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「ウディ・アレンVSミア・ファロー」は悪意に満ちた“ドキュメンタリー”

21年6月。U-NEXTでHBOドキュメンタリー「ウディ・アレンVSミア・ファロー」を観る。全4回。クタクタに疲れた。
92年に発覚したアレンの幼児虐待疑惑を、ミア側が徹底的に攻撃する「悪意に満ちた告発」企画だ。事実の追及でなく、「絶対やってる」という確信は、アレンをペドフィリアの怪物と非難し、社会的にぶっ潰すためだけのものである。一度は愛した人を、ここまで憎むエネルギーが画面からあふれ出てくる。こんなの初めて見た。
いくらなんでもこの番組は公平性を欠くのではないかと思い、タイムリーな出版となった「ウディ・アレン追放」(猿渡由紀著 文春e-book)を電子で読む。本書は過去資料から中立の立場で事象を記載したものだ。これを読んでいくと、ドキュメンタリーでミア側が指摘した“証言”に矛盾があることが見えてくる。正直、ぞっとした。映像の力は強い。番組の編集には演出もある(音楽とか)。
大好きな映画作家がペドフィリアのレッテルを貼られ、Metooのムーブメントに巻き込まれたことで、仕事をキャンセルされ、社会的信用も失う。
疑惑の行為はホントかもしれないし、そうじゃないかもしれない…その真偽は、もはや本人たちにしかわからないんだけど、スキャンダルを見聞きしただけで裁いてしまう世間の気持ち悪さに僕はダメージくらってます。
アレンはこの件で逮捕されていないし、親権の裁判でも司法は確証はないって答えを出してるんだよね。それでもミアは「あいつはやってる!」って言い続ける。ワインスタイン騒動からのMetoo運動の流れで本件は再燃し、過去の作品関係者は「あんなやつと仕事したことを後悔している」って騒ぎだした。ワインスタインは裁かれるのに、アレンやポランスキーはいいのか?って書き立てるメディアもいる。
結果、アレンはAmazonから一方的に契約解除(後に和解)、最新作はアメリカではオミットされた。
うーん。こりゃ難題だ。
ドキュメンタリーを観て「吐き気がする」と言っていた家人に、「追放」を読んでもらったところ、「ミアの闇も深すぎる。どっちもどっち」と印象を変えた。
まだ消化しきれてないや。

※10月にリニューアルしたディズニープラス。今のところ「ニューヨーク・ストーリー」と「結婚記念日」はオミットされてる。

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