謎ワの"理不尽さ"を考えたい

このnoteはVRChatにおける「謎解きワールド」、通称「謎ワ」についての考察および提言です

はじめに

謎解きワールドは「製作者」と「体験者」双方のリスペクトが特に必要なコンテンツだと思っています

が、「理不尽」を感じ心ないコメントを投げかけるプレイヤー、それに対して開き直って「理不尽」をぶつけ返す製作者、そして確かに理不尽さを感じうる件のワールド、みたいな構図を見てなんともいえない気持ちになることが多々あったので、酒の勢いに任せて一回整理用に書いています

  • 謎ワの性質として「理不尽」が発生しやすい背景

  • 体験者に求められるもの

  • 制作者に求められるもの

に関する自分の認識を書き散らしてみました


謎解きワールドがたくさん増えてきたいま改めて、体験者としても製作者としても、心がけてほしい事項をまとめたつもりです

(箇条書きから文章にするのは省きました、よみにくいけど許してください…)ふ


前提 「謎解きワールド」の背景

  • そもそも「謎解きワールド」の分類が曖昧

    • パズルは謎解き?クイズは謎解き?

    • 脱出ゲームっぽいもの、1枚謎のみのもの(1枚のパネル内の情報だけで問題が完結するもの)、謎解き公演っぽいもの

    • 知識を要求されるもの、ひらめきを要求されるもの、論理的思考が要求されるもの、試行錯誤が要求されるもの、ゲームとしてのプレイスキルが要求されるもの

    • このように、ことばとしても曖昧だしコンテンツとして主眼が置かれうるものも多様なので、一様な評価軸を持つこと自体がナンセンスかもしれない

  • 体験の良さが人によってもワールドによっても大きく変わる

    • 同じワールドに対して面白いと感じる人もいれば、理不尽に感じる人もいる 

    • 要求される知識もワールド依存、人が持っている知識もプレイヤー依存

    • そしてそれはワールドとプレイヤーの相性の問題でしかない

  • 謎解きワールドは非常に作成しやすい

    • 問題と解答の正誤判定ができる機構さえ用意すれば成立する

    • 特にVRChatというUGCとは非常に相性がいい Unityで作ってcommunity labにアップすれば誰にでも遊んでもらえる

    • 逆に、個人製作である上どんな状態でもアップロードできてしまうため、クオリティはものによってバラバラ

  • 事前に予測ができない

    • 内容に関する言及はネタバレとなって未体験者のプレイを致命的に阻害してしまう

    • それゆえ、プレイする前にそのワールドへの個人の体験価値を判断できない

  • 「理不尽」と「楽しい」が発生するメカニズムが同一である

    • どちらも「解けない状態」に起因しており、紙一重

      • そこから解ければ楽しい、解けないならストレスがかかる たまったストレスと解けるかどうかのバランスで体験が変わる 

    • 解けるかどうかが制作段階で不確定な以上、「解けたら楽しい」と信じて作るしかない

      • 体験者が理不尽だと思った問題は制作者にとって一番楽しいと思っていた問題かもしれないし、作っていて楽しいと思った問題が理不尽になるかもしれない

  • コンテンツの性質上、理不尽を強く感じやすい

    • 費やす体験時間が多い(というか、人によって大きく変動する)

      • それゆえ体験そのもののうち「問題を解く行為」それ自体にフォーカスがいく

    • ホラワであれば、「怖い体験を他者と共有すること」にフォーカスが行くので「ホラー体験」そのものに理不尽を感じることは少なさそうというイメージがある(偏見)

      • 怖くなかったので理不尽を感じた、みたいなことはない 「なんだったんだろうね」で終わる

  • 対象層を絞れない

    • 謎解きは熟練度によって体験が大きく変わるコンテンツであり、謎クラから初心者まで全員をカバーすることは不可能

      • 五十音表は一般的なのか、タヌキのイラストを見て「た」を抜けるのか 

      • 英語は知識として一般なのか(義務教育の内容は「一般的」として果たしていいのか)

    • VRCの場合、明確に対象を絞ることができない 

      • 全てのワールドが等しく「New」の一覧に出てしまう

        • 世の謎解きコンテンツは能動的に知ろうとしないと普通知れないので、そこでフィルタリングができている

      • 説明文で「高難易度」と書いたところで全員見るわけではない

        • 高難易度を了承して遊んでいるプレイヤーのもとにJoinするプレイヤーは、必ずしも高難易度を了承して遊びに来るわけではない 「フレンドがやってるのを一緒に始めてみる」でしかない

  • 建設的な感想を述べられる場所がない

    • 前述のとおり、ネタバレになるので改善点があっても言及できない

      • 制作者に直接声を届けられる手段がない

    • ネガティブな批判というか文句はよくない一方で、ポジティブな感想しか伝えられない風潮が果たして適切なのかは気になるところ

      • 大前提、「楽しかった」のようなポジティブな感想は大歓迎だし推奨されるものである

      • 一方で「合わなかった」「つまらなかった」を封殺するのは果たして本当に正しいのか、あまり楽しくなかったものをとても楽しめたように表現するのは本当に良いのか

        • ネタバレが禁止な一方、他人の「率直な感想」は尺度にされがちなので、その感想が誇張されると意図せず難易度感が適切でないものに巻き込まれてしまう可能性がある

      • このへんは世の中一般の謎解きコンテンツにいえそう そういう問題提起をしている人を見たことがある


体験者に求められること

  • リスクヘッジ 理不尽な体験になりうるリスクをしっかり事前に認知する

    • 「高難易度」と書かれていなくても高難易度になりうる

  • ストレスを強く感じる前に自分でまず対処しようとする

    • ヒントがあるなら使う

      • 「ヒントを見たら負け」みたいなことは本当になくて、制作者の思う思考の動線が自分に合っていない場合の補助ツールみたいなもの あるなら使いながら考えるとよい

    • 日を改める、協力を仰ぐ

    • あきらめる決断をする

  • 「完璧」を求めない

    • 結局一人のユーザが作った同人的コンテンツであるし、金銭が絡んでいるものでもない 

    • コンテンツの穴を探すのではなく、良いところを見つけるのが肝要

  • そこには「そのワールドを長期間かけて考えて制作した人」がいることを理解する

    • 自動でワールドが生成されているわけではない

    • 批判的なコメント一つでワールドが消えうる

  • 体験が微妙でもそれは究極的には相性の問題であることを理解する

    • 全てをワールドのせいにしようとしない

    • 「難しいこと」を批判してはいけないし、どんなに不快感を感じても軽率に「問題が/製作者が悪い」と発信してはいけない

  • (理不尽だったことを話題にすることもSNSで書くことも止めませんが、僕個人としては「コンテンツのつまらなさ」みたいなネガティブな側面で会話するのは好きではないです)(どうすればよかったか、みたいな建設的なものならわかるが)

    • あとSNSに書くとそれは制作者に必ず届くことを心得てください

  • 逆に、良かった謎ワに出会えたなら、全力で共有してください!!!

    • 制作者のモチベになるだけでなく、他の体験者が


制作者に求められること

  • そこには「そのワールドを長期間かけて考えてクリアしようとする人」がいることを理解する

    • 解いてくれる人へのリスペクトを忘れてはならない 

    • 「解けないこと」を嘲笑ってはならないし、文句が入っても軽率に「お前が解けないのが悪い」と発信してはいけない

  • そのワールドが理不尽として体験者を苦しめうることを理解し、可能な限り排する努力をする

    • コンテンツの性質上どうしても仕方ないのなら「理不尽である」ことを明記する

    • テストプレイを入念に行い、解く上での思考の動線などを突き詰め解きにくさを排除する

      • 「デバッグ」ではない 正常に動作しクリアすることが「可能である」ことを確かめるのではなく、体験として「楽しめる」ことを確かめる

      • テストプレイヤーのレベルを想定している対象のレベルに合わせる 一般ウケを期待しているものにガチの謎クラに参加してもらうのはあまり適切ではない

      • テストプレイの様子を見ながら改善点を探し、テストプレイヤーから改善案が出たなら改善を検討する 無視しない

      • テストプレイする参加側なのであれば、しっかりフィードバックする 遊ぶことがメインではなくて、網羅的に穴がないかチェックする

        • メタ解きをしてクリアするべくかっとばすのはあまりそういう観点だと好ましくはない

        • 解いたあとは感想をただ述べるだけではなく、しっかりフィードバックする 「楽しかったです」だけではなにも改善点が発見されない

  • ヒント、あるいは解答といった救済措置を用意する

  • 体験者のフィードバックを真摯に受け止める

    • ネガティブなフィードバックを許容する、怒らない

    • ネガティブなフィードバックも来うることを投稿前に認識しておく

  • 理不尽たりうる要素をそもそも組み込まない

    • 日常的ではない背景知識を要するもの

      • (謎解き好きはそこそこ学歴高めみたいな偏見がある)

      • 「日常的」「一般的」か、解法の動線が不自然でないかどうかは製作者だけで確認することは不可能なので、テストプレイするなど策を講じたい

  • (敢えて理不尽なコンテンツを制作するのも止めはしませんが、僕は特に理由のない理不尽コンテンツは好きではないです。というか、「誰にも解けないだろうと内心思いながら」「答えという概念や解法が存在する解いてもらう想定の問題を出す」行為があんまりよくわかっていません。)

    • それなら初めから解きやすい問題にするか、答えを用意しないってのでいいのでは?どっちがやりたいんだ…??

    • ちなみに「苦しめようと思って作った」は仮に程度が低くても明確な悪意があって、かつ本当に人を苦しませうるものなので、個人的には明確に「悪」だと思っています。仮に高難易度であっても、あくまで作るベースは「楽しませること」であってほしい。


まとめ

  • 体験者と制作者は双方へのリスペクトを忘れてはならない

  • 「理不尽」が発生するのは究極的には相性の問題でしかない

  • 体験者はコンテンツの性質上体験するものに理不尽が発生しうることを理解する

  • 制作者は理不尽が発生しなくなるよう努めなければならない

みんながもっと謎解きワールドを遊びやすくなって、もっと謎ワ界隈が盛り上がることを期待しています



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先日「謎解きワールド colony」を出しました

かなり自信作なのでぜひ!!プレイ後の感想も、もしあれば改善案も、ハッシュタグだったりDMだったりで頂けると!




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