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Eugenの備忘録その19-5/31 上岡敏之指揮読響定期

5/31 上岡敏之指揮読響定期(19時より、於サントリーホール大ホール)

シベリウス:交響詩《エン・サガ》
シューマン:ピアノ協奏曲◯
ニールセン:交響曲第5番

◯エリソ・ヴィルサラーゼ(Pf.)

ニールセンの5番は上岡のしなやかで粘着質な音楽作りが奏功した美演。メロディは言わずもがな、例えば第1楽章前半のVa.の伴奏ひとつにもニュアンスが宿るなど細部まで神経が行き届く。読響のパワーも健在で第1楽章後半や第2楽章のラストでは金管中心に迫力満点の高揚を遂げた。
 ヴィルサラーゼがソリストのシューマンのピアノ協奏曲も上岡ワールドの炸裂、正直ピアニストが至って普通の人だからバックのユニークさが炙り出されたと思う。第1楽章のテーマの引き摺るような歌い方、第2楽章の豊かな歌、第3楽章のテーマのネチネチとした受け渡しと全体的に翳のある音作り。今まで聴いたこの曲と全く異なる光景が眼前に広がるような斬新さに感心するばかり。これも一つのシューマン像としてありだと思う。
 シベリウスの《エン・サガ》もVa.のテーマはじめ極めて雄弁な語り口に引き込まれ、終盤手前のmorendo(消え入るような)の局面での緊張感が分けても素晴らしかった。

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