思いつきで作った仕組みほど、すぐに壊れる
まずやってみる。
最近私の周りでこの言葉をよく聞くようになった。
以前の職場では、皆であーだこーだ意見を出し合うまではいいが、結果何か月も全く進まなかったことがあった。
そのことを思えば、何か行動をとれば何かしら変化が起こるからまだいいのかもしれない。
しかしタイトルにもあるように、仕組み作りにおいては「まずやってみる」はご法度だと考える。
仕組みとは
仕組みという言葉でググってみると、次のような答えがヒットした。
物事の組み立て、構造、機構
事をうまく運ぶために工夫された計画、くわだて
なるほど。
仕事で言えば、目の前の仕事内容だけを考えてもダメだということだ。
なぜなら仕事は点と点がつながった線になっており、自分(自工程)と前工程、後工程のつながりがあるからだ。
もう少し深く考えると、仕組みは標準ともいえることに気付く。
標準とは誰がやっても同じ結果になるやり方を意味する。
仕組みが明確にできていなければ、同じ結果を得ることはできない。
つまり仕組みとは、標準を作ることに他ならない。
思いつきで作った仕組みの末路
つい先日、ほんの2時間ほど考えて仕組みを作り上げてしまった人がいた。
「まずやってみる」という観点からすれば、スピードだけは一流だったのかもしれない。
しかし、このような浅い仕組みの中には作成者の想いも周囲の想いも何もない。
案の定、翌日には別の思いつきコメントが出てきて、コロッと方向性が変わってしまった。
こうなることは私にはわかっていた。
私はこれまでに、作成者の強い気持ちが伝わってこない/伝承されていないことで、あっさりと葬り去られた決まりをいくつも見てきた。
ビジネスだから私情は関係ないというのは、私は間違っていると思う。
人が仕組みを作る以上、作る人の強い想い/信念は必要だし、その想いが無いものは別の人には届かないと考えるからだ。
少なくとも、私が仕組みや標準を初めて見るときは、作成者の心の中のメッセージを読み解くよう心がけている。
どうしてこう書いたのか?
この決まりにはどんな意図があるのか?
伝わてこないものはハッキリ言って理解に苦しむ。
時間についても触れておくと、長く時間をかけたらいいわけでもない。
至極当然のことである。
今回は他のことをしながら片手間で考えた2時間は、真剣さがあまりにも足りていないという例をあげさせていただいた。
思いつきで標準が作れるか
あなたは標準を思いつきで作ることができるだろうか。
もしできるのなら、あなたは神様だ。
どんなに有能な人であってもまず現状調査をする。
例えば、モノと情報がどのように動いているのか。
現場ではどの役割の人がどういった動作をしているのか。
こうして地道に調査した結果を列挙して、ようやく標準の基礎が出来上がる。
ここから何度も何度も見直して、ようやく標準が出来上がる。
しかもできたその日から、標準はアップデートされていかなければならない。
このサイクルの繰り返しで改善が進み、より磨き込まれた標準/仕組みになっていく。
思いつきで作った仕組みほど、すぐに壊れる
ここまで読んでいただいたあなたなら、
「思いつきで作った仕組みほど、すぐに壊れる」の意味が分かっていただけたと思う。
仕組みはあなた一人のためにあるものではない。
関係する人みんなのためにあるのだ。
自分が大切にしている人に、ほんの数秒考えたプレゼントを贈るだろうか?
そんなことはしないだろう。
仕事も、プライベートも、家も、会社も、みんな同じだ。
魂を込めて作ったものは、伝承されるものだ。
最後に、冒頭で書いた「まずやってみる」について書いておこう。
これはとても便利な言葉だ。
失敗したとしても、とりあえずやってみたわけだから仕方ないと終わらせることができる。
今回紹介してきたような、基本的なことが自分の中にある人が「まずやってみる」のは全然かまわないと思うが、分かっていない人が「まずやってみる」は何も積みあがらないうえ時間のムダになるので気を付けなければならない。
最後に「まずやってみる」も適宜使い分ければ、それはそれで大きな武器になることを付け加えておきたい。そういった使い分けこそが、質に大きく左右するのだ。
以上、当たり前のことかもしれないが、実はできていない人が多い事例を紹介した。私の記事があなたの質に少しでも貢献できたのなら、嬉しい限りである。
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