カレーとあの頃の私と
好きだった人のことを思い出した。
ランチをしようと、なんとなく入ったいつもは行かないカレー屋。
隣に座った人がそっくりだった。
こんな所にいるはずもないのに。
聞こえが良くいえばワイルドな風貌
ロングとも言い難い伸ばしきりのひっつめ髪
個性的な丸メガネ
熊のような丸い背中
笑顔が少年そのもので
気になって仕方ない、さりとてジロジロ見るわけにもいかない。
とりあえず特技内省モード。
そのころの自分に思いを馳せてこの場から意識を逸らす。
とてもお世話になった人。
でもきっと私のことを嫌いだった人。
好きと言っても恋愛感情じゃなかった。
自分の気持ちに正直で、正直すぎる人で、自分に向けられた嫌悪が痛かった。
人にどう思われるかばかりが気になって仕方ない私は、彼のその自由さに憧れていた。
そうか、私は彼の心の自由さに憧れていたんだ。
そう気づいたら、過去の私がもういいよって言っている気がした。
そんな感傷にひたっていたら、隣のテーブルから甲高い声。
「すいません、ナンおかわり!」
女性だったんかい!!!
びっくりしたわ(笑)
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