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戦略コンサルにおけるプロジェクトマネジメントの要諦
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、その名の通りプロジェクトを管理する手法である。設定された目標に対して、期間内に、予算の範囲で達成するための一連の手法であり、スケジュールの設計や人員管理…という感じの小難しい話はいったん置いておく。
プロジェクトマネジメントについて書かれた文献や書籍は腐るほどあるし、PMBOKを読めばとりあえず手法は身につくだろう。基礎基本を知りたい人はそちらを読まれるとよろしい。
今回文章をわざわざ書いているのは、そこらへんでは伝わらない&記述がないプロジェクトマネジメントの要諦を伝えるためである。これは戦略コンサルのような成果物がシステム等で定義されないタイプのプロジェクトで特に重要なポイントであり、プロジェクトを炎上させないために意識すべきことである。
それは一言で言えば、「隠しパラメータである顧客からの信頼度を感じ取れ」に尽きる。以下詳しく解説していこう。
顧客からの信頼度を感じ取れ
熟練したプロジェクトマネージャーなら理解してくれると思うが、顧客からの信頼度こそがプロジェクトマネジメントにおける最重要パラメータである。
信頼度が十分あれば少々間違えてもプロジェクトは燃えないし、逆に信頼度が一定の値を切れば必ず燃える。この場合の燃えるは顧客が怒っている、くらいの定義である。
プロジェクトが発生した段階で信頼度が危険水準になっていることは稀なケースであり(そうでなければそもそも発注されない)、プロジェクトが燃えるということはプロジェクトを遂行する過程で顧客からの信頼度が減少し、一定の水準を割り込んだことを意味する。
つまり、プロジェクトを燃やさないためには顧客からの信頼度を敏感に感じ取り、一定以上の数値をキープしていく必要があるということだ。ゲームで言うとガンパレの発言力を稼ぐという概念に近いかもしれない。
いったん説明のためにプロジェクト開始時の初期信頼度を10点として、どのようなイベントでその変化を感じ取るかを記述してみよう。あくまで数字は筆者の主観なので、鵜呑みにしないように。各行動の点数はむしろこれくらいではないか的な意見はぜひ教えてほしい。
信頼度の低下イベント
顧客がこちらの説明中に首をかしげる、怪訝な顔をする (▲1点/回)
資料説明中に顧客が首をかしげているとき、信頼度は明確に下がっている
1回1回は微小な変化だが、説明中に複数回発生して蓄積するのと、回数が増えると指数関数的にダメージが増える可能性があるので実は結構怖い
たまに首をかしげる癖があるだけの顧客がいるが、そういった顧客を相手にするとメンタルをゴリゴリ削られがち
顧客からの連絡への対応が遅い(▲2点/回)
メールへのレスや電話の折り返しが遅いと、顧客が不満をため込んでしまうのでダメージが大きい
顧客の不満は風化することなく、時間経過でむしろ熟成されるのだ
顧客からの督促が発生(▲3点/回)
顧客からの質問事項に対する督促(そういえばアレどうなりました?)や対応への督促(もう○○してくれましたか?)が該当する
対応が遅いからのコンボ。督促が発生する段階で相当怒っていると思ってよい
ミーティングに遅刻、締め切り超過(▲5点/回)
基本にして王道、結構信頼度減少幅が大きい
遅刻を事前に連絡しても減り幅が減るだけで、0にはできない点に留意が必要。何度もやると人としてダメ認定されがち
カウンターパートの上司が怒る (▲10点)
致命的イベントなので、絶対に回避する必要がある
信頼度を上限以上に積んでいれば踏みとどまれる可能性はあるが、対策なく突っ込んだ場合はほぼ一発アウトとなる
このダメージを軽減するために、カウンターパートの上司にどうプロジェクト内容と進捗を伝達するか、というのは事前にすり合わせて確認しておくこと。事前にすりあわせて納得していれば、カウンターパートの信頼度減少を約40%程度カットできて一発アウトを回避できる
主なイベントはこんな感じだろうか。
プロジェクトをリードする人は、ミーティング中に資料だけ見るのではなく顧客の顔をちゃんと見てほしい。それだけでだいぶ信頼度に対する感度が変わる。
あと読者の皆さんも他にも思いついたらいろいろと教えてほしい。
信頼度を上げる方法
わかりやすい資料作り(+1点)
綺麗でなくても良いので、わかりやすさが重要
定例ミーティングごとに積めるのがポイント
前回の振り返りやプロジェクト全体像、今回やるべきこと等を記載するのも地味に効果的
連絡への早期のレス(+0.5点/回)
ただし1回取得するとしばらくポイントが累積しない
ちりも積もればなんとやら
レスはだいたい30分程度が目安だが、人と状況による
質問への回答(+1点)
先方の納得度が上がれば加点される
こちらの落ち度から発生した質問であれば綺麗に返せると信頼度を±0に持っていける、というイメージ
事前すり合わせ(+2点)
報告内容を事前にすり合わせるのは地味に効く
時間に余裕があったらカウンターパートと事前にすり合わせておく方が無難
重要なミーティングや報告会でこれをやらないのは自殺行為
グレイヘアの配置(+3点)
ベテラン感があるおっさんをプロジェクトに配置すると初期信頼度にボーナスが入る
おっさんは説得力にもプラス補正が入ることが結構あるので、無能でなければ意外と役に立つのだ
宴席の開催(+5点)
実は結構加点要素が大きい
顧客とのコミュニケーションコストが下がるので、信頼度低下を早期にキャッチできるようになるのもポイントが高い
信頼度が減ってからだとこのイベント自体を発生させられなくなるので、やるならプロジェクト開始直後に実施して初期ポイントを稼ぐ運用がベスト。次点は終了後に次の仕込みを兼ねての実施
信頼度は主に日々の行動で積むしかない。楽に稼げる手段は今のところ見つかっていないので、日々地道に積みあげていくのだ。
プロジェクトのアウトプットは当然高品質を目指すのだけど、それ以前の要素でプロジェクトが燃えるのはつまらないけどよくある話である。
隠しパラメータである顧客からの信頼度を意識して、燃えない運用を実践していって欲しい。
投げ銭用
最後のパートには特に情報はなく、投げ銭用である。
もし参考になったら投げ銭していっていただけると嬉しい。
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