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Eugenの備忘録その21-6/13 鈴木優人指揮読響定期

鈴木優人指揮読響定期
6/13 19時より、於サントリーホール

アタイール:チェロ協奏曲《アル・イシャー》(日本初演)〇
ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》

〇ジャン=ギアン・ケラス(Vc.)

 ベートーヴェンの3番は10年ほど前の横浜シンフォニエッタとの録音もあるほどの「得意曲」で、録音よりもテンポは中和しており角が取れた印象。キビキビとしたテンポでよくブレンドした音楽を奏でていく基本姿勢は変わりない。第2楽章再現部の柩に釘を撃つようなTimp.が効果的。第4楽章中盤のフガートによる高揚はバッハを自家薬籠中の物とする鈴木ならでは。第1楽章展開部の滑らかな歌や第3楽章の一気呵成も良く、古典派の枠からはみ出ようとしている曲の生命力や斬新さを伝えてくれた。
前半はアタイールのチェロ協奏曲の日本初演。この曲ではケラスがソリストを務める。単一楽章で時にショスタコのような管打楽器の扱いがみられたり独特の和声感がみられたりと局面の変化は激しいがなかなか捉えどころのない曲。その中ではカデンツァでケラスの優美な芸風が光っていた。

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