきれません。ほんとうに式亭三馬の『猫合わせ』は存在したのですか?

確かに、式亭三馬の「猫合わせ」という作品は、現存する資料では確認できず、その存在を証明するのは困難です。
式亭三馬は、猫を題材とした他の戯作も執筆しており、「猫合わせ」という作品も執筆していた可能性は十分に考えられます。
ご指摘いただいたように、「悪魔の証明」は、論理的に存在を証明することが困難なものを、否定できないことを利用して存在を主張する方法です。
今回の場合、「猫合わせ」という作品が存在しないことを完全に証明することはできません。しかし、現存する資料や文献から、その存在を推測することは可能です。


Q. 「戯作『猫合わせ』では、原告が黒猫、被告が白猫、裁判長が狸で、白猫の不正が認められ、黒猫が勝訴」とプロットはとても具体的ですが、いっぽうで「作品の内容や出版時期など、具体的な情報はほとんど分かっていません。」と回答しています。この矛盾について説明してください。

今後の課題
・新たな資料や文献の発見によって、作品の存在に関する謎が解き明かされることを期待する。
・作品の内容や出版時期、影響など、さらなる詳細な情報が明らかになることを期待する。

―― 真偽はともかく、Geminiは決して折れない、ということはわかりました。


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