Daniel Caesar & H.E.R. - 「Best Part」を考察する
2017年8月25日リリース。シーザーの『Freudian (2017)』と、H.E.R.の『H.E.R.』に収録され、第61回グラミー賞の最優秀R&Bパフォーマンス賞も受賞した、Daniel CaesarとH.E.R.による名曲「Best Part」。切なげなサウンドに乗る、男女のデュエットラヴバラードソングです。
今回はそんな「Best Part」の歌詞の内容を主に深掘りします。(※本記事は筆者の感想文が含まれます。あくまで考察としてお読みいただければと思います。)
「Best Part」の制作秘話/曲が出来たきっかけ
この曲が出来たきっかけは、H.E.R.がDJ Camper(H.E.R. の「Focus」なども手掛けるプロデューサー)とのセッション後にシーザーと出会ったのが始まりだそう。
この曲はシーザーが別れを経験し、落ち込んでいた時の、ロマンチックな気持ちをシンプルに表現したのだそうです。
H.E.R.(本名がGabriellaなのでシーザーはギャビと呼ぶ)と同様、シーザーも「自然に出来上がったんだ」と語っています。
「Best Part」のリリックを読む
ここからはリリックのいくつかを抜粋して曲の内容を読んでいきます。
全体として、この歌は愛する人への深い愛情と感謝を歌っています。愛する人がどれほど特別であるか、パートナーが自分の人生の中でどれほど重要な存在であるかを示しています。
愛する人が最も美しい部分であるという感覚、相手への感謝、愛の深さ、失いたくない気持ちが歌われていて、最後には「If you love me, won't you say something?(私を愛してるなら、何か言ってくれない?)」と、「愛しているのならその気持ちを示してほしい」という願いが繰り返されています。
ヴァース:H.E.R.
HERのヴァースでは、愛する人との親密な瞬間の描写と、その瞬間に対して思う「愛情を相手にもっと伝えたい」という切実な願いを表現しています。
その後のプレコーラスでは「You're the coffee that I need in the morning(あなたは私が朝に必要なコーヒー)、You're my sunshine in the rain when it's pouring(雨が降る時の私の太陽)」とも歌っているところから、日常を想起させるフレーズ(「コーヒー」や「雨」など)が散りばめられているなと感じました。
ヴァース:Daniel Caesar
シーザーのヴァースでは、は愛する人の美しさや魅力(茶色の瞳)を描写しながら、直接的な愛情を表現。
こちらも「sunrise(日の出)」のようなフレーズを用いて、日常の小さな瞬間や愛の行為がもたらす幸福や喜びに焦点を当てているように思います。
コーラス
二人のヴォーカルが合流するコーラスでは、愛する人がどれほど美しいか、またその美しさをどれほど価値あるものとして認識しているかを表現。
「If life is a movie, know you're the best part, ooh(人生が映画なら、最高の瞬間はあなただと知ってる)」は、愛する人が自分の人生の中で最も価値のある部分、つまりハイライトであることを強調しています。
個人的にはそれぞれのヴァースやプレコーラス部分で「日常」が垣間見えたことから、「別に特別な瞬間じゃなくても君なら全部がハイライトだ」と言っているように思えたのが鳥肌でした。
控えめなアコースティックギターの音色と、スムースな二人の歌声マジックで、コテコテさが無く、スッと耳に入ってくる感じも魅力だと思います。
以上、Daniel Caesar & H.E.R. - 「Best Part」の考察でした。
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