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タジマ Dec.17 [シアタートーク有り]

これは現代の私たちの話だし、フマとバーブを見つめることは自分自身を見つめることだなぁと、改めて思う。

タージマハルを見ちゃってるバーブに
やめろ、戻れ、しっかりしろ、お前は帝国の衛兵だ…ってホントあれフマは自分に向けて言い聞かせてた。
そしてバーブの「フマ。俺のバーイー」という呼び掛けで表情が変わった。
あゝこの呼び掛けが、振り返って見てしまう直接の誘因になったんだな…って、観劇中に思ってたのよ。

そしたら…終演後のシアタートークで中井美穂さんが「フマにとってバーブの存在は助けになってるでしょうね」みたいなことを聞いた時、成河さん「もう、ヒーローですよ!ぜっったい言わないけど」と仰って…なんか繋がった。
(ん?ヒーローじゃなくスターだっけ?)

あと、
「あれは月なんかよりきれいだよ」
「いや、それはない」
の時のフマが「いや」はバーブの目を見て強く、それから目を逸らして後ろを向いて「それはない」って言うのを観て、なんかバーブに向かってそれを表明することに躊躇い・戸惑いがあったのかなって思ってたのね。
実はこれも「バーブは僕のヒーロー」という捉え方にすごくハマった。
バーブと自分との間にある本質的な違いを言ってしまうことへの怖さ。

私はこれまで、フマ目線を持ってはいたけれど、バーブは子供みたいに世話を焼かせて!って思ったり、フマが抱えてるいろんな思いをバーブはちっとも分かってない、自分ばっかりが辛いとか言ってフマを傷つける、夢想家なのは良いけど社会適応力に欠けててちょっと困る!とかって思ったりしてたから…
成河さんの「もう、ヒーローですよ!ぜっったい言わないけど」にハッとした。
バーブって自由な発想力を持ってるし鋭い批判とかもできるし凄いなって思ってはいるけど、自分がそれに憧れてるとか、そういうことのできない自分にコンプレックスがあるとか、言いたくないし認めたくないもんな。
成河さん、フマの内面をすごく素直に言ってくれた。
明らかに私の内面でもある、と思った。
私、そこを見ることを避けてたかも。
見えない見えないってずっと言ってたフマみたいに!

タージマハルを仰ぎ見ながら手を繋ぎ合うふたり。
フマもバーブも互いに、自分に無いものを持っている相手をめんどくせぇなーとは思うけど、好きだし、すごいなぁって思ってて、俺はあいつのようには出来ないってことをそれこそコンプレックス的に感じたりもしていて…
だからきっと離れられないふたり。
バーブだって、しっかりしてるフマのことを頼りにしてるに違いないし、「強くあるべきだったな…悪かった」なんて言ったりもしてる。

そう…ふたりとも、取り乱した後はバーイーが注いでくれる水で助かってるんだよね。

10年後のフマ、すんごいくたびれてた。
ピシッと立ってないし、顔をポリポリ掻いたりしちゃって。
回想から戻ってくる時の顔、ブルオレで見たブルース先生終盤の虚無顔を思い出したよ。
あの、残像が残りまくる終幕暗転の仕方…余韻たっぷりで好き。

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