狐面

「天才だね」
「やっぱりすごいね」
「才能があるね」
「センスがあるね」

褒めていただけることはとても嬉しい

私は捻くれているので
いただいたことばに
もやもやとしてしまうことが
多々ある

私が毎日どれほど
頭を悩ませ1㎜も進まない絵を眺め
ほとんど完成させた絵を白紙に戻し
たくさんのもの見ては
アイデアを探し落とし込み
試して崩れて作っては消えているのか

極々極々たまに
ぱっと浮かんでさら〜っと描ける
時もある

ただそれはほとんど偶然であり
気まぐれであり奇跡に近い

見てくれて、反応をくれて
言葉をくれて、何を贅沢言ってるんだ
という言葉はとりあえず聞かないこととする

そう、私は捻くれている
大丈夫、自負している

ただ、１つの作品に
どれだけの裏側があり
どれだけの時間がかかっているのか
どれだけ重ねられた思いがあるのか
きっと目には映らないものがある

私に限らずイラストに限らず
アートを生み出す全ての人々に

何か言葉を伝える機会があれば
さも、もとから作者が何かを得ていたような
言い回しではなく
100時間煮込んだカレーかもしれない
と念において言葉をかけてあげてほしい

言葉は難しい
それこそ時にセンスが必要だ
貴方の伝えたいその相手に
少しでも貴方の真意が伝わることを
心から願っている

ここに万能な言葉を落としていく

「すき！」

この言葉を嫌がる者はきっと
私よりも捻くれている