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Eugenの備忘録その37-9/9 久石譲指揮新日フィル定期

9/9 久石譲指揮新日フィルトリフォニー定期(14時より、於すみだトリフォニーホール大ホール)
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings
マーラー:交響曲第5番

 マーラー5番は超快速で見通しが良く、コラージュのように様々な要素が雑多に入り乱れる曲のカオスな様子を強調しつつ作曲家の視点から動機や旋律を有機的に奏でさせ、スリルがあった。所謂情念の強い演奏とは正反対だが、マーラーのやりたいことが明白に伝わる演奏だった。第2、3楽章は特に要素が豊富でうっかりしていると迷子になったような気分になるが、このふたつにおいて特に錯綜した要素をすっきり纏め上げていたのが大きく、マーラーが苦手な方にもおすすめ出来る演奏だった。久石の快速な棒にオケが乱れる場面も散見されたのはご愛嬌。前半は上記マーラーの「アダージェット」を意識した久石自作の"Adagio for 2 Harps and Strings"。開始はまさにマーラー的だが次第に「君たちはどう生きるか」や「千と千尋の神隠し」のBGMを彷彿とさせる爽やかで夢想的な世界へ誘われる。この曲は是非繰り返し演奏されるべき。

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