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スーパー野田ゲーPARTYとすゑひろがりず

4月29日、マヂカルラブリー野田クリスタルが手がけるゲームソフト「スーパー野田ゲーPARTY」がついにリリース。クラウドファンディングで寄せられた数多の素材やアイデアを集結した本作は、「みんなで作る」というコンセプトを徹底して貫いた一本だ。16本のパーティーゲームを収録したカオスのようなタイトルが、天下のNintendoはSwitchのプラットフォームで動く。洗練されているとはおよそ言い難い、うそのような並びのなかの一つに、そのゲーム「世直し すゑひろがりず」はある。

二頭身の愛らしいフォルムで、すゑひろがりず両名のキャラクターがマップ上をちょこちょこと動く。イラストと写真とが入り乱れる雑多な世界で、ワープを繰り返しながら世直しが進んでいく。大人から子どもまで、誰もがあそべる分かりやすく愉快なゲームだ。

扇子と小鼓――すゑひろがりずのお決まりのアイテムから技が放たれ、フィールド上が次第に片付いていく。「世直し」というといささか物々しい響きではあるが、マップの上からものが消え、整然ときれいになっていく様は実に清々しく、爽快感がある。寸分の違和感もなく、ゲームの世界の登場人物として溶け込むことのできるマスコット性の高さとは、ファンの欲目であろうか。「あつまれ どうぶつの森」の実況の際のアバターも、それこそ長期にわたって二人がつくりあげた愛すべきキャラクターであるが、姿かたちもキャラクターボイスも当人のものである「よなすゑ」は、まさにすゑひろがりずのゲームであり、クラウドファンディングのなせる業、共創型コンテンツの一つのモデルケースとして長く語られるものになる予感がした。


「何も何も、小さきものは、みなうつくし」

「何も何も、小さきものは、みなうつくし」――清少納言の枕草子・145段の一節である。千年を超える昔から、小さなものはかわいらしいものだとされてきた。いかにその実態が齢四十を手前にした二人の男性漫才師であったとしても、ゲームの世界をちょこまかと動き回る二頭身のキャラクターならば、「かわいい」と形容しても異論が出ることはもはやあるまい。過剰な美化もなく、キャラクターが本人たちを置いて一人歩きすることもなく、虚構の世界に自然に在れる感じ、なかなかどうして妙なものだ。今昔(こんじゃく)のラインだけでなく、さらにもう一つ二つ、何かの境界を飛び越えた存在が彼らかもしれない。


あとがき

5月1日のすゑひろがりず局番生配信「任天堂スイッチ『スーパー野田ゲーPARTY』をすゑひろがりずがゲーム実況してみた」、すごく不思議な感じで見てました。自身のゲームキャラクターをご自分で操作するって、どんな感じなんだろう。さらにそれが世に広がっていくってどういう風だろう。もちろんそれは、「スーパー野田ゲーPARTY」自体にもいえることでもありますが、ものすごく夢のある映像を見せてもらった気がします。

さて「世直し すゑひろがりず」、南條さんのキャラクターで使える鼓の攻撃、めちゃくちゃ気持ちいい。三島さんのやつは、「喝」が長く残るのがイイですね。どことない将棋っぽさ。草履でスピードがあがるのが絵的にすごく好きです。

シンプルなゲームでありながら、「2人で遊ぶ」モードが選べるのがどうにも粋。ご当人が実況する様はまさに画竜点睛、だるまの目を入れるかのようなおめでたい光景に見えて、つくづく良いキャラクターだなあと。

noteの更新自体が久しぶりなもので、どうにもとりとめもなく書いてしまいましたが、「何も何も、おめでたきもの、みないとをかし」の境地であります。


出典

[1] 「スーパー野田ゲーPARTY」(公式Webサイト)

[2] YouTube「新作スイッチゲーム『スーパー野田ゲーPARTY』をすゑひろがりずが実況してみた【生配信アーカイブ】」(2021.5.1)


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