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『スリル・ミー』 私の回想の向こう側に「彼自身」を見る

未だ『スリル・ミー』(主に成福)が頭から離れない日々が続いています。

私や彼の台詞が何かの拍子にふと過ったり(病気かな?)、洗濯物干しながらサントラ聴いたり(爽快さのかけらもない)、歌のワンフレーズが口をついて出てきたり(甚だしく不穏)、常に傍らに戯曲本を置いてたり(中毒?)するの、もういい加減やめたい…

嘘。楽しすぎてやめたくない😆

だから相変わらず、観劇の記憶と英語版戯曲&サントラを反芻しています。

そんなワタシ(筆者)に、ワタシ的にセンセーショナルな瞬間が訪れました⚡️

あゝ…彼はずっと、私から逃げよう逃げようと必死に足掻いてたのかも…と、思い至ったんです。

この物語はすべて「私の回想」であると捉え、ずっと私に感情移入しながら見てきたワタシにとって、あゝ…彼…可哀想に…苦しかったね…😢 なんていう気持ちになったことは、ちょっとした事件です。

今日はそのことを綴ってみますね。

✏️

"LIFE PLUS NINETY-NINE YEARS" の歌の中で、彼は衝撃的な言葉を言い放ちます。

I swear that I’ll leave you again! 

捨てゼリフのような。(これがあるから、後に彼が刺されて死んだというのが、もしかしたら彼の意志によるものだったかも…って思えちゃうんですよね。)

それにしてもagainって…じゃあ以前にそれをしたのはいつよ?と考えますと、"WHY"の歌の後、19歳の公園のシーンになる前の私の台詞の中に情報があります。
 (舞台で聴いた日本語台詞の記憶は残念ながら確かではないので、手元にある英語戯曲をもとに検証しています。)
「15歳で一緒に高校を卒業して、大学でもずっと一緒で、でも4年生の途中で彼は突然ミシガン(大学?)へ(編入で?)行ってしまった。それは彼がよくやる、私に意地悪をするゲーム…変なとこに置き去りにしたり、夏休みに何も言わず(長期で)何処かへ行ってしまったり…そういうことの一貫だった。でも大学を卒業して、彼は帰って来た。」 (意訳かつ要約)

彼は私を置いて何処かへ行ってしまうということをちょいちょいやってた訳なんですが、まぁ大抵は軽い遊びと言うか意地悪だったんでしょうが…たまに本気の時があったのではないかしら、と想像してみます。

彼の中には、高校生の時の放火の記憶がずっと強く残っています。あの時に感じた高揚が忘れられなくて、流石の彼も「これちょっとヤバイな」って思ってたんじゃないかな。この高揚の記憶にはもちろん私が含まれていて、私の存在はこの高揚への衝動を加速させるものだった。だから時々、ほんとにヤバイなと思って本気で私を遠去けたくなったことがあったかもしれません。

あるいは…昔からずっと一緒で、彼のことが大好きで何でも言うことを聞いてくれて、いつだって待っててくれる私は、彼にとって途轍もなく甘美なる惰性で、あぁこんなものからは逃れなきゃいけない!って足掻いていた面もあったか。

(えーと、思い浮かんじゃったからイメージぶっ壊れるの覚悟で書いちゃいますけど…甘美なる惰性って、言うなれば冬のコタツですよ。…例えがあまりにも卑近😅)

(気を取り直して。)

ミシガンへ行った時の彼は、本気で逃げようとしていたんじゃないだろうか。

ヤバイ衝動あるいは甘美なる惰性である私から逃げようとしてみたけど…やっぱりまた帰ってきてしまった。

そして「やさしい炎」の高揚。
ああ…ダメだ、俺。

もう一つ言うと、大学4年生の頃には学業成績の面では私の方が彼の上を行っていたのかも。私はHarvard Law school へ進学しましたが、彼は進学していません。
「Univ. of Chicago(を卒業したこと)で満足してるんだ」と言う彼は、この点では内心私に対して劣等感を持っている。急にミシガンへ行ったのはそれを直視しないためもあったかもしれません。

でもそんな彼に I’m glad you’re happy. って言う私は、彼の内心になんて全然気付いてないし、本気でそう言ってるし、彼はきっと自分への意地悪で自分と同じ進学をしなかったんだくらいに思ってるし、彼が自分に対して劣等感持ってるかもなんて思いも及ばないし、彼のこと大好きだし!   …そしてそのことを、彼も解ってる。

私の元へ帰って来て、私と一緒に眺める炎の高揚を再び味わってしまった彼は、もうその欲求に歯止めを掛けることはできなかった。

🔥

このように視点を変えてみたら、私の回想の向こう側に「彼自身」が浮かび上がってきました。そしてまた一つ面白いことに気付きました…

ワタシは今までずっと成河・福士ペアの記憶をもとに考えてきていた筈なのに、浮かび上がってきたその彼は、不思議と柿澤彼からワタシが受けた印象に近いなと思いました。やんちゃで、ナイーブで、強がりで、カッコつけで、でも心の奥底で私をすごく必要としていることが漏れ出ている。

ああ…ダメだ、俺。 って苦悩してる。
(↑すみません我ながらこの台詞気に入ってしまいました。彼に言わせたい。)

 I swear that I’ll leave you again! 「逃れてやる!」って…ずっと彼が思っていて、でもどうしても出来なかったことだったのかな、って。

そんな彼と、そんな彼でも大好きな私が、哀しくせめぎ合う物語。それを観客が覗き見する。
(ふたりの物語を覗き見するのだと、松下さん・柿澤さんも仰ってましたよね。)

成福ペアのは、成河私が「お話しします…」と言って語ってくれる物語を、観客が見る。

たぶんそういう違いがあったために、初見で成福を観て、その視点を持って臨んだ2回目が松柿だったもので、ワタシ少し混乱してしまったんですよね。その時のワタシはまだ、柿澤彼から漏れ出ている「彼自身」という情報をどう受け取れば良いのか分からなかったのだと思います。

あー面白いなぁー‼︎ 

『スリル・ミー』噛み締めて噛み締めて、何度も美味しく頂いております😊

こんな頂き方もあるよ!こんな味がしたよ!という語り合いを、スリルミー好きな皆様と是非ともしてみたいものです☺️

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#スリルミー  




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