見出し画像

Eugenの備忘録その7-「泰」然自若!!4/7飯守泰次郎指揮東京シティフィル、特別演奏会ブルックナー8番

飯守泰次郎指揮東京シティフィル、ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァーク版)(於 サントリーホール、19時より)

肩の力を抜き、自然体を貫くだけでこんなに素晴らしいブルックナーが生まれるのかという泰然自若とした演奏。マタチッチや朝比奈のような名匠に続く日本のブルックナー指揮者であることが示されたと言って過言ではないだろう。速めのテンポで一切の力みや作為を排した簡潔さ。第2楽章終わりや第4楽章での金管の荒々しい綺麗事に終わらない吹奏など、良い意味での泥臭さも感じられる。アンサンブルに管のロングトーンのピッチの不安が散見されたがそれを咎めるのは野暮だろう。第3楽章での透徹しきった音楽や第2楽章中間部の侘しさなど、名匠の味も存分に。特別なことをせず、ただそこにいるだけで悟りの音楽を聴かせる飯守は流石。低音のうねりや飯守の唸り声を耳にしながら、クナの晩年のブルックナーの録音すら思い浮かべてしまった。舞台袖でカーテンコール受けてオケを称えている様子や芸風とかが日本のクナとすら呼んで良いような気がしてきた(これまでは日本のエッシェンバッハみたいな印象だったが)。

追記:ブル8は音盤も随分集めましたが、なかなか「決定打」に出会えた気がせずにいました。そんな中で飯守さんが見事に特大級の名演を叩き出した。立ち会えて感慨深いです。ただ音楽がそこにあるってこういうことなんだと。マイクが林立していましたので音盤化するのでしょう。来られなかった方に朗報です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?