見出し画像

人生を全体性で捉える

※このnoteは武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科クリエイティブリーダシップコースの「クリエイティブリーダシップ特論」という、クリエイティブの力をビジネス・社会に活用しているゲスト講師の方々による講義のレポートです。


9/13の講義では、稲葉 俊郎さんのお話を伺いました。

Profile
稲葉 俊郎
1979年熊本生まれ。医師、医学博士。
2014年-2020年3月 東京大学医学部付属病院循環器内科助教
2020年4月 軽井沢病院 総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授(山形ビエンナーレ2020 芸術監督)
2021年1月 軽井沢病院 副院長
全体生を取り戻す新しい社会の一環としての医療のあり方を模索している。
(https://www.toshiroinaba.com/about-me より)


このnoteでは稲葉さんのお話の中から印象的だったことについて書いていきます。


全体性を取り戻す

稲葉さんは「人生の全体性を取り戻す」ということをキーワードに活動されているそうです。

「何のために生きるのか」、学校では教えてくれない問いの答えを探しながら、学生時代からお医者さんになってからもずっと色々なところに足を運び、知識を吸収して考え続けてこられたそうです。

転機が訪れたのは3.11。
翌日医療スタッフとして現地入りするも、目にしたのは津波で何も無くなってしまった大地。大学病院のような設備の整った環境をいくら人間が作ったとしても、かなわない自然の力を思い知ったそうです。

そして原発問題などを目にしながら、地球というマクロなものと人間というミクロなものを地続きで考える、holisticな考え方に行き着いたそうです。

地球がヘルシーじゃないと、人間もヘルシーになれない

そんな言葉が印象的でした。



人生の全体性

稲葉さんは、人生は全体性をつくるようなもの、というようなことをおっしゃっていました。私なりに解釈をすると、人生で起きる様々な出来事や環境が自分をかたちづくっていて、それらの要素が変わるたびに自分自身も変わっていくことなのかなと思いました。

この私を形づくる要素は、流動的で、関係し合って変化していくものだと感じています。

時間軸によって強くなる要素もあれば弱くなる要素もある、
新しい要素が追加されれば、新しいバランスが生まれる、
抽象的ですがそのような感覚で自分を、自分の人生を捉えるということは個人的にとてもしっくりきました。

この日常に何かが足りない気がする、という感覚や、
急に意味を持ち始める過去の体験がある、という感覚が時々あります。

人生に意味も無意味もなくて、ただその要素が複雑に、流動的に、関係しあって今の自分の日常ができているんだろうなと感じました。

だからこそ、人生を仕事とプライベートというフレームで当てはめて人生を設計するようなやり方もありますが、相互に関係し合うことで生まれる意味に気づくために、自分は二分して考えるのではなく、全体性のなかで仕事なり、プライベートなりを見つめてみたいなと思いました。


その疑問はあなたならではのもの

質疑応答のお話の中で、「その疑問はあなただけのものだから大切に考え続えてみてください」という趣旨のコメントがありました。

全体性の話から連続して考えると、自分から出てきた質問は自分の過去の経験、置かれている環境、色々なものが作用して作られた今の自分から出てくる質問であり、他人はもちろん、過去の自分や未来の自分からも出てこない、「今の自分ならではの質問」なのだろうと思いました。

このことにもっと自信を持ちたいなと思いました。人と感覚がずれていると感じる場面があり、その度に少し不安になる自分がいたのですが、この感覚は「自分らしさ」だと肯定的に捉えていきたいと思いました。そして、自分らしさを失わないように、この感覚や疑問を温めていく時間をこれからも意識的に確保していきたいなと感じました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?