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コピーライターがつくった性差別的広告の反省記

日本の女性は、美しい。
美しい50歳が増えると、日本は変わると思う。
美しい顔が武器なら、美しい体は兵器です。
女は 美人に生まれるんじゃない 美人になるんだ
男は女から生まれた。
ちゃんと欲しがる女だけ、欲しがられる女になれる。

どれも、キャッチコピーの名作です。ただ、いまこの言葉を世に出すのは難しいでしょう。

「女」や「男」を含むキャッチコピーは、まずムリだと思っておいたほうがいいと思っています。女子大のキャッチコピーでこういうのは、アリだと思いますが。

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数年前から、じぶんの会社のサイトの実績集の中から、性別を差別化してつくったキャッチコピーを消すようになりました。

コピーライターをめざしている人には学びがあるかもなので、消したものを反省記として載せておきます。

女子は、男子の2倍以上紙を使う。(2011)

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これは、トイレのマナーポスターのキャッチコピーです。友達が「女子はめっちゃ紙使うしトイレ汚いよ」と言ってて(男子トイレ入ったことあるんかい)と思いつつ、ググったらそういう情報も出てきたので、まぁいいかなと思ってコピーにしたのだと思います。女性は、男性よりも個室トイレに入る数が多いので、トイレの紙も多く使う。事実を言うだけでキャッチコピーになるところがおもしろいなと思ったのでしょう。

男は女から生まれた。
(1991年のジーンズメーカーのキャッチコピー)

憲法第二十二条には
「職業選択の自由」と書いてある。

(1989年の求人情報誌のキャッチコピー)

この2つも事実を言うだけで深く聞こえる系の言葉です。こういう感じで、うまく言えたと思ったのでしょう。これを見て「うるせぇ」「ポスターで言うな」「しょうがないだろ」と思う人のきもちをもっと想像すべきだったと思います。反省

19歳女子もハマる!新感覚どんぐりゆるゲー(2014)

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これはスマホアプリで使ったキャッチコピーです。目に飛び込みやすいですし、印象には残るかもしれませんが、「19歳女子」という言葉を記号的に使っているのが、気持ち悪い。反省

どうでもいいのですが、19歳の友達にアプリを遊んでもらってからこのコピーにしています。

しゃべらない女子会もアリです。(2018)

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スノボは、すべってる最中は会話できないので、こういう言い方にして、友達と行ったらどうですか?という提案にしたらいいかなと思ったのです。「女子会」って言葉があるとキャッチーになりますが、どういう広告であっても「女子会」という単語を使うのはむずかしいかなと思います。反省

レディ画家(2012)

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絵画を売るサイトでの女性画家特集で使ったキャッチコピーです。これはダジャレを思いついて、特集も考えました。ただ、どれだけうまいダジャレになっても、美術館女子、アート女子と変わらない。「女性が描いた絵を買いたい」って思ってる人いるのかな?いたとしたら気持ち悪いなというのは当時も考えた気がします。反省

ゲームは、男女がおなじステージで戦える部活です。(2019)

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これは、キャッチコピーに性別が入ってますがサイトから消していません。スポーツは、身体のチガイから男女別でおこなわれますが、ゲームなら身体のチガイを気にせず男女区別なくできると思ったのです。卓球の男女ミックスとか見てて楽しいので、これをよく感じる人もいると思いました。ちなみに、オリンピックとパラリンピックは分かれてますが、健常者と障害者が一緒に競える競技が1個くらいあってもいいのではないかと思ってます。反省

世界一無口な女の子。(2010)

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これは削除するか定期的に迷っているやつです。製品自体が女性を模しているので。「レンタル彼女」というサービス名に近いと言いますか。この広告を見たときに、冷ややかな表情になる方は男女問わずいますが、女性に対して恐怖感をもっている男性にとっては、いい製品になりうると思ってます。テンガが男性性機能障害の方のリハビリ的な製品として使われているのに似ています。コピーは「世界一無口な恋人。」のほうがよかったなと思ってます。反省
(ダッチワイフって言葉は使わないようにしています。ググってみてください)

バイトばかりしてないで、彼女でも、家に連れてきなさいよ!(2008)

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ちょっと種類ちがうかもしれないですが、あるあるネタのようなコピーを思いついたときは、大学生や男性像のイメージでつくっているので要注意ですね。

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「彼女いる?」ではなく
「恋人いる?」と聞かれると
うれしい。

「“好き”に変はない展」のキャッチコピーで、なるほどぉと思ったやつです。

でも、「バイトばかりしてないで、恋人でも、家に連れてきなさいよ!」ならいいということではないですね。ぼくの話はどうでもいいのですが、こういうの言われるのも、言うのもイヤでした。意識して聞かないようにしている質問で「恋人いますか?」「ご結婚されてますか?」「お子さんいますか?」の3つがあります。それは聞いてもいいだろと思う人は思っていただいていいのですが、芸能人夫婦の記者会見でよくある「お子さんは何人ほしいですか?」あれが気持ち悪いと感じてしまいます。「個人の考え」と「広告をつくるときの考え」は、意識して分けるようにしていますが、このコピーは良くなかったです。反省

以上、参考になってるかはわかりませんが、性別と差別は近いところにあるので気をつけましょう。すべてのキャッチコピーは偏見といえば偏見なのですが、コピーを世に出すとき、どんな偏見のもとに書いたのかを知っておくことが大事だと思います。偏見をなくすことはできないけど、偏見に気づくことはできる。無知の知、ソクラテスを見習うぼくらです。

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