【4・5日目】事業計画書1-①
はじめに
早速、事業計画書について書き始めましょう。
ここでは、どのようなテンプレートもしくは事業者自身で作る場合であれ
「事業計画書で示す事項」に沿って計画書を書く手順で
説明していきます。
その他に採点項目順で書いている計画書もありますが、
基本的には、この手順でよいと思います。
1-①:補助事業の具体的取組内容
上の公募要領には、多くのことが書かれていますが、
整理すると
現在の事業の状況、SWOT分析、事業環境、事業再構築の必要性、補助事業の具体的内容と申請類型、スケジュールについて記載します。
ひとつひとつ見ていきましょう。
現在の事業の状況
株式会社G-styleさんの計画書では、この項目は非常に簡素に1文のみですね。
「現在の事業の状況」なので、現在どのような事業を行っているかを最低限書ければ良いと思います。
加えて、株式会社三本松茶屋さんのように現在コロナの影響を受けていることが数値・根拠をもとに書くと理解がしやすい内容となると思います。
私のおすすめは、下の株式会社八芳園さんのように写真を入れることです。
社長と社員の写真や、商品をつくる様子の写真などをいれると
審査官にもひと目みて伝わりやすい見た目になります。
SWOT分析
SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)です。
強み・弱みは事業者自身の内部的要因と定義されています。
一方、機会・脅威は外部的要因とされています。
それぞれに根拠を示すために数値や写真などを示すことはもちろんですが、
ポイントとして「補助事業に関連すること」を記入しましょう。
「強み」は補助事業に活用できること、
「弱み」は設備導入や補助事業により解消できること、
「機会」は補助事業で、その機会を活用できること、
「脅威」は補助事業で回避できること、
を示すことができると、全体の整合性がとれて良い計画書になります。
この点は、もっとも重要だと私は考えています。
その観点で、株式会社G-styleさんの計画書を見ると
強み:自社で一気通貫、WEB集客→補助事業に活用する
弱み:人件費が増加→システム導入で人件費を削減
機会:コロナ禍でもBBQ事業のニーズがある→補助事業でBBQ事業を行う
脅威:法人向け宴会需要がない→補助事業で個人向けに新規顧客開拓
とすべて、のちの伏線に繋がっています。
このような形が理想的です。
事業環境
株式会社三本松茶屋さんは、
初めの「現在の事業の状況」に事業環境も含めて記載しているため
簡略されていますね。
説得力のある文章を書くために、
事実を忠実に書いていきましょう。
「コロナで事業に大きなダメージがありました。」よりも
「コロナで月別売上最大〇〇円減少しました。」など数字をいれると
根拠が強くなりますね。
さらに、”コロナで”というよりも、
より正確に言及すべきだと考えます。
コロナで、観光客が〇〇%減少したから売上減少なのか、
コロナで、元請けの業績が悪くなり受注数が〇〇%減少したから売上減少なのか
直接の原因を考えられるとよいと思います。
事業再構築の必要性
「事業再構築の必要性」では、
コロナの影響を受けて、既存事業の延長線上では売上回復が難しいことを
示すべきだと考えています。
更にわかりやすく伝えるために、必要性の中に数値根拠を示せると良いと思います。
株式会社三本松茶屋さんでは、
「①現在の事業の状況」を引用して、単月の比較で最大63.5%の売上減少しました、と数値を出しています。
株式会社G-styleさんでは、
赤字事業の廃止をしたこと、に加えて既存事業の問題点を明らかにし、
その上で新規事業で「物販商品」を売り出すことの必要性にまで
言及しています。
どちらも誰がみても納得感のある内容になっています。
このように、審査官が「なぜ?」と思わせないような記述が必要です。
補助事業の具体的内容と申請類型
補助事業の具体的な内容については、
誰に、何を、どのように、が分かるように記載します。
1枚目の株式会社三本松茶屋さんが非常に参考になります。
(事業前)→(事業後)の違いが分かるように記載されています。
事業”再構築”で、設備を導入したことで、
何が、どのように、変化したのかを記載するべきだと考えています。
ただ単に、
「キッチン設備を導入して、デリバリーを始めます」よりも、
「既存設備では、できなかった冷凍技術を活用できる冷凍機を導入して、
デリバリー業に参入します。これにより、既存事業でターゲットとしていなかった近隣で在宅勤務を行う会社員の昼食ニーズを開拓します。」
と、”変化”が分かるような記載をオススメしています。
繰り返しですが、設備導入で
今まではできなかったことが、できるようになりました
という変化が重要です。
申請類型については、株式会社三本松茶屋さんのものが
参考になります。
類型を明言することと、
その類型に該当する根拠を書くと良いです。
上の写真では、事業転換の類型を書いています。
事業転換とは、
「中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。」
です。
よって、写真では日本標準産業分類から
小売業から卸売業に変更しますよ、と分かりやすく記載しています。
申請時でも入力項目があるため、
日本標準産業分類は記載すると良いです。
リンク:日本標準産業分類
このようになぜその型を選んだのかが、
分かるように書いていきましょう。
スケジュール
スケジュールでは、
建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技 術の導入や専門家の助言、研修等の時期を記載するようにと、
公募要領にあります。
株式会社G-styleさんのものは、非常に詳細に記載されていますね。
ここまで、詳細に記載するのは、細かく決定していない状況では
難しいかもしれません。
1枚目の株式会社三本松茶屋さんのように
しなければいけないことを、列挙する形でも良いかと思います。
ここで重要なことは、
補助事業のスケジュールが明確にイメージできているかどうかだと思います
補助事業が補助金交付決定から2,3年経って開始します、みたいなイメージだと、もちろんダメで、
必要なToDOはこういったことなので、この期間内に開始できます!
ということを示しましょう。
また、同様に採択まで事業に着手することは基本的に認められていないので、
スケジュール感を間違えないようにしましょう。
おわり
ここまでで計画書の3から5ページ分くらいのイメージです。
次は、②の項目に進みます。
次回はこちらから
【6日目】事業計画書1-②
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コンサルテイングサル事務所 中小企業診断士天野
メールアドレス:consultingsaru@gmail.com
サービス内容:事業再構築補助金の申請サポート
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