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引っ越し前の部屋と副業

2022年4月9日
今私は一年間という期間限定で副業を許可してもらっている。副業と言っても数千円の収入があるだけで、学習目的の研修に近い。本日、その関係で受講した講座で、二人一組で相手に話を聴いてもらうという時間があった。

先日の地震や戦争のニュースなどを見ていると、日々の当たり前の時間がどれほど大切なのかと思ったという話をしていると、「いつくらいからそう考えるようになったのですか?」と質問をされた。いつから・・・
いや、みんな、普通にいつも思っていることなのでは?と思った直後に、記憶の蓋が開いた。「大切な記憶なんですね」と言われ涙が止まらなくなる。

20代後半から30代半ばまで、都内で姉と2人暮らしをしていた私は、諸々の事が重なり、姉と暮らすことを止めようと考えていた。母に相談すると「自分で言いなさい」と言われ、上京した母の前で姉に告げ、具体的な行動に移った。
姉と暮らす前は寮生活だったため、完全なる一人暮らしは初めて。姉と暮らしていた部屋でも、私が家賃電気ガス水道の契約者だったため、大体のものは住所変更をするだけで対応が終わった。
引っ越した直後、母から巨大な段ボールが届く。中を開けると、いつも送ってくれる食料品のほかに100均で買ったと思われる新品の調味料入れ、洗濯ネット、実家で使っている食器、鍋の蓋(蓋だけ)などなど。一人暮らしに必要だろうと母が考えて100均で買っている姿が目に浮かぶ。もちろん、東京で買えるものばかりではあるが、これを見た私は段ボールを前に号泣した。

学生時代、とにかく家を出たかった私は、高校卒業後就職し、会社員時代の年3回の長期休暇はすべて海外旅行をし、一年に一度も実家に帰らないという数年を送った。姉と2人で住んでからは、2人で暮らす部屋に両親や親戚が来てくれることも時々あり、関係が悪かったというわけではないが、親と過ごす時間はほとんどなかったと言っていい。
特に関係や行動に問題があると思っていたわけでは全然ない。ただこの段ボールを見たとき、何につけても反応の薄い私に対する無償の母の愛を感じたのだった。

初めて一人で暮らした部屋の写真が思いがけず出てきたので記念に。

これからは海外旅行も行くが親との時間も持とう、特に年末年始は実家で過ごそうと決めたのはこの時だ。
この時から15年は経っただろうか。今では実家に帰ると、常に喧嘩している両親の間に挟まれるという苦行が待っている。

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