映画「まともじゃないのは君も一緒」感想(ネタバレあり)

・役者さんはみんな演技が上手く、世界観に入り込めずに冷めてしまうことは無かった。中でも宮本役の小泉孝太郎さんは、若くして成功した社長の胡散臭さと、婚約者がいながらも若い子と浮気してしまう情けなさを演技でよく表現していて素晴らしかった。

・映画全体の雰囲気が何だか優しくて爽やかだった。単純に画面が綺麗なのもあると思うし、役者さんに若い人が多かったり、登場人物に優しい人が多かったりするのも関係あるのかな。

・この物語に込められたメッセージ性は「まともに生きるのってそんなにいいことばっかりじゃないよ」「まともじゃなくてもいいんだよ」ということだだと思う。最近は「ありのままの自分じゃ生きていけない、社会に合わせる努力をしよう」と言ったメッセージが内包されている作品が多いように感じていたので、結構新鮮に感じたし、少し救われたような気持ちにもなった。(もちろん、生きていく上で完全に本来の自分ではいられないけどね)

・登場人物が大きな声を出すシーンや感情を露わにするシーンもあるのだけど、あくまでも淡々と描かれているように感じた。
例えば宮本が香住と浮気するシーン、宮本は結構なクズ行為をしているんだけど、香住が女子高生がどうか確認するシーンとかがやたら生々しくて落ち着いてるから「こいつ最低だ!シバこう!」みたいな激しい怒りや蔑みの感情はあまり覚えない。リアリティを重視しているのだろう。そしてそのリアリティが先述した「まともに生きるのってそんなにいいことばかりじゃないよ」というメッセージを補強している。

・話自体は結構ベタだと思うのだけれど、大野と香住のやり取りが魅力的で、見ていて退屈する時間が無かった。

・大野と美奈子さんの恋愛が結ばれずに終わってしまう展開は少しショックだったが、同時に納得感もあった。「普通」であり「まとも」に生きている美奈子さんには、宮本と別れて、大野と付き合うという選択はできないんだろうなあ…。

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