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Eugenの備忘録その38-9/10 ルイージ指揮N響Aプロ

ファビオ・ルイージ指揮N響Aプロ
(9/10,14時より、於NHKホール)

R.シュトラウス:《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》
R.シュトラウス:《ブルレスケ》○
R.シュトラウス:《イタリアから》
○マルティン・ヘルムヒェン(Pf.)

 オールリヒャルトで固めた開幕は全体的にはルイージの長所が出た回。《イタリアから》は歌、歌、歌の連続の第3楽章が白眉でふくよかな旋律美に酔い、イタリアの自然風景が浮かんでくるような爽やかで豊かなサウンドに魅了された。第1楽章の恍惚とした音楽も素晴らしい。他方で偶数楽章はSKDの録音当時の斬れ味や鮮烈さが薄いような気も。氏も実は60歳を過ぎており、もう少し若い時にシェフとして聴きたかった気もする。
前半のヘルムヒェンをPf.独奏に迎えた《ブルレスケ》では硬質でクリスタルなピアノにルイージの優雅な指揮ぶりが融合。《ブルレスケ》での優雅さは勿論、ブラームスなどの先人の影響から抜け出せずにいるリヒャルトの苦闘をよく描き出す。Timp.の破天荒な使い方も堪能できる一幕だった。最初の《ティル》でも主人公の色気や挑発的な性格を目一杯描き出し、さながらオペラのような臨場感があった。

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