ゆっくりまりさの飯のタネ「白いメリーさん」動画作成思考フロー

「ゆっくりまりさの飯のタネ」という、ゆっくりがいっぱいいて、人間社会の近隣で独自の社会を築いて暮らしているという世界観を背景に持つ動画群を投稿したりしなかったりしています。
 このたび、Twitterで2020年10月末から始めた動画企画が2021年3月にようやく終わり、それらを4月に再編集してニコニコ動画にアップしました。
 これはその動画を編集していた際の思考フローを思い出せる限りで書いたものです。誰かの何かの役に立つと……ええなあ。

 企画は「Twitter上で『お題』を募り、それらすべてを含めた動画を作成する」というもので、全部で9つのお題を頂きました。
 Twitterという媒体上、連作形式での消化をぼんやりと考えていました (1動画最長140秒のため)。

・ウイスキー
・女
・家畜人ヤプー
・ゲーテの詩からの引用文
・横浜のメリーさん
・オカルト
・衣類ハンガー
・萌えとは何か
・闘争

 お題受付を締め切った後、最初にやることは煙草に火をつけ、たそがれることでした。
 たそがれながら、己の技量と知識量を鑑みつつ、各お題を大雑把に分類しました。

1. なんとかなりそうなもの
 ・ウイスキー
 ・女
 ・オカルト
 ・闘争

2. なんとかしないといけないもの
 ・家畜人ヤプー
 ・ゲーテの詩からの引用文
 ・横浜のメリーさん
 ・衣類ハンガー
 ・萌えとは何か


1.については、何もしなくても勝手に動画に含まれていきそうなので、特に頭を悩ませませんでした。
2.については、何とかしないと何ともならないので、これを解決する形で物語を組んでいく必要がありました。
 第1話を投稿する前に、最低でも大筋は作っておかねばなりません。現在進行形でそれを失敗しているので、そこは慎重でした。

2.の要素の中には、1.の要素とある種の親和性があるものがあるな、ということをぼんやり思います。
たとえば、
 ・女 ー 萌えとは何か
 ・オカルト ー 横浜のメリーさん
は、私の中ではうっすらと親和性がある要素でした。
 何と何に親和性を感じるかは個人の経験によるところが大きいのですが、特に2番目については、私が中島らもの短編「白いメリーさん」を「(読んだことはないがぼんやりと)知っていた」ことが大きく作用しています。
なので、電子書籍で「白いメリーさん」を購入し、読み、これは物語の軸として使えそうだなと判断しました。
 そう考えてみると、丁度良いところに「闘争」「家畜人ヤプー」という副軸になりそうなものがありますし、「女」を物語の中心に据えることで、一種の復活、あるいは「抗いの物語」が組める気がしてきます。
 主題とした「横浜のメリーさん」へのアプローチ自体も、まあ、適当な黒幕、目的は知らないけど暗躍してる悪い奴らを用意してしまえば何かと捗る気がします(具体性はこの時点ではない)。
 そういえば私の動画群のゆっくりふらん君はめーりんフェチですし、「女」をゆっくりめーりんとした上で彼を出せば、萌え的な何かもそのうち要素に入っていくでしょう。
 私の動画群には主役と呼べるゆっくりまりさがいて、そいつはふらん君の古い友人でもあり、何かと便利な動きができる奴なので、彼にも出張ってもらいます。
 そして、彼を呼ぶと、その行動の理由としてゆっくりれいむが出てきます。彼女はなんかこう、所帯じみたヨグソトース的な何かなので、物語の裏に置くと大体何とかなります。超越的なキャラを持っておくとデウスエクスマキナが簡単に起こせるので、便利です。雑でもなんでも、物語が閉じることの方が大事です。

 このあたりの思考はかなり乱雑で速いのですが、文字に起こすと多分次のようになります。

「白いメリーさん」はこの場から消えたい思いと顔の白塗りをキーとして発動し、夜中に子どもを連れ去る怪談ということにしよう、そしてその噂を流して子どもさらって儀式やってる悪い奴らは全知の恩寵を求めて神としてのれいむに接触しようとしていることにしよう、んでれいむは全くその気がないというか「夜中にうざってえなあ消すぞ」と思ってて、「ああでもなんかここにかわいそうなめーりんいるなあ、この子健気だけど報われる環境じゃねえなあ、そうだまりさ使ってこの子が立ち直るきっかけ与えてやろうかな」と考えて家を出ためーりんに接触して雇ったことにしよう、どうせ自分がいい感じのリアルドラマ見てぇだけだけどそれはいいや、最後はわるい奴らの誘惑にめーりんが抗い、生きることを宣言する感じにしようそれでいこう。
家畜人ヤプーは何かふらんとの会話で使えるだろきっと、内容知らんけど……ああ主人公麟太郎っていうのか、丁度いいな1文字取ってめーりんの名前を麟・めーりんにすっか、んで究極の他者依存・隷属的な要素ある話なんだな、その辺を取って、ふらんには「私はそういうの嫌いだし、他人の期待とかどうでもいいだろンなもん」とめーりんに言わせようっていうか言うわあいつ……とするとめーりんは他人の期待に潰された系ガールになるな、そしたら親でいいなその他人。
よし特にヤバい2つのお題は目途付いたな、衣類ハンガーはもうどうしようもねえから適当に消化すっか、ハンガー……ハンガーヌンチャクってあったなそういえば、アレ何だったっけ? あー刑事物語、螳螂拳か、そうかじゃあめーりんは武術家の生まれってことにすれば何かいい感じに会話消化できるな、というかめーりんの挫折はそれでいいな、親から家を継ぐ期待かけられたけど技量及ばずに見捨てられたってことにしよう。
よっしゃだいたいできた!
あとの諸々はその場の思い付きでどうとでもなる!

 物語の大枠が完成したので、考えてない部分には触れないように、あるいはその場で考えながら、まりさ・ふらんとめーりんの出会いの1話を編集しました。

 めーりんの登場自体で【女】は消化されます。たすかる。そしてこの際しれっと安【ウィスキー】を出してお題を消化します。最初はニッカでしたがREDの方がれいむの暗示になるかと思い、ついでにふらんからもれいむの異称「赤の女王」に言及させることで、1話時点でれいむの影があることを示唆しました。私の動画群のまりさは通常「ジョン・まりさ」を名乗っていますが、「マルセル・まりさ」はれいむがまりさに何事かをオーダーしたい時に呼ぶ「昔の名前」である、という設定をその場で思いついたので、それも採用しました。当然視聴者にはわからないことですが、編集側にとっては物語構造の構築の上で意味のある設定です。
 画面でボトムズを流しているのは、その頃Amazonでペールゼンファイルズを見直していて、「鉄のララバイやっぱええなあ」と思ったことが大きいのですが、ボトムズシリーズが「[闘争]、抗い」の色濃いお話であることが、この物語に薄らぼんやりマッチしているなあと感じたということもあります。
 また、全体的にめーりんがツンケンしているのは、彼女の「余裕のなさ」を示すためのものでした。特に緻密には心理を考えてませんが、その時点の彼女は家に捨てられ、己を定義する、存在理由としてすがるべきものが「(れいむから)雇われ、依頼されている」という一点なので、その遂行ができないと自分が「なにものでもない」「何の役にも立たない」状態に逆戻りしてしまうという切羽詰まった状態です。編集者としてはこれを考えておくと物語の進展によるめーりんの変化という表現を使えますし、まためーりんの変化自体が物語の進展を示唆します。それは義務にもなりますが、大テーマが「めーりんの再起」である以上必然的に組み込まれるので問題ありません。


 その辺のことを考えつつ、2話を編集しました。

 余裕のない小娘をおちょくってる悪い男二人を示すための小芝居がメインですが、物語的には屋敷前についてからの会話に重きを置いています。
 ふらんは付き合いが長いので、まりさの口ぶりからロクでもないことが起きることを察し、めーりんをどこかに返そうとします。
 しかし彼女は「帰る場所なんかない」と答え、まりさとふらん、そして視聴者に「この子は何かしらの家の問題があるんだな」ということを示唆します。
 お題自体は新規に消化できませんが、必要なやり取りでした。


 3話の編集は、2話で屋敷前に到達していたので、自動的に屋敷内の話、れいむによる依頼パートとして開始しました。

 ここでれいむそのものではなく、かぐやとして登場することは、れいむの一種のおどけというか演技であり、まりさはそれを汲み、あくまで(れいむと知りつつ)れいむではない依頼主として対応します。そういうじゃれあいというか演技がかった場面であり、丁度いい機会なので【ゲーテの詩からの引用文】を消化します。符丁のように使えそうな詩を適当に探し、最後はまりさがかぐやを撃つことで完了させました。
 この辺の射殺は割と手癖というかノリでやっているのですが、依頼主であるかぐや(れいむ)について以降最後まで(次の出番まで)考える必要がなくなること、依頼主の喪失により、めーりんはまた誰にも頼られない状態になること、それによりまりさに雇われ、同行することがほぼ一択となることを、物語のスリム化(余計なことを考えずに済む)に資するものとしてその場で判断したと思います。登場キャラクターは少ない方が低コストです。また2話でふらんが「帰った方がいいぞ」と凶事の示唆をしていたので、帳尻合わせとしても必要でした。……いや、2話終了時にはもう射殺考えてたかな、そんな気もしてきました(曖昧
 なお、かぐや(れいむ)がまりさに渡した依頼書の中には、これまで起きたこと、これから(この依頼書を得たまりさの介入がなければ)起きることについての記述があり、まりさはこの時点で「どこに行って何をすればいいか」が分かっています。が、これは動画的にはある段階まで公開されず、またまりさ自身も最短での解決を企図しない、という設定をその場で思いつきました。これは過去の動画群で作られてきたれいむとまりさの関係性によるものなので、まず視聴者には分からない情報ではあります。こういうのを専門用語で「作者の人しかそこまで興味ないと思うよ」と言いますが、一応物語構造的には意味のある設定です。


 4話では、3話でかぐや(れいむ)が「いちいち口にするのも煩わしい」とした依頼内容の説明パートに充てました。

 ここで「白いメリーさん」という怪談or都市伝説があること、それを裏で手を引いている者がいることを示します。その説明でお題の【横浜のメリーさん】【オカルト】を消化します。そして、「白いメリーさん」のうわさを流し、手を引く者を処分することが物語の形式上の目的であることを示しました。
 形式上の目的を明示したことで、その解決のための手段を考えていく(ことを描写する)必要があります。めーりんが困り顔で「私は何をしたらいい」と聞いたのはその一環ですが、同時に突然の旧依頼主の射殺による「役割の喪失」による不安の吐露でもあります。

(今書いてて気づきましたが、このあたり、めーりんはまりさの暴力(銃)に対する怯えよりも、自分がどうすればいいか、自分の立ち位置はあるのか、という点に怯えています(という風に描写されていたっぽい)。そういえば1話で銃向けられても、怯えはしてますがその後もツンケンでしたね。
こういうのを専門用語で「作者の人そんなに考えてないけど物語は勝手に帳尻合わせてくれてるよ」と言います)

 何したらいいと聞くめーりんにまりさは「殺したことあるかい」と聞きますが、「ない」と答えさせ、いい子だと褒めるための質問です。
その後自己紹介の時間を取ることで、めーりんのキャラを明示的に掘り下げます。


 5話は4話の流れから自動的にめーりんの自己紹介タイムとなりました。
 ここでめーりんが上手く答えられないこと、まりさとふらんが二人でめーりんの経歴を推察することで、めーりんをいくらか打ち解けさせます。

 そのついでにまりさにハンガーヌンチャクの話をさせることで【衣類ハンガー】を軽く消化します。
 また、会話の役割としてまりさは深入り、ふらんはフォローのポジションを取らせていますが、これは【萌えとは何か】をふらんに語らせることと、その後の展開をスムーズにすることが目的です。逆に言えば、この時点で6話についての流れは考えています。
 この時点のめーりんは、まりさたちに対していくらか打ち解けつつも、「期待」という言葉に反応してしゅんとしてしまうように、問題自体は未解決です。


 6話で二人が酔いつぶれているのは半分はノリですが、まりさに別行動を取らせ、形式上の物語を動かしつつ、ふらんとめーりんでテーマ上の問題解決を進めるために一番楽そうな展開だったので採用しました。

 ここで、ふらんはめーりんに【家畜人ヤプー】の話をしながら、めーりんが過剰に反応した「他人の期待」について諭します。
 ドロドロに酔っぱらった状態であること、また先の自己紹介でふらんが自分をフォローする側に回ってくれていたことから、「期待」に思うところあっためーりんはふらんの言葉に涙します。ただ、この時点では解決には至らず、あくまでその端緒を得た程度であるとしています。物語のクライマックスのための前振りの扱いです。
 一方でまりさには単独行動で「白いメリーさん」の活動を阻害させます。その際に逃げた一体を追う展開としたので、(大体Twitterの時間制限的な制約で)7話の開始は「追った後」の展開を描写することになりました。


 7話では、妨害を受けた「白いメリーさん」を操る集団を登場させ、形式上の物語の主目的、倒すべき敵を明示します。

 何かわちゃわちゃ言わせていますが、とりあえず大事なことは「子供以外を生贄にしてみようか」という点であり、これによってめーりんが集団の前に連れていかれる展開を示唆することです。
 あとは「書に記載されている方法が間違っているとも考えにくいのですが」という台詞も、「実際は誤りだったよ……」というオチを付けるために用意しましたが、その辺はただのメタ満足なので重視はしていません。
 また、「白いメリーさん」の噂を聞いて「ここではないどこか」へ逃げ出したくなってしまった子供ゆっくりをまりさに諭させることで、物語のテーマにもタッチさせています。「白いメリーさん」の再生というホラー的要素は完全に手癖ですが、まあ、黒幕のロクでもなさを示すにはよかったんじゃないかな、どうかな(適当


 8話の編集は、7話の最後あたりで考えた「そういえばこれ(物語内時間で)いつの話だ……1話から1日経ってないよな……じゃあ土曜の夜だな。とすると次回は日曜朝になるな。朝から何かの作戦始めると『白いメリーさん』の条件に合わないし、それまでぼんやり待たせるのもアレだし、まあいいや二日酔いで二度寝させるか」というところから始めました。

 普段から時系列をあまり真面目に考えていないのでこういう帳尻合わせの作業が起きます。ただ結果として「寝込むめーりんが、悪い奴らの干渉によって悪夢を見る」という展開が可能になり、動画内で具体的に親に重い期待をかけられたこと、失望され捨てられたことを示すことができました。1話の編集前には「なんか中盤くらいにそういう展開はいるよな。まあその時思いつけばいいや」程度のフワッとした認識だったので、大体結果オーライでした。
 ちなみに二人が二度寝している間のまりさの行動については特に何も考えていません。とりあえずドーラン買いに入った以外は今も未設定です。

 8話でめーりんの問題の深掘りを行い、ついでに時間調整を行ったので、9話では形式上の物語の解決、「白いメリーさん」を操る集団を始末するための具体的な作戦タイムとしました。

 ここでまりさに「全員、自分で呼んで敵の本拠地に連れて行ってもらう」ことを提案させていますが、「ここではないどこかへ逃げ出したい子」という条件を無視しています。これはどうすれば悪い奴らのところまで(最初はめーりんだけで)無理なくたどり着けるか、展開に悩んだ結果の意図的な破綻です。実際は7話で干渉対象が変わっていますが、当然3人はそれを知りませんので、破綻には変わりません。ただ、そもそもの前提としてまりさは「どこに行って誰を殺せばいいか既にわかっていて、その上でこういう迂遠な方法を取っている」ということがあります。従って、次回以降で破綻そのものを展開に取り込むこととしました。こういう時にれいむのような存在は帳尻合わせに重宝します。たすかる。
 また、干渉を受け悪夢を見ためーりんが、「適任だと思いますから」と一人で名乗り出ることは、彼女の問題は解決されていないこと、彼女の問題は酔っぱらいに諭されたくらいで解決する問題ではないことを示すものです。ただ、そこにまりさによる「行き先は自分で決めることだ」という比較的真面目な諭しと、「家の問題なんざ全員ぶっ殺して放火すりゃ解決する」という半笑いの実体験を聞かされたことは、めーりんの意志固めに効果をもたらすものとして描写しています。


 10話はとりあえずめーりんが「白いメリーさん」にさらわれることだけが重要だったので、あとは適当に手癖で編集しました。

「白いめーりんさん」というアホな洒落は完全に私がやりたかっただけのやつですが、思いついたときには「そうか!おれはこのためにめーりんを選び、主題に白いメリーさんを選んだのか……!」という、股間に落雷を受けたムーミンのような顔になりました。専門用語でいう「作者の人そこまで考えてなかったけど物語が用意してくれたよ」です。一応そのしょうもない洒落で笑っためーりんを見てふらんが何かを感じるシーンとしても機能したので、多分、意味のある事でした。


 11話では、9話からの展開的破綻を物語的に解消するための種明かしから始める必要がありました。スマホを落とさせたのも、合理的な追跡手段を完全になくすためです。

「ドラマ好きのお嬢様へのサービスのようなものさ」という言葉でどれだけの視聴者が「あのかぐやはれいむだったのか……」となるかはわかりませんが、その辺は最後にやるつもりだったので、とりあえずまりさが完全な情報を持っていること、めーりんに帰る場所、居場所が提供されることが示されればいいやという精神で編集しました。


 その後、11話後半から13話のめーりんと敵の長尺の会話は、クライマックスではありますがほとんど頭を使わずにサラッと流しました。


 既に物語的な着地点は見えていたので、あとはそこに落着するよう、めーりんの弱さとそこに付け込もうとする敵の誘惑、そして他人に従い食い物にされることへの拒絶と反抗というめーりんの【闘争】を示せばよかっただけなので。

 嘘です。
 実際は首謀者がその目的を話す12話で、編集開始後最も苦労しました。
 この段階にあっても、あの集団が「どこまで、何を知っているか」は未設定でした。
 あとなんで生贄が必要なのかとか、その辺の儀式についても全く考えてなかったので、その場でだいぶん頭を使いました。その辺の帳尻合わせはれいむ的なものがいても解決しないので、素の力技が必要でした。
 一般に、クトゥルフ神話の外なる神 (なんかものすごくやばすぎてやばさを把握できないやつ) ヨグ=ソトースは召喚方法がある程度明確です。
 しかし、それに似た感じの何かであるれいむへの接触方法として、あの集団が行っていることはかなり様相を異にします。
 その辺はまあ、「似た感じであって必ずしもイコールの存在ではないから、いいかな」で済ませればいいのですが、それはそれとして、いかにもそれっぽいことをでっち上げる必要があります。
「自称『魔導書』にそういうこと書いてあったので」と「そもそも説明自体が時間稼ぎだから本当のことである必要はないよ」に落ち着くことではあるのですが、それでも物語に沿うような儀式の説明を考えることは時間がかかりました。
 結局、4話あたりを見返しながら、あとは「ここではないどこかへ行きたいという思念」を重視しながら、なんとかしました。


 14話から16話は、12話と比べると特に何も考えずに編集しました。これは本当です。

 ここら辺まで来たらそもそもの「物語的に可能なこと」が限られていて、あとはどういう順番で消化していくかだけが問題ですが、それすらも既にほぼ自明なことでした。すなわち、

A-1. 自分を生きることを、他人に従い利用されることへの拒絶と反抗を叫んだものの、術中にはまりピンチのめーりんはたどり着いた2人に救出される。ふらんはめーりんを連れて離脱し(場面内キャラ数削減)、まりさが残って首謀者集団を処分。狼狽する首謀者に何かそれっぽい説教(れいむとの関係を暗示させるもの)して抹殺。

A-2. 連れ出されためーりんはふらんに礼を言うも、自分がギリギリまで「ここではないどこかへ連れて行ってもらう」ことに心動かされていたことを後ろめたく思い言葉が続かない。ふらんはそれを受け入れた上で諭し、和ませつつ帰還。

B. 日常へ戻った2人、不在のめーりんがふらんの部屋に戻ってきて両親と絶縁の旨報告。めでたいと言いつつまりさは離席。

C. 離席したまりさはかぐや(れいむ)の屋敷を再訪、依頼が終わり普通に正体を明かしたれいむと今回の件についての大大枠の総括。

 これをこなせば物語として完結するだけの状態になっており、演出上A-1とA-2を一部前後させるかな?程度のことだけを考えました。


 Twitter上で投稿していた16本については、大体上のような思考で編集していました。
 また、完結後1か月してから結合・再編集版をニコニコ動画にアップしていますが、この編集はまあ、一つを除いて表現が足りてないなと思ったところを追加した程度のものなので、大筋には影響しません。より分かりやすくはなったかなとは思います。

 明らかに要素が追加された1つの編集は、終了後の暗闇での自称「あいどる」のソロセリフです。
 これは「ここではないどこか」へ行ってしまった子供の1人への呼びかけであり、まりさの「誰かに連れていかれるのは、悪い逃げだ」を、その結果を見せることで補強するためのものです。
 この自称「あいどる」は私の動画群でややれいむ側の存在として活動しているので、れいむたちは決して万人に手を差し伸べてくれるタイプではないことを示すことも考えていました。
 なお、過去の行状からこの「あいどる」が真の黒幕であるとすることも考えましたが、それにしては事件の愉快度と混沌度が足りてないので、採用は見送りました(特に意味のない報告

 特に記事としてのオチはありませんが、こうして振り返ると、「最初に物語の主軸と大枠を考えていれば、あとはまあ適当でもなんとかかんとか形になるよ! 終盤の種明かし展開ある場合はすっごい苦労するけどね!」あたりがまとめになるでしょうか。
 あと、途中からしばしば口走る「手癖で」の一部は「そうなる理由は間違いなくあるんだけど言語化するとしんどいくらいに長文になってしまうたぐいのミニマムな連想回路または記憶容量からの引用による」と読みかえてもらって結構です。本当かな?