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ブルオレ Apr.13

🍊この日はクリスを追って観ていた。
🍊「差別意識」「弱者」について考える。
🍊4月14日アフトレポを漁った結果も添えて。

居ても立ってもいられず…
『BLUE/ORANGE』追いチケで3回目。
F列2番…椅子ドン席の真後ろと知ってたからちょっとドキドキ。列間隔が意外とあったのでそこまで接近された訳ではないけど、ロバートが擁護してくれないと聞いて悶えながら壁に倒れ掛かった後E2に椅子ドン来てその席の方の顔を目ん玉ひん剥いてガン見する成河さんを目の前で確認させて頂きご馳走様でございました🙏

でもそんなことより…今日もまた新たに気付いたこと思い及んだことがあって、いやマジで面白いなーーーっ!

今日は冒頭シーンまずクリスの顔がよく見える位置だったからか、そこからずっとクリスを追い掛けて観てた。
まずクリスは明日退院できるから嬉しくてあのテンションになってたのかってことに今更ながら初めて気付いたわ。
すごくいろんな表情してたなぁ…
特に刺さったのは、お母さんの話が出た時にフッと見せる寂しげな悲しげな子供のような顔。捨てられて天涯孤独なのかなって思った。
ベンチの上にしゃがんで空気清浄機の壁際に向かってタバコを吸う横顔は今日の席からしか見えなかったと思うし、ブルースをよしよししてあげてる時は大きくて優しかったよねぇ。クリスだって誰かからこんなふうにしてもらいたかったんだよねぇ。
話をしているブルースやロバートの顔をすごく素直な真剣な目で見たり、笑顔も無関心も不安も怖れも怒りも挑発も、すべて私へ向けられているような気がしてきてしまい、胸がざわついたんだ。
言い方を換えると…あ、クリス今こんな顔してる!こんなクリスをどうする?って、ブルースの気持ちになっちゃったってことなんだけど。

世の中は理不尽で、被差別とか孤独とか色んな苦しいことに、クリスは「なぜ」の答えを見つけられなかった。正しい理由やストーリーを教えてくれる人を求めて、ブルースと親しくしたり一転してロバートを信じブルースを遠ざけたり。
父親・母親について自分が信じたいストーリーを一生懸命探してもいる。

ロバートの、インテリ意識高い系・配慮してますアピールな言動が、私はやっぱりいちばん気持ち悪い。

ロバートが「隣人」について語る時、クリスの立場に配慮する、我々には本当の意味で理解してあげられないとか解ってるふう(私自身を省みてちょっと胸が痛い…)なことを言いながら、その場は一瞬にしてロバート&ブルースと/クリス、という構図になる。テーブルの上にしゃがみ込んでオレンジを見つめるクリスが独り取り残された空気になる。クリスの凍りついた顔。「勇気を持って」なんて言われた時の絶望的な目。
つい昨日の上野千鶴子さんの東大でのスピーチを思い出した。努力することを尊しとして認められ、その結果努力が報われる経験をする人たちと、そんなこと最初からできる境遇ではない人たちがいるのだ。厳然と。

ロバート…ロバート…ロバート…先生…
と言って、やっぱりこっち側なのだと自覚しながら降るブルース。そしてオレンジの皮を齧る。厳然と在る境界に噛みつきたい気持ちを抑えて。

ブルースは解雇の危機に動転してたけど、クリスだって連行されて強制入院させられて仕事や生活をめちゃくちゃにされたのだ。今更ながら気付いたけど、ここでクリスがふざけんなよ!って怒るのは道理だわ。

社会的弱者という立場。
ロバートから「お前が嫌い」「お前は要らない」と言われて、クリスを見送った時と同じようにオレンジを1個手渡されて、ブルースはクリスと同じ立場になった感覚を味わった。オレンジを剥いて中身も割って見て、今なら自分にもこれがブルーに見えると思ったかもしれない。
そして、告発という考えになった。
弱者は、その立場を利用する力を持つ。
弱者は配慮されねばならないということになっているから。

差別・侮蔑的発言というタブー。心の中に持っているのに、表に出すとそれは命取り。
オレンジを黒人であるクリスに見立てるとか、そういうストーリーを作るってことはその根底にはどういう意識があるか?そこは表に出すと非難の対象になってしまう。
ブルースとロバートは結局互いにそれを指摘し合って互いに墓穴を掘った形。
最後はパワハラというまた違ったタブー要素をピックアップすることでブルースが優位に。

社会的強者と弱者。
拭い去れない差別意識を(ほとんど無意識に)持ちながらタテマエ上は弱者に配慮せねばならないとされている強者。
弱者への配慮の無さを指摘し、意識の低さを非難し合う強者。
弱者の立場を利用し、配慮されないことで強者を非難する弱者。

かと言って洗いざらいぶつけ合うことは果たしてどうなのか?…お互いに傷付くだけ。根本的には何も解決できないのではないか。

でも考えたらさ、ブルースが終盤洗いざらい言っちゃうことはNG発言なのに、クリスが「くそニグロって思ってんだろ?」とか「白人医師!」とか言うのは何となく許されちゃうってどうなんだろう?弱者から強者への非難はOKってのはどうなの?指摘されたくないことを配慮なく言って相手を傷付けてるという点で同じなんじゃないの?

この辺りの、差別意識とかに関すること…
其々の立場から、色々な考え方・受け取り方をする人がいると思います。

あ、電灯を消すのはオレンジの話をする時の演出だった。クリスがスイッチをパチパチしながら音響に合わせて「ウィーン」って言ってたの面白かった。

千葉さんロバート、よりどーしょーもないジジイ感増し増しでずいぶん楽しくなってた。

今日は結構笑い多めの客席だったんじゃないかな。男性も多くて下ネタで笑ってたし。笑いだけじゃなくて、おー!とか、あ〜⤵️とかも結構聞こえて楽しかった。

4月14日 2回目アフトのレポ(ありがたい🙏)を漁った感想も併せて。興味深いことがまた色々と。

ブルースの妻はブルガリア人(有色人種…って言うかスラヴ系?いわゆる白人の西ヨーロッパ人とは違うんだな)という設定なんだって。なるほど。ロバートに民族衣装とか言われて、ブルースは不快そうにしてたよね。センシティブな話題が出ないようにとか、普段から家庭内でも気を遣っているんだろうか。そう考えると、クリスにぶち切れちゃう時のブルースの感情は随分複雑だったんだろうなぁ。
あ…「お前長生きするよ103歳まで」ってロバートが言ったのも、ブルガリアにご長寿な村があるって聞いたことあるなぁ。

そう言えば終盤ぶち切れの後のブルースとクリス「ごめん…だいじょぶ?」「(軽〜く)ああ、いや傷ついたよw… あんなこと言われてさ、もうここに居らんないっしょ」って遣り取りがすごくリアルな気まずさを表現していて生々しい。←ここ、オーディブルで聴いたアメリカ版?は雰囲気違うな。クリスが涙ながらに「そんなこと言うなんてヒドイよ」って言ってる。

ラストとか「その後」とかについて、ロンドン版や初演と比べて最もグレーに見えるような演出にしてるって。初演はもっと白黒ハッキリだったって。いやぁ逆にこの内容で白黒ハッキリさせる方が想像つかないわ。最後にブルースの勝利で終わったってことかな。章平さんが「クリスはまた病院に戻ってきちゃうんじゃないかな」って言ってたとのことだけど、それにも頷ける。

あと、ウォーターサーバーのブクブク音がどんな効果をもたらすかについて。成河さんも明言はしなかったみたいだけど…あれって「訴えます」の後だっけ?初見の時なんか確かにハッとしたし、あまりにナイスタイミングやろ〜って思ったから、何らかナイスタイミングなんだわな。また今度意識してみよ。


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