75期二回試験の記録

二回試験おつかれさまでした!!!!!
予想していたよりも体へのダメージが大きいです。もう二度と受けたくないですね。

さて、答え合わせしたい人たちから質問が多数きていることもあり、以下に備忘録も兼ねて、各科目の出題内容と書いたことを覚えている範囲で記しておきます。答え合わせしたくない方は見ないことをおすすめします。
出題内容→私が書いた内容の順で構成されているので、内容だけ見たい方は前半だけどうぞ。

各科目の出題内容

刑事裁判

小問が消えて事実認定のみ(殺意、急迫不正の侵害)

事案の概要
A、Vの車がそれぞれ縦に並んで停車している間(信号待ち?)、VがAの運転手に話しかけに行って、その際に揉めた(詳細な事実関係に争いあり)。その後Aが車を発進させる際Vが運転席窓枠にしがみついた状態になった。AはVが窓枠にしがみついたままUターン、その後約20km/hで蛇行運転(争いあり)し、さらに50km/hで爆走させた
弁護人は蛇行運転について蛇行運転の事実及びAの蛇行運転の認識を争い、50km/hの走行についてはAの認識のみを争っている
加えて、弁護人から先にAに手を出してきたのはVだという正当防衛の主張がされている

検察

住居侵入、(事後)強盗致傷で送致
小問は証人が「証言したくない、忘れた」と言っている場合の検察官の対応

事案の概要
犯人が不在のV1方に侵入し、金色の腕時計を盗んだうえで、V1方を出た際にV2に出くわし、V2に対し暴行を加えて傷害を与えた

民事弁護

原告訴訟代理人として最終準備書面の起案
小問は保全・執行、証拠収集、和解、弁護士倫理

事案の概要
原告が被告らに対し売買契約に基づく所有権移転登記を求める事案。
被告らの被相続人が補助参加人に本件土地を賃貸していて、被告らが相続。同賃貸借契約には本件土地を売却する際には補助参加人と優先的に協議する旨の条項があった。被告らが本件土地を相続するに際し、賃貸にあたっても仲介をしていた訴外A(代表者は原告と同じ)が仲介して土地を売ることに。原告の言い分によれば、補助参加人と土地の売買について協議したものの不奏効に終わったために、原告が土地を買い受けた。一方被告は売買不成立、成立しても補助参加人との交渉の点について錯誤があると争い、補助参加人は協議がされていないと主張。

民事裁判

本訴についての事実認定
撤回問は留置権、当事者の主張分析は解除後の相殺の意思表示。
小問は書面による準備手続

事案の概要
売買に基づく所有権移転登記請求(本訴)に対して被告が反訴で賃貸借契約終了に基づく建物明渡(+賃料等支払)を求める事案。
原告は10年前に本件土地建物を売買し、10年間で代金を完済したと主張。一方で被告は成立したのは賃貸借契約で売買の事実はなく、支払っていた金銭も賃料であると主張。

刑事弁護

想定弁論の起案
小問は異議、Wの反対尋問で引き出すべき供述、本件と別のミニケースを題材とした有利な①犯情事実②一般情状事実③新しく作り出したい事実の検討と示された和解(示談)案についてAと協議すべき事項の指摘

事案の概要
店舗からコートが盗まれた事案。
Aが被害前日に被害品と同種、同色、同サイズのコートについて被害店舗に問い合わせ、被害日には試着をした。Aが被害店舗を去って1時間半後に盗難の事実が発覚。その後3ヶ月以上経った後にA方から被害品と同種、同色同サイズのコートが発見された。Aはコートはフリーマーケットで買ったものとして犯人性を否認。

各科目で書いた内容(閲覧注意)

刑事裁判

書いた枚数:20枚弱

結論としては殺意あり、急迫不正の侵害ありにした。
殺意は交差点通過前の蛇行運転は行為の存在を認めたもののAの認識を否定(W供述から蛇行運転認定、AがVを殴る等していたことから反動等により意図せず揺れた可能性ありとして主観は否定)。交差点通過後の50km走行についてはAの認識を肯定して殺意を認定した(Aは前方=工事現場の存在、右側=中央分離帯の存在、後方=後続車がいないことのいずれにも気を配っており、アクセルを踏んでいる意識もあったのに、速度だけ認識していなかったとは認められない)。
急迫不正の侵害はW供述の信用性を肯定した上で、V供述の信用性を否定し排斥、Aの主張するとおりの事実経過だった合理的な疑いが残るとして侵害を認定した。
※A班の集合では「①人が死ぬ危険性の高い行為を、②それとわかって行ったこと」を一体的に検討する問題が出題されたが、教官曰く行為の危険性と危険性の認識を別々に検討する必要があるケースもあるとのことだった。本問は別々に検討したほうがやりやすいように思った。
※認定の対象は事実レベルにまで具体化されていたので、該当する事実が認定できれば法律上の要件も満たすものとしてよいと思われる。

感想
事実認定の対象がちょっと多めなのでその点はハードだが出題自体はスタンダードか。小問どこかに落としてきちゃったのかな…?

検察

書いた枚数:40枚強

犯人性
犯人性の検討対象事実で窃盗犯と致傷(傷害)犯の同一性を認定。
間接事実は以下の通り。

1.Aと犯人の被服の特徴と犯人と特徴の一致するバイクA所持かつAの外出時刻と犯人の犯行時刻の整合
被服はジャンパー(柄含め)、ジーンズ、靴の色、ウエストポーチが一致(特にジャンパーの特徴一致が大きい)。同じ特徴のバイクは市内に1台しかないこと、A外出時刻と犯行時刻の整合性から、第三者が別のバイクで行った、Aから借りて犯行を行った可能性は低い。
2.被害品所持(+Aの資力が乏しいこと)
→被害から7日くらい空いているが、Aの資力が乏しい(生保受給、口座残高1桁)ことを考えるとAが何らかの手段で入手するとは考えがたい。
3.犯人の足跡はA靴により印象された可能性が高い
1の間接事実とあわせてもいいと思ったが、これ単体で推認力ありそうなので独立させた。V供述等から足跡が犯行日につけられたことを認定したうえで、足跡痕の一致、靴の色の一致等から間接事実を認定。犯行→A方捜索までの間に、Aが中古でスニーカーを入手する可能性は低い(高いとはいえない)。

犯罪の成否
書きづらかったが、まず窃盗の客観・主観を認定して、その後事後強盗と強盗致傷を併せて客観→主観の順で書いた(強盗致傷の「強盗」の要件が事後強盗の成立に先んじることになるが、後述のとおり認められるから強盗にあたる、と流した)。財物の占有確保前と考えれば1項強盗の線もありうるが、問題文に暴行の目的を書くように書いてあること、Vの供述を考えると事後強盗が適当なように思われる。窃盗+傷害は微塵も迷わなかった。あとはガラスの破損が親告罪で不起訴。建物共用部分の建造物侵入も頭に浮かんだが捨てた。
小問
あんまよく覚えてないけどビデオリンクとか遮蔽とか駆使して出廷するように説得できないか試してどうしてもだめなら伝聞例外でPS採用。出廷したけど供述が後退した場合も同様。
感想
出題はそれなりにスタンダードだと思うけど、事後強盗書きづらい。あといつものことだけど量が多い。

民事弁護

書いた枚数:32?枚

とりあえず売買は準備書面の書き方的に(当事者、)目的物、代金額について少なくとも黙示の合意があったことを主張していると思われた。契約日はメモを渡した日(尋問で出てた)。あとは時系列で区切ってひたすら事実を主張。
錯誤の抗弁については、正直何を錯誤として主張してるのか書面が意味不明だったが、協議をしており債務不履行はなく、ゆえに損害賠償されることもない=錯誤はないと主張。協議を請求原因に絡めて書いてもよかったが、協議がなかったとしても売買の効力に影響を与えることはない(少なくとも当事者はそういう認識)だと思われたので抗弁にまわした。
感想
補助参加人出てきてえっっっっっ、ってなったけど実際起案に与えた影響は記録が増えたくらいでそこまで大きくなかったような気もする。ただ「補助参加人」の画数多すぎ。省略させてくれ。
あと錯誤の主張の書面がゴミすぎて主張内容が汲み取れなかった。代理人クビにしろ。

民事裁判

書いた枚数:33枚

訴訟物
本訴の訴訟物は売買契約に基づく本件土地及び本件建物の所有権移転登記請求権1個(不動産2つあるので単に所有権移転登記だと特定不足な気がする)。
反訴は賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての本件建物の明渡請求権、賃貸借契約に基づく賃料支払請求権、上記明渡の履行遅滞に基づく損害賠償請求権の3個単純併合(3つ目の損害賠償は答案には不法行為で書いたものの、書面の記載的には履行遅滞が正しかったのだろうと思う)。

要件事実

本訴
請求原因
・売買

反訴
1.請求原因(虚偽表示があるので本則型ではないかとの指摘を受けて追記)
・被告代表と亡被相続人で賃貸借契約締結(期間5年)
・基づく引き渡し
・賃料先払いの合意
・Nが被告の代表者
・被告は株式会社
(・法定更新 書いちゃったけど不要)
・被相続人死亡
・被告らは相続人(子?)
・4-6月各月末日の経過
・催告
・停止期限付解除の意思表示
・期限の経過
2.抗弁1ー相殺
・修繕
・修繕費用の支出
・相殺の意思表示
3.抗弁2ー虚偽表示
・虚偽表示

本訴は請求原因のみのはず。反訴は請求原因が性格悪いと思った。

当事者の主張に関する問題
原告(反訴被告)の2回目の相殺の意思表示については、解除の効力発生後(停止期限経過後)にされたものであって実体法上無意味な主張。したがって抗弁等のいずれにもあたらない。

撤回問
適法に占有を開始してても占有が不適法になった以後の必要費等を理由に留置権は成立しない(295条Ⅱ類推、らしい。類推なのかよく覚えてなかったので同項の趣旨でっちあげて適当に書いた)。3ページも使う内容なのかは正直よくわからんかった。

事実認定
事実認定は請求認容(ぶっちゃけどっちもあり得ると思う)
事実は35個くらい?挙げた。
売買認定方向だとたぶん賃貸借契約書(から推認される賃貸借契約の存在)が一番不利な事実。処分証書性は認められないこととしたが、類型的信用文書にはあたるとし、特段の事情を検討した。
その中で、そもそも契約内容が不自然、賃貸借契約を前提としない当事者らの行動の存在(当時80歳の原告母が借主、賃料23万と高額で資力不足の不安もあるのに保証人なし、敷金礼金更新料なし、賃料高すぎ、更新もしてない、原告は修繕費払って請求してない、台風の際原告にだけ問い合わせすらしてない)等から認められないことにした。
※賃貸借契約の成立は本訴との関係で言えば理由付き否認の理由にあたるもので、被告は本訴で立証責任を負っているわけではないし、本来これが認められないから本訴が認容されるものではない。もっとも事実上売買vs賃貸借になっていて、賃貸借契約の存在が反訴の請求原因でもある(そっちでは被告=反訴原告が立証責任を負う)ことを考えるとどちらがよりありそうか、という事実認定をせざるを得ない気がする。あと反訴だと賃貸借契約の認定が第一類型になるはずだけど、上で述べたような立証責任の問題があるので、本訴でそのまま使っていいのかはよくわかんなかった。

小問
書面による準備手続きの条文あげて適当にあてはめて終わり

感想
刑裁に続いて、J教官の中には修習生を混乱させて喜んでいる人たちがいるのかもしれない、と思わずにはいられない出題。売買契約認定のための証拠構造が意味不明(賃貸借契約が認められないことを間接事実として他の事実とあわせて主要事実を推認…?)。

刑事弁護

書いた枚数:19枚

想定弁論
証予1,2→W2人の変遷後供述について変遷部分の信用性を弾劾→両名の供述が根拠となる事実(被害品は第3ボタン部分がほつれていた、Aは退店時コートをバッグに押し込もうとしながら足早に退店した)は認められない
→その余の事実を総合しても証明予定第1,2の事実は認められない
証予3→番号通知して問い合わせするのは購入希望者の行動としては理解できるが窃盗犯の行動としては不自然。推認力なし。
+第三者による犯行可能性
→全て総合しても、Aが犯人でないとしたら合理的に説明できない事実関係は存在しない
→無罪
異議問等については割愛
感想
散々他の科目には裏切られたが、刑弁だけはいつもどおりだった。実家のような安心感。
あと登場人物の画数は少ない方がいい。刑弁はその辺をわかってる。他の科目もみんな川上とかにしてくれ。山とか川とか上とか下とか適当に組み合わせればそれっぽい名前になるから。



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