「落下の解剖学」を観た後で慌ててジュスティーヌ・トリエ「愛欲のセラピー」を追いかける。これがまた面白くてさ。

ジュスティーヌ・トリエの「愛欲のセラピー」(2019)は「落下の解剖学」の前作にあたる。「落下の解剖学」と同じく夫アルチュール・アラリとの共同脚本だ。この夫婦、家ではどんな感じで仕事してるんだろ。

作家で精神科医の主人公シビルは、カウンセラーとして多くの顧客を持っていた。シビルはしばらく小説を書いていなかったが、患者の話をモデルに執筆を開始。そのためにカウンセリングをやめてしまう。しかし、患者の一人、女優マルゴはメンヘラ気味で、どうしてもシビルに診てほしいと懇願する。やむなくシビルは個人的にマルゴの話を聞くようになるのだが…。

邦題はなんかエッチな連想をさせるが、原題は「Sibyl」。主人公の名前だ。医師が患者のプライベートを書いてしまう…というアンモラルでめちゃめちゃな話ではあるのだが、出てくる人物がどいつもこいつもクセが強くもどかしいので、困った方向に進んでいくのがおかしい。邦題に負けないくらいな“愛欲”シーンも…。

主演のシビルはヴィルジニー・エフィラ。そう、「ベネデッタ」である。女優マルゴはアデル・エグザルコプロス。そう、「アデル、ブルーは熱い色」のアデルだわ。さらに劇中の映画監督役に「落下の解剖学」のサンドラ・ヒュラーがエキセントリックに演じる。この人、出てくるたびに主役の株を奪いとる。

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