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Eugenの備忘録その61-上質な音の魔術!1/13ソヒエフ指揮N響A定期

トゥガン・ソヒエフ指揮N響A定期(1/13 18時より、於NHKホール)

シチェドリン:《カルメン》組曲
ラヴェル:《マ・メール・ロワ》組曲
ラヴェル:《ラ・ヴァルス》

 シチェドリンの《カルメン》組曲は指揮者の血の通った彫りの深いドラマを上質なアンサンブルで仕立て上げる。《アラゴネーズ》のリズム感と節回し、第2幕前奏曲のヴァリエーションのユーモラスな掛け合いに《ハバネラ》のカルメンが眼前に現れそうな艶やかさ……。打楽器の鳴らし方や音の質量に対するソヒエフの絶妙な調整能力が功を奏し、管のない編成ながら音色の多彩さで45分飽きさせない。後半のラヴェル2曲も出色の出来。《マ・メール・ロワ》の管楽器の水のような清涼感、弦の淡いハーモニーはデュトワ以上か。《ラ・ヴァルス》は得てして最後は散漫に「爆演」化して終わりがちだが、ソヒエフはどんなに盛り上がっても冒頭からのエスプリを決して失うことはない。非常に上品なフランス音楽のひと時であった。
ソヒエフはデュトワのような音色の魔術師だと実感。首席客演で遇して欲しい。

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