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マンガ「赤狩り」は近年最も心動かされた秀作。古びる内容じゃないから、今後も読み継がれていってほしいものだ。

山本おさむの「赤狩り」最終巻を読む。編集者時代の先輩から「面白いよ」と勧められ、ずっと買い続けてた。連載はビッグコミックオリジナル。あの頃、主な青年漫画誌はキオスクで買って毎日読んでいたんだけどねー。近年はすっかり単行本で選んで読むので、どうしてもタイムラグができちゃうのね。コミックス化に於いては加筆修正するのも当たり前だから、ついつい雑誌は読み逃しちゃう。

マッカーシズムからの壮絶な虐めを耐え抜き、ようやくトランボに平和が訪れるように見えた一方、時代はケネディ・公民権運動排除などに弾圧の矛先が変わっていく。結果、おぞましい謀殺の話が展開するのが後半。
漫画は虚実いりまじる大団円で、メッセージを高らかにうたい上げる、けっこうな読み応えとなった。
この漫画の面白いところは各巻巻末に“「事実」と「フィクション」に関する作者註”が毎回熱量高いメイキングとなっていて、これがとにかく面白い。今回は特に分量も多く、非常に教養を深めてくれるのね。作家の高い志も素晴らしい。これを読んだ後に「ローマの休日」「猿の惑星」「黒い牡牛」「スパルタカス」「栄光への脱出」「ダラスの熱い日」「ジョニーは戦場へ行った」「J・エドガー」「トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男」を観ると、たぶん感じるものが変わるでしょうね。
あ、「ヘイル、シーザー!」や「マジェスティック」でもいいですが。

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