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水槽みたいな部屋

最近引越しをした。

きっかけはちょっとした隣人トラブルで
お金を払ってその面倒から逃げたような形なのだけど、せっかくだから前よりもいい部屋に住もうと駅前の大通りから住宅街に引っ越した。

住宅街なので駅からはやや遠い。歩いて15分ほど。コンビニも1分で着くには難しい場所にしかない。
所謂駅前の喧騒から少し離れた、という言葉が当てはまりそうな場所だ。
おまけに今度の部屋は二重窓だ。これは件のトラブルが騒音周りだったことから、ことさら新居で気に入っているところでもある。
外からも中からも声が聞こえにくく、今の部屋はとにかく静かだ。

部屋も少し広い。新しく揃えた小綺麗な家具を配置しても空間が余る。こんな水槽にすんでいたらきっと魚ものびのび泳げて嬉しかろう、といった感じで満足している。

きっかけはあれど色々諸々を全て自分で決めて生活空間を変えたので、自分が「生活のオーナー」のようになった感覚が強い。
どれどれ様子は、と部屋に訪れた家族も去り際に「落ち着いたら実家にも帰ってきてね」と今までの「定期的に顔を見せにこい」から少し態度が変わったように思う。

自立のようなものを認めて、当人の判断を尊重する動きなのかもしれない。ラクなような、少し肌寒いような心持ちである。

何もしなくてもかかわり合いを持とうとしてくれた友人や知人もそういう目線で、「お前も飲みに来るよな?」から「飲みに来てくれるか?」に変わっていってしまうのかもと考えると自分にはまだそれには慣れないし、そう言われるような誘い相手にはなりたくないと思う。

「お前も(当然)来るよな?」と言ってもらい続けるには自分から声を発していかないといけないかなと思ったりした。
この水槽は二重ガラスだからひときわ大きな声が必要かもしれない。

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